激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【激闘編】

戸影絵麻

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第10部 姦禁のリリス

#3 ルナの恥じらい

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 嘘だ。
 全部嘘。
 杏里は助かってなどいない。
 今頃は、井沢たちの基地のどこかで、枯渇したいずなの代わりにエキスを絞り取られているはずだ。
 でも、この娘は、それを疑うことなどできない。
 一度、井沢の邪眼を見たからには、そのマインドコントロールから逃れることはできないのだ。
 私だって、解けるまで何日もかかったのだから…。
 ネグリジェを脱がされ、水色のパンティ一枚になったルナの身体を見つめながら、ヤチカは思う。
 井沢の支配から脱した今、一見、自由はこの手にあるように見える。
 だが、私ひとりでは、あまりに非力だ。
 ここから逃げ出したとしても、すぐに捕まってしまうに違いない。
 そうなれば、また元の木阿弥だろう。
 再び井沢の邪眼にさらされ、今度はもっと強力な催眠術にかけられるのが関の山。
 ならば、少しずつ準備を進めていくしかない。
 杏里を救い出すための、下準備を。
 それには味方が必要だ。
 井沢たちに単身立ち向かえるような、強大な力を秘めた味方が…。
 そして、今が、そのチャンスの時だった。
 そう…。
 私には、この子がいる。
 井沢の命令に従うふりをしながら、この子を私のものにしてしまえばいい。
 いつか、杏里の心と体を虜にしたように…。
 ヤチカの手のひらが、触れるか触れないかの距離を保って、ルナの裸身をなぜる。
 ルナの乳房はそんなに大きくはない。
 ハーフにしては、小ぶりなほうだろう。
 だが、綺麗な形をしている。
 仰向けになっても崩れることなく、頂に向けて美しく盛り上がっているのだ。
「なに、するの…?」
 身体を拭くと言いながら、ヤチカは素手のままである。
 そのヤチカの手の動きを、ルナは目だけで追いかけている。
「まずは、マッサージから」
 ヤチカの手のひらがすっと乳首の先を撫でていくと、
「あっ」
 ルナが小声で叫んで目を閉じた。
 がたん。
 音がして、机の上の置時計が倒れた。
 ヤチカの手が円を描き、交互に乳頭をかすめていく。
 ピシッ。
 今度は鏡だった。
 壁にかけられた鏡の表面にひびが入ったのだ。
 ポルターガイスト…?
 部屋中の小物がカタカタ音を発して揺れている。
 性感帯を刺激されたルナが、無意識のうちに力を湧出させている証拠だった。
「あなた、感じやすいのね」
 ヤチカはルナの乳房の上に手を置いた。
 マシュマロもかくやと思われるほど柔らかいその肉を、味わうように揉み始める。
「やめ…て」
 ルナが顔を背け、両手でぎゅっとシーツを握る。
「いいのよ。恥ずかしがらなくても」
 ヤチカはその陶磁器のように白い頬に顔を寄せていく。
「ここには、私たちしかいないんだから」
 そっと桜色の耳を噛むと、パリンと乾いた音を立て、鏡が砕け散った。


 

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