激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【激闘編】

戸影絵麻

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第9部 倒錯のイグニス

#324 最期の性交①

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 -大丈夫、なの?-
 頭の中に思念を浮かべると、すぐに返事が返ってきた。
 -うん、君のおかげだよ。まだ完全とはいかないけど、僕、まだ、あと1回はやれると思うー
 立ち去り際に杏里は重人の傷ついた局部に多量のエキスを塗り込んできた。
 そのことを言っているのだ。
 が、不死身の再生能力を持つタナトスと違い、重人の傷が全快するにはまだ相当時間がかかるはずだった。
 その意味でも重人が無理を押しているは明らかだ。
 その証拠に、杏里を見つめる少年の顔は幽鬼の如く青ざめている。
 -無理しないで。ここは私ひとりで、なんとかするからー
 -強がるなよ。杏里だって、もう限界なんだろ? こいつら、みんな防御のためにコンドームとビニル手袋をつけている。これじゃ、いくら君ががんばっても、きりがない-
 -でもー
 -いいから、僕にさせてー
 重人の思念に苦渋の色が混じった。
 -僕、もう耐えられない。君がそんなふうに滅茶苦茶にされて、なのにエクスタシーを感じてるだなんてー
 嫉妬だ。
 重人は教師たちに激しく嫉妬しているのだった。
 それは、重人の裸の下半身にそそり立つ肉棒が証明していた。
 一度ちぎれかけたにもかかわらず、杏里の体液により一時的に修復され、痛々しくも勃起しているのだ。
 ペニス全体に網の目のように赤い線が走っているのは、まだ接着が不十分だからだろう。
 あの状態でセックスなどしたら、重人のペニスはバラバラに裂け、二度と元に戻らなくなるおそれがある。 
 だが、重人の言う通り、他に方法がないのも確かだった。
 杏里と重人が交わり、ふたり分の快感を重人の能力で増幅して発散する。
 これだけ敵が密集していれば、その威力はけた違いに大きくなるに違いない。
 -わかったわ。来て-
 -うんー
 重人を迎え入れるためには、まず邪魔者を排除しなければならない。
 杏里は膣壁の括約筋を意志の力でコントロールすると、中に突っこまれた2本のペニスを根元から締め上げた。
 同時に腰を跳ね上げるように動かし、亀頭の先端を激しく刺激する。
 脈動が始まり、コンドームの中に大量の精液をぶちまけて、1本、また1本と硬さを失ったペニスが離脱していった。
 次に、乳房に押し当てられているローターをつかむと、杏里はそれを自分の手で膣の奥深くまで埋め込んだ。
 重人のペニスだけではいけそうにない。
 とっさにそう判断したからだった。
 杏里の膣に挿入していたふたりが果てると、その余波をくらってか、アナルを貫通していた肉棒も爆発した。
 これで下半身が自由になった。
 伸びてくる無数の腕を払いのけ、教師たちの足元にしゃがみこむ。
 待つほどもなく、林立するすね毛だらけの醜い脚の間から、重人が猫の仔のように這い出してきた。
 尻もちをつくように両足をいっぱいに広げ、両腕を伸ばして重人の手を引っ張った。
「杏里!」
 むしゃぶりついてくる重人。
 涙と鼻水で顔がぐちょぐちょだ。
 フレームの曲がった眼鏡が、変な角度で顔に貼りついている。
「見直しちゃったよ」
 腰を浮かせて重人の勃起ペニスを膣口に導きながら、杏里はかすれた声でささやいた。
「まさか重人が、私の白馬の王子様だったなんてね」
 
 

 

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