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第10部 姦禁のリリス

#51 背徳の宴⑪

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 百足丸は、金縛りにあったかのように動けない。
 自分が狂いだしそうなほど興奮していることは、手に取るようにわかる。
 部屋の空気には目に見えない杏里のフェロモンが満ちあふれ、発情した雌の匂いで息も詰まるほどなのだ。
 が、この中で杏里の怖さを一番よく知っているのは、ほかならぬ百足丸だった。
 あのイベントひとつとっても、そうだ。
 何百人という数の中学生や教師が、杏里と性的な接触を持ったがために廃人同様にされてしまったのである。
「俺は、いい。遠慮しておくよ」
 辛うじて自分を抑え、そっぽを向いた。
「そうかい。やせ我慢は身体に毒だと思うがねえ」
  感心なさそうに言い、りつがベッドによじ登った。
「じゃあ、少し手伝っておくれよ」
 何をするつもりかと見ていると、背後に回り込み、腋の下から手を伸ばして杏里の上体を引き起こした。
「おまんことアナルは太郎たちに任せて、あたしゃ、この立派なおっぱいで遊ばせてもらうことにするよ」
「まだ続けるのか」
 百足丸は、りつの絶倫ぶりに畏敬の念すら抱き始めている。
 あれだけ杏里のエキスを浴びて、まだ正気を保っていられるとは・・・。
 このばあさん、本当にただの人間なのか? 
 そう疑わずにはいられなかった。
 ある意味、うらやましかった。
 もしそうなら、俺たち優生種は、もう少し人間という種を見直すべきなのかもしれない・・・。
「ムカデの兄さん、ぼけっとしてないで、鍼だよ、鍼」
 感慨に耽っていると、突然りつに呼ばれた。
「こっちの再生したばかりのおっぱいに、あんたの得意な鍼を打ってやっておくれ」
「あ、ああ」
 りつは、杏里の新しい右の乳房を、すくい上げるようにして手のひらで支えている。
 そしてその柔らかい肉をぎゅっと握ると、百足丸が施療しやすいように指で乳首をつまみ、乳頭を突き出した。
 再生したばかりだというのに、杏里の右の乳首は早くも元のように硬く勃起し始めているようだ。
 それを更に確実にするために、百足丸は右手の人差し指の爪をおもむろにピンク色の突起に近づけた。
 充分に狙いを定めて、極細の針と化した爪の先端を、乳腺の開口部にずぶりと突き立てる。
 杏里が息を呑む気配がして、引き抜いた鍼の跡からどろりとしたエキスが流れ出した。
「おお、いいねえ、勃ってきた勃ってきた」
 りつの口元に、淫蕩そのものの笑みが浮かんだ。
 乳首にこだわるだけあって、りつの責めは執拗極まりないものだった。
 ふたつの乳房を後ろから抱え、親指を除いた4本の指をつかって、じっくり責めていく。
 まるでハープでも奏でるように、人差し指、中指、薬指、小指と順番に、指の腹で乳首を弾いていくのだ。
 小指まで行くと、今度はもう一度人差し指に戻って一から順繰りに、勃起乳首を叩いていくのである。
 それを両手で、少しリズムを崩して繰り返す。
 だから杏里は絶え間のない乳房への刺激にさらされ、幼児のように甘ったるい声で喘いでいる。
 その間にも、太郎が杏里の膣に舌を突っこみ、花がその更に下に鼻づらを潜り込ませてアナルを舐めている。
 杏里は下半身に犬たちの、上半身にりつの愛撫を受けて、自分から腰を浮かせ、中腰になってしまっていた。
 少し小生意気で、それでいてあどけなさの残るその顔は、今や快楽を貪る色情狂のそれと変わらない。
 己の指を口に突っ込み、フェラチオでもするかのごとく卑猥な音を立てて舐め回す様子は、どう見ても狂っていた。
 部屋の空気が杏里のフェロモンでじっとりと湿り、否応なく肌に貼りつくのがわかった。
 百足丸は、痛いほど硬くなったズボンの前を無意識に握りしめて、蹂躙される杏里を見つめている。
 その惚けたような顏には、すでにほとんど理性が残っていないようだった。


 その頃ー。
 別の部屋で、ベッドから身を起こす裸の少女の姿があった。
 両手両足を拘束された、黒野零である。
「杏里・・・」
 切れ長の眼が開くと、蛇のそれを思わせる縦長の瞳孔が光を帯びた。
「おまえ・・・今、なにしてる?」
 さざ波のような快感が、どこからか零の快楽中枢に伝わってくる。
 すぐにわかった。
 これは杏里のものだ。
 杏里が、何者かに凌辱されて、狂おしいほど感じている・・・。
 ああ・・・たまらない。
 零の長い脚のつけ根から透明な汁があふれ出し、シーツに黒い染みをつくっていく。
「どこ・・・? 私の杏里は・・・どこにいる?」
 華奢な零の腕に、縄を束ねたような強靭な筋肉が浮き上がった。
 


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