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第10部 姦禁のリリス
#35 由羅VSルナ
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「思う存分、やってごらん」
美里が言った。
「お手並み、拝見させてもらうわ」
その声を合図に、ルナがすっと右手を水平に伸ばした。
由羅に向かって、垂直に手のひらを立てる。
アクアマリンの瞳が輝きを帯びた、と見えた、その瞬間だった。
すさまじい”風”が起こった。
目に見えぬ壁が、突如として正面からぶつかってきたような、そんな衝撃だった。
びりびりと大気が震え、重人の目の前で由羅の胴着とスカートが紙切れのように引きちぎられていく。
透明な巨人の手でむしられるように、革と布が細切れになって紙吹雪よろしく四散した。
まるで特大の”かまいたち”だ、と重人は思った。
由羅の背後に隠れていなければ、重人自身の身体がバラバラに引き裂かれていたに違いない。
が、それほどの”圧”をまともにくらいながらも、由羅は倒れなかった。
黒いブラとショーツだけの姿で、膝まである頑丈なブーツで大地を踏みしめ、昂然と顎を上げ、ふてぶてしくルナのほうを見つめている。
「伏せてろ」
前を向いたまま重人に声をかけると、
「なんのまじないだ?」
持ち前の挑発的な口調で、ルナをからかいにかかった。
「そんな手品で、うちを倒せるとでも思ってるのか?」
「うるさい」
ルナの眉間に縦皺が寄った。
左手を伸ばすと、右手首をつかんで支えた。
瞳が再び輝きを放つ寸前、由羅が飛んだ。
斜め上に跳躍すると、車寄せに沿って生えた木立ちに向かってジャンプしたのだ。
ルナの放つ”気”が、林を揺らした。
舞い上がる木の葉の渦の中、由羅が木の幹を蹴り、すかさず反対側の木立ちに飛び移る。
ルナはその姿を追い切れない。
腕で照準を合わせようとするが、”気”を放つとすでにその先に由羅はいないのだ。
あたかも忍者のごとく、木立ちから木立ちへと飛び移りながら、由羅は高速でルナのほうへと接近していく。
「くらえ! 地獄に堕ちろ!」
木立が切れるところでひと際高く舞い上がり、空中で前蹴りの体勢を取った。
が、その時ルナが振り向いた。
振りかざした右手が、高空から落下する由羅を捕らえた。
「な、なにい?」
大の字に手足を伸ばしたまま、由羅が空中ではりつけになる。
「く、くそ! おろせ!」
悔しげに叫ぶが、ルナの見えない手は、今や完全に由羅を拘束してしまっているようだ。
半裸の由羅は、展翅版に留められた蝶の標本のように空中に四肢を伸ばしたまま、ピクリとも動けないでいる。
「よくやったわ」
口元にかすかな微笑を浮かべて、美里が進み出た。
「後は私に任せなさい」
由羅を見上げる位置に立つと、やおらブラウスの前を引き開けた。
と同時に、豊満な乳房がこぼれ出る。
「な、何する気だ?」
由羅がみるみるうちに、青ざめた。
その裸の胸を目の当たりにして、ようやく美里の”異常さ”に気づいたのだった。
美里が言った。
「お手並み、拝見させてもらうわ」
その声を合図に、ルナがすっと右手を水平に伸ばした。
由羅に向かって、垂直に手のひらを立てる。
アクアマリンの瞳が輝きを帯びた、と見えた、その瞬間だった。
すさまじい”風”が起こった。
目に見えぬ壁が、突如として正面からぶつかってきたような、そんな衝撃だった。
びりびりと大気が震え、重人の目の前で由羅の胴着とスカートが紙切れのように引きちぎられていく。
透明な巨人の手でむしられるように、革と布が細切れになって紙吹雪よろしく四散した。
まるで特大の”かまいたち”だ、と重人は思った。
由羅の背後に隠れていなければ、重人自身の身体がバラバラに引き裂かれていたに違いない。
が、それほどの”圧”をまともにくらいながらも、由羅は倒れなかった。
黒いブラとショーツだけの姿で、膝まである頑丈なブーツで大地を踏みしめ、昂然と顎を上げ、ふてぶてしくルナのほうを見つめている。
「伏せてろ」
前を向いたまま重人に声をかけると、
「なんのまじないだ?」
持ち前の挑発的な口調で、ルナをからかいにかかった。
「そんな手品で、うちを倒せるとでも思ってるのか?」
「うるさい」
ルナの眉間に縦皺が寄った。
左手を伸ばすと、右手首をつかんで支えた。
瞳が再び輝きを放つ寸前、由羅が飛んだ。
斜め上に跳躍すると、車寄せに沿って生えた木立ちに向かってジャンプしたのだ。
ルナの放つ”気”が、林を揺らした。
舞い上がる木の葉の渦の中、由羅が木の幹を蹴り、すかさず反対側の木立ちに飛び移る。
ルナはその姿を追い切れない。
腕で照準を合わせようとするが、”気”を放つとすでにその先に由羅はいないのだ。
あたかも忍者のごとく、木立ちから木立ちへと飛び移りながら、由羅は高速でルナのほうへと接近していく。
「くらえ! 地獄に堕ちろ!」
木立が切れるところでひと際高く舞い上がり、空中で前蹴りの体勢を取った。
が、その時ルナが振り向いた。
振りかざした右手が、高空から落下する由羅を捕らえた。
「な、なにい?」
大の字に手足を伸ばしたまま、由羅が空中ではりつけになる。
「く、くそ! おろせ!」
悔しげに叫ぶが、ルナの見えない手は、今や完全に由羅を拘束してしまっているようだ。
半裸の由羅は、展翅版に留められた蝶の標本のように空中に四肢を伸ばしたまま、ピクリとも動けないでいる。
「よくやったわ」
口元にかすかな微笑を浮かべて、美里が進み出た。
「後は私に任せなさい」
由羅を見上げる位置に立つと、やおらブラウスの前を引き開けた。
と同時に、豊満な乳房がこぼれ出る。
「な、何する気だ?」
由羅がみるみるうちに、青ざめた。
その裸の胸を目の当たりにして、ようやく美里の”異常さ”に気づいたのだった。
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