激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【激闘編】

戸影絵麻

文字の大きさ
上 下
371 / 463
第10部 姦禁のリリス

#17 重人と由羅①

しおりを挟む
「あの雌犬め」
 由羅が歯軋りするようにつぶやいた。
 由羅はもとよりヤチカに良い感情を抱いていない。
 一度ヤチカに、杏里を寝取られたことがあるからだ。
 最後の最後に由羅に対する思いを打ち明けてくれた杏里だったが、その前の1か月ほどは、いわば杏里はヤチカの”女”にされていたのである。
「つまり、ルナはヤチカさんの屋敷にいる。その可能性が高い」
「なんでだよ。どうしてパトスが外来種の家なんかに?」
 ヤチカは外来種だ。
 ただ、不完全な外来種とでもいうべきなのか。
 元は両性具有だったが、零との死闘を機に、男性機能を失って、完全な雌になった。
 が、零のように特別に身体能力が優れているわけでもなく、どこをとってもただの人間の女にしか見えないのだ。
「わかんない。でも、あの日、学校に彼女が来てたことは確かなんだ。もうひとりの外来種の男と一緒に」
「もうひとりの、外来種?」
「うん。なんか、やばそうな能力を持ってた」
「やばそうって、どんなふうに?」
「わかんない。その前に出くわした時、僕、何かされたみたいなんだけど、それがなんだったのか、いまだによくわからないままなんだ」
「ちぇ、使えないやつだな」
 由羅が憮然となった。
「まあ、いい。とにかく、ヤチカんとこに行けば、そのルナとやらに会えるんだな? じゃ、早速行くぞ。早くくえよ。そのポテト。なんならうちが手伝うか?」
「ええー! 今からなの?」
 悲鳴を上げる重人。
 このせっかちなところも、元の由羅のままだ。
「善は急げって言うだろ。ルナの次はいよいよ杏里だ。のんびりしてる暇ないんだよ」
「あのさ」
 ふと思いついて、重人はたずねた。
「由羅、今は杏里のこと、どう思ってるの?」
 重人の分のフライドポテトを鷲掴みにしたところで、由羅が固まった。
「どう思うって…」
 みるみるうちに、その浅黒い頬に血の気が上る。
「そんなん、決まってるだろ! 余計なこと言ってないで、早くそのコーラ、飲んじまえよ!」



 ベッドの上に寝そべったルナの裸身の上を、ヤチカのしなやかな指が這う。
 身体じゅうの敏感な部位をまさぐられ、ルナは無意識のうちに喘ぎ声を漏らしていた。
 肌が火照って、暑くてたまらない。
 片膝を立てたルナの内腿を、手の甲でヤチカが撫でおろしていく。
 そのついでというように、指先が湿った陰部の隙間をなぞり、充血したクリトリスにかすかに触れる。
 ルナの乳首はすでに痛いほど突き立っている。
 こんなに勃起したのは、杏里に触られて以来のことだ。
「あああん…」
 歯を食いしばっていても、ついつい甘い声が漏れてしまう。
 自分の声とは思えないくらい、他人に依存し切った受け身の女の声だ。
 やがてヤチカの愛撫が陰部に集中し、ルナはいとも簡単に身体を開いてその淫蕩な指を受け容れた。
「あなたをモデルに絵を描くのも、いいかもね」
 潤った秘所に指先を出し入れしながら、ヤチカが言った。
「こんなことしてたら、久しぶりに創作意欲が湧いてきたみたい。杏里ちゃんの画集の続編をつくるつもりでいたのだけど、その前に、あなたの画集を出すというのも、素敵よね」
「私の、画集…?」
 潤んだ眼で、ヤチカを見上げてルナが訊く。
 そのアクアマリンの瞳には、ペットが主人を見る時のような熱情が浮かんでいる。
「タイトルは、そうね…。『淫虐少女絵画集』というのはどうかしら?」
 ルナのクリトリスを指先で気まぐれに転がしながら、楽しそうにヤチカが言った。


 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

処理中です...