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第10部 姦禁のリリス

#22 青い眼の牝犬①

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 復活したいずなに太腿を絡みつかせ、性器と性器を密着させて杏里が腰を振り出した頃…。
 そこからそう遠くないヤチカの屋敷では、ルナの調教の真っ最中だった。
 ヤチカにとって、処女同然のルナを手なずけることは、赤子の手をひねるより簡単だった。
 毎日の食事や飲み物に媚薬を混ぜ、中毒にする。
 そうして身体中を性感帯にしておいて、そばにいる時、何気ないしぐさであちこちに触れてやる。
 例えばテラスで昼食を一緒に摂りながら、ルナの口に指を入れてやると、ルナは初めこそ恥ずかしげにいやいやをするのだが、そのうちに夢中になってヤチカの指を吸い始めるのだ。
 ヤチカの巧みな暗示と井沢の邪眼のせいで、ルナは自分を病人だと思っている。
 だから、一日中、裸にシースルーの薄物をまとっただけの姿でも、文句ひとつ言わないでヤチカについてくる。
 その薄い布を通して浮き出た可憐な乳首を、気まぐれにヤチカは触る。
 ルナは乳房自体がそれほど大きくないので、乳首の勃起が杏里以上に目立つ。
 それをすれ違いざまつねってやるだけで、この金髪碧眼の美少女は我を忘れ、床に這いつくばってしまうのだ。
 そんなルナを全裸に剥き、壁際に立たせてヤチカは最後の仕上げにかかっている。
 バレエダンサーのように片脚を上げ、踵を壁につけて立つルナは、興奮と恥辱で全身を薔薇色に火照らせている。
 その強調され、丸出しになった性器に指を潜り込ませ、ヤチカはルナの右の勃起乳首を甘噛みする。
 もちろん、もう一方の手で左の乳首を弄ぶのも忘れない。
「好き…」
 うわ言のように、ルナが言う。
「ヤチカさん…好き…」
 最近、頻繁にルナが口にする言葉だった。
 愛に飢えているのか、とヤチカは思う。
 杏里もそうだったように、人間からも外来種からも排斥されたパトスやタナトスは、地上で最も孤独な生き物かもしれない…。

 絶頂に達し、気を失ったルナをベッドに横たえた時だった。
 開け放したドアから、ふらりとダウンジャケット姿の井沢が入ってきた。
「なに?」
 興味なさげに、ヤチカは訊いた。
 井沢がここに来るのは珍しい。
 ヤチカを性奴隷にして弄んだ井沢だったが、このところ、飽きがきたのか、すっかりご無沙汰なのだ。
「久しぶりに、私の身体が恋しくなってきたの?」
「だったらいいんだがな」
 時代遅れのミラーグラスを光らせて、井沢が苦笑した。
「きょうは、悪い知らせを持ってきた。榊由羅とかいう、元笹原杏里の相棒だった娘。あいつが生きている」
「由羅が?」
 委員会本部で、由羅が黒野零に殺されたらしい。
 そう教えてくれたのは、井沢である。
 井沢は委員会の中にもスパイを放っているのか、敵の裏事情にもやけに詳しいのだ。
「ばあさまのドールズネットワークに引っかかった。どうやらあの来栖重人とかいうヒュプノスと一緒らしい」
 重人君も、生きてたんだ。
 なんとはなしに。ほっとした。
 あの曙中学の火災に巻き込まれ、命を落としたかもしれないと気にかかっていたところだったのだ。
「由羅たちは、ルナを探している。近いうちに、ここにもやって来るだろう。美里はこっちに配置してあるから、ここはおまえたちにしのいでもらうしかない」
「わかったわ」
 ヤチカはうなずいた。
 由羅は敵に回すと恐ろしい相手である。
 一度殺されたとはいえ、あの殺戮兵器黒野零と互角に渡り合うだけの武闘派パトスなのだ。
 だが、こっちには、洗脳され、調教の済んだルナがいる。
 そろそろルナの超能力の封印を解く時だろう。
「ちょうどいいから、あなたがかけた封印を今、解いてあげてくれないかしら。そうすれば、由羅なんてこわくないもの」

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