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第10部 姦禁のリリス
#99 対決⑲
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「杏里、やめて」
後ろからいずなが杏里の右手首をつかんできた。
「いいの」
それをやさしく振り払うと、杏里はもう一歩、前に進み出た。
零と1対1で対峙するのは、正直いって、気が進まない。
だが、今の自分ならなんとかなる、その思いも強かった。
下半身では、再び百足丸に目覚めさせられた性のチャクラが回っている。
永久機関のダイナモよろしく激しく回転して、無限の性的エネルギーを躰の隅々にまで漲らせているのだ。
これなら、零にいくら斬り刻まれようと、死ぬことはないに違いない。
「いい度胸ね」
目の前に立った杏里を、零が見降ろした。
長身の零は、杏里より頭ひとつ分ほど背が高い。
だから杏里の目と鼻の先には、長いストレートヘアに隠された零の小ぶりな乳房が来ている。
「邪魔者は虫の息だし、じゃあ、さっきの続きを始めましょうか」
言いながら、零が右手で杏里の首をつかんだ。
万力のような握力が、杏里の華奢な首の骨を軋ませる。
杏里の豊満な裸体が次第に引き上げられ、つま先が床を離れた。
「くうう・・・」
杏里の顔が苦痛に歪み、開いた口から舌の先がこぼれ出る。
「ふふ・・・いい表情ね」
零が、蛇のように先がふたつに分かれた舌で、上唇を舐めた。
「そうよ。私はあなたのその顔が見たかったの」
言いながら、零の左手は杏里の右の乳房を鷲掴みにしている。
愛撫などという生易しいものではなく、今にも引きちぎらんばかりにこねくりまわし、引っ張っている。
急速に快感がこみ上げてきて、首を締め上げられているというのに、杏里の顔に恍惚とした表情が浮かぶ。
タナトス特有の防御機能が働いて、痛みを快楽に変換し始めた証拠だった。
「気持ち、いい?」
乳房に爪で無数の引っ掻き傷をつけて、零が訊く。
が、マックスにまで高まった杏里の治癒能力が、その傷口を見る間に消し去っていく。
「この程度じゃ、だめみたいね。それなら、これは?」
零が左手の指を手刀の形にそろえ、杏里の下腹に突き立てようとした、その時だった。
「待ちなさい」
戸口のほうから、妙に聞き慣れた声が聞こえ、杏里ははっとした。
零の裸身に遮られてよく見えないが、開けっ放しの戸口に誰か立っている。
「ど、どういうことだ?」
床に伏した由羅が、首をねじって声のほうを見、うめくようにつぶやくのが聞こえてきた。
「杏里が、ふたり・・・? そんな、ありえない」
「黒野零。その子を放しなさい」
また声が言った。
その時になって、杏里はようやく気づいた。
この声、私の声に似ている・・・。
似てるどころか、そっくりだ。
零が杏里を解放した。
床に尻もちをついた杏里は、見た。
戸口に、小麦色の肌の少女が佇んでいる。
由羅よりよく日に焼けた、小柄ながらグラマラスな身体つきをした少女である。
杏里が驚愕したのは、その少女が自分と同じ、全裸だからではなかった。
そっくりなのである。
髪型も、顔立ちも、身体つきも・・・。
肌の色を除けば、何から何まで杏里自身に瓜ふたつなのだ。
由羅の言葉の意味は、これだったのだ。
それにしても、あれはいったい、誰なのだろう?
「おまえは?」
杏里を手放し、少女のほうを振り向いた零が、奇妙にしゃがれた声を上げた。
「まさか、おまえも、杏里なのか?」
「ふふふ、どうかしら」
少女が微笑んだ。
見る者を欲情させずにはおかない、とてつもなく淫蕩な笑みだった。
「なんなら、試してみる? 私のこの、極上の躰を」
後ろからいずなが杏里の右手首をつかんできた。
「いいの」
それをやさしく振り払うと、杏里はもう一歩、前に進み出た。
零と1対1で対峙するのは、正直いって、気が進まない。
だが、今の自分ならなんとかなる、その思いも強かった。
下半身では、再び百足丸に目覚めさせられた性のチャクラが回っている。
永久機関のダイナモよろしく激しく回転して、無限の性的エネルギーを躰の隅々にまで漲らせているのだ。
これなら、零にいくら斬り刻まれようと、死ぬことはないに違いない。
「いい度胸ね」
目の前に立った杏里を、零が見降ろした。
長身の零は、杏里より頭ひとつ分ほど背が高い。
だから杏里の目と鼻の先には、長いストレートヘアに隠された零の小ぶりな乳房が来ている。
「邪魔者は虫の息だし、じゃあ、さっきの続きを始めましょうか」
言いながら、零が右手で杏里の首をつかんだ。
万力のような握力が、杏里の華奢な首の骨を軋ませる。
杏里の豊満な裸体が次第に引き上げられ、つま先が床を離れた。
「くうう・・・」
杏里の顔が苦痛に歪み、開いた口から舌の先がこぼれ出る。
「ふふ・・・いい表情ね」
零が、蛇のように先がふたつに分かれた舌で、上唇を舐めた。
「そうよ。私はあなたのその顔が見たかったの」
言いながら、零の左手は杏里の右の乳房を鷲掴みにしている。
愛撫などという生易しいものではなく、今にも引きちぎらんばかりにこねくりまわし、引っ張っている。
急速に快感がこみ上げてきて、首を締め上げられているというのに、杏里の顔に恍惚とした表情が浮かぶ。
タナトス特有の防御機能が働いて、痛みを快楽に変換し始めた証拠だった。
「気持ち、いい?」
乳房に爪で無数の引っ掻き傷をつけて、零が訊く。
が、マックスにまで高まった杏里の治癒能力が、その傷口を見る間に消し去っていく。
「この程度じゃ、だめみたいね。それなら、これは?」
零が左手の指を手刀の形にそろえ、杏里の下腹に突き立てようとした、その時だった。
「待ちなさい」
戸口のほうから、妙に聞き慣れた声が聞こえ、杏里ははっとした。
零の裸身に遮られてよく見えないが、開けっ放しの戸口に誰か立っている。
「ど、どういうことだ?」
床に伏した由羅が、首をねじって声のほうを見、うめくようにつぶやくのが聞こえてきた。
「杏里が、ふたり・・・? そんな、ありえない」
「黒野零。その子を放しなさい」
また声が言った。
その時になって、杏里はようやく気づいた。
この声、私の声に似ている・・・。
似てるどころか、そっくりだ。
零が杏里を解放した。
床に尻もちをついた杏里は、見た。
戸口に、小麦色の肌の少女が佇んでいる。
由羅よりよく日に焼けた、小柄ながらグラマラスな身体つきをした少女である。
杏里が驚愕したのは、その少女が自分と同じ、全裸だからではなかった。
そっくりなのである。
髪型も、顔立ちも、身体つきも・・・。
肌の色を除けば、何から何まで杏里自身に瓜ふたつなのだ。
由羅の言葉の意味は、これだったのだ。
それにしても、あれはいったい、誰なのだろう?
「おまえは?」
杏里を手放し、少女のほうを振り向いた零が、奇妙にしゃがれた声を上げた。
「まさか、おまえも、杏里なのか?」
「ふふふ、どうかしら」
少女が微笑んだ。
見る者を欲情させずにはおかない、とてつもなく淫蕩な笑みだった。
「なんなら、試してみる? 私のこの、極上の躰を」
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