408 / 463
第10部 姦禁のリリス
#54 女王覚醒③
しおりを挟む
目の前にシャッターが下りていた。
分厚い金属製の防火扉である。
だが、零は舌打ちすらしなかった。
右腕に力を溜め、無造作に殴りつけた。
へこんだ個所に更に左の拳をぶち込み、たわんだところに強烈な前蹴りを放つ。
それを3セット繰り返すと、轟音を立てて鋼鉄の扉が向こう側に倒れていった。
襲われたのは、倒れた扉を踏みしめて、次のフロアへ入った時だった。
大気を切る擦過音を耳元で聞いたかと思うと、やにわに太いゴム紐のようなものが首に巻きついたのだ。
すざまじい力で締め上げられ、身体が宙に持ち上げられていく。
上を向いて吊り上げられていく零の視界に、奇妙な光景が映った。
裸の男が、ヤモリのように天井に貼りついている。
耳まで裂けたその口から長い舌が伸び、それが零の細い首に巻きついてピンと張っている。
できそこない。
そんな単語が脳裏に浮かんだ。
進化の過程で優生種になれなかった、落ちこぼれ。
首を絞めつける舌に両手をかけ、ひと息に引きちぎろうとした、その瞬間である。
右前方のわき道から、全裸の巨漢がふいに姿を現した。
スキンヘッドの頭部。
落ちくぼんだ目。
逆三角形の上半身は筋肉の鎧に覆われ、上腕部にはグロテスクなほど力瘤が盛り上がっている。
巨体の割に、スキンヘッドの動きは俊敏だった。
その2体目の敵の姿を零が認識した時には、すでに万力のような指で両の乳房を鷲掴みにされていた。
10本の爪が食い込み、真っ白な乳房から鮮血が流れ出す。
「なにが女王だ。ただの牝じゃねえか」
スキンヘッドが下卑た口調で言い、ぺっと顔に唾を吐きかけてきた。
いつのまにか股間から節くれだった肉棒が屹立し、宙で揺れる零の股間を狙っている。
「どきな。クズ」
光沢を放つ巨大な禿頭を見下ろし、冷ややかな声にかすかな怒りを込めて、吐き捨てるように零は言った。
下等動物のくせに、この私を傷つけて・・・。
こいつら、ただで済むと思っているのか。
「威勢のいい女は好きだぜ。ほら、これでも喰らえ」
スキンヘッドが怒張したペニスを繰り出すのと、零の右膝が跳ね上がるのとが、ほとんど同時だった。
「ぐはあっ」
膝頭でペニスを折られ、伸ばしたつま先で睾丸を粉砕されて、スキンヘッドが数メートル先まで吹っ飛んだ。
その勢いで着地すると、首に巻きついた舌を力任せに手繰り寄せ、天井からヤモリ男を引きはがす。
落ちてきたところを、ピースサインの形に突き出した右手の指で、両眼を一気に貫いた。
ぽっかり開いた眼窩から、血潮と脳漿を垂れ流し、哀れな生き物は絶命した。
更に、助走もつけずに跳躍すると、零は鳥のようにスキンヘッドの前に舞い降りた。
「私を誰だと思ってる」
左足で、男の分厚い胸部をぶち抜いた。
「クズはクズらしく死ぬがいい」
右足で、その頑丈な頭部を踏み潰す。
血と肉片を裸身に浴び、零はほんのりと頬を上気させている。
久しぶりの残虐行為に、わずかながら、エクスタシーを感じたからだった。
分厚い金属製の防火扉である。
だが、零は舌打ちすらしなかった。
右腕に力を溜め、無造作に殴りつけた。
へこんだ個所に更に左の拳をぶち込み、たわんだところに強烈な前蹴りを放つ。
それを3セット繰り返すと、轟音を立てて鋼鉄の扉が向こう側に倒れていった。
襲われたのは、倒れた扉を踏みしめて、次のフロアへ入った時だった。
大気を切る擦過音を耳元で聞いたかと思うと、やにわに太いゴム紐のようなものが首に巻きついたのだ。
すざまじい力で締め上げられ、身体が宙に持ち上げられていく。
上を向いて吊り上げられていく零の視界に、奇妙な光景が映った。
裸の男が、ヤモリのように天井に貼りついている。
耳まで裂けたその口から長い舌が伸び、それが零の細い首に巻きついてピンと張っている。
できそこない。
そんな単語が脳裏に浮かんだ。
進化の過程で優生種になれなかった、落ちこぼれ。
首を絞めつける舌に両手をかけ、ひと息に引きちぎろうとした、その瞬間である。
右前方のわき道から、全裸の巨漢がふいに姿を現した。
スキンヘッドの頭部。
落ちくぼんだ目。
逆三角形の上半身は筋肉の鎧に覆われ、上腕部にはグロテスクなほど力瘤が盛り上がっている。
巨体の割に、スキンヘッドの動きは俊敏だった。
その2体目の敵の姿を零が認識した時には、すでに万力のような指で両の乳房を鷲掴みにされていた。
10本の爪が食い込み、真っ白な乳房から鮮血が流れ出す。
「なにが女王だ。ただの牝じゃねえか」
スキンヘッドが下卑た口調で言い、ぺっと顔に唾を吐きかけてきた。
いつのまにか股間から節くれだった肉棒が屹立し、宙で揺れる零の股間を狙っている。
「どきな。クズ」
光沢を放つ巨大な禿頭を見下ろし、冷ややかな声にかすかな怒りを込めて、吐き捨てるように零は言った。
下等動物のくせに、この私を傷つけて・・・。
こいつら、ただで済むと思っているのか。
「威勢のいい女は好きだぜ。ほら、これでも喰らえ」
スキンヘッドが怒張したペニスを繰り出すのと、零の右膝が跳ね上がるのとが、ほとんど同時だった。
「ぐはあっ」
膝頭でペニスを折られ、伸ばしたつま先で睾丸を粉砕されて、スキンヘッドが数メートル先まで吹っ飛んだ。
その勢いで着地すると、首に巻きついた舌を力任せに手繰り寄せ、天井からヤモリ男を引きはがす。
落ちてきたところを、ピースサインの形に突き出した右手の指で、両眼を一気に貫いた。
ぽっかり開いた眼窩から、血潮と脳漿を垂れ流し、哀れな生き物は絶命した。
更に、助走もつけずに跳躍すると、零は鳥のようにスキンヘッドの前に舞い降りた。
「私を誰だと思ってる」
左足で、男の分厚い胸部をぶち抜いた。
「クズはクズらしく死ぬがいい」
右足で、その頑丈な頭部を踏み潰す。
血と肉片を裸身に浴び、零はほんのりと頬を上気させている。
久しぶりの残虐行為に、わずかながら、エクスタシーを感じたからだった。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる