310 / 463
第9部 倒錯のイグニス
#310 蜜色の罠⑤
しおりを挟む
いつのまにか、プールを満たすローション・オイルは濃密なスープに変わってしまったかのようだった。
杏里の全身からにじみ出る媚薬入りエキス。
プールの中で杏里を弄ぶ生徒たちが分泌する、おびただしい量の精液や愛液。
それらがないまぜになって閾値を超え、化学変化を起こしたかのように猛烈に匂い立っている。
その証拠に、第一陣の生徒たちはすでに正気を無くしている。
プールの中でお互いに絡み合い、水着のまま、性行為に及ぶ者。
プールのへりに性器をこすりつけて激しいオナニーに没頭する者。
全員、浄化の一歩手前まで来ていた。
「何してるんだ? おまえら」
業を煮やした第二陣の生徒たちが次々とプールに飛び込んできて、放心状態の仲間たちを外に引きずり出す。
が、彼らも同じだった。
プールを満たしたスープに触れると、1分と経たないうちにその影響が出始めた。
杏里の周囲に淫らな喘ぎ声が満ち、少年と少女、あるいは少年同士、少女同士が互いにまぐわい、痙攣する。
いったん連鎖が始まると、第三陣まで合せたおよそ30人のクラスメイトが陥落するまでに大して時間はかからなかった。
残るはプールサイドに仁王立ちになっている佐伯忠雄、ただひとりだった。
「化け物め!」
佐伯は両手に剣道の竹刀を握っている。
「みんなに何をした? おまえはいったい何者なんだ?」
プールの中央に身を起こした杏里を睨み下ろし、頬をひきつらせて、金切り声で叫んだ。
「わかってるでしょ? 私が美里先生の後継者だってことは」
全身から黄金色のスープをしたたらせ、杏里はプールの中を佐伯に向かって歩いていく。
「でも、違うのは、先生は”出来損ない”だったってこと。出来損ないの治療を受けたせいで、あなたたちの病気はますます重くなってしまった。だからそれを、私が治しに来たの」
「何を言ってる? わけのわからないことを!」
佐伯が竹刀を振り上げ、杏里の頭部に振り下ろそうとした、その時だった。
杏里の口が丸く開き、ピンクの舌が宙を走った。
「わっ!」
足首を取られ、佐伯が転倒する。
転がり落ちてきた少年を、杏里は全体重をかけて、プールの底に押さえ込んだ。
スープを飲んだ証拠に少年の口から泡が吹き上がり、またたくまに身体じゅうから力が抜けていく。
終わった。
プールから上がり、酒池肉林の地獄と化した教室を眺め渡して、杏里は右手の人差し指で額にかかった濡れた髪をかき上げた。
これで生徒は三学年とも浄化した。残るは職員室。それさえ突破すれば、ゴールは近い。
ただ、気がかりなのは、ふみと璃子がいまだに姿を見せないこと。
そして、会場に潜入しているはずのヤチカと謎の男の行方。
が、それは考えても仕方のないことだった。
今は最後まで突き進むしかないのだ。
形のいい乳房をかすかに揺らし、杏里は全裸のまま、次の試練に向けてゆっくりと歩き出す…。
杏里の全身からにじみ出る媚薬入りエキス。
プールの中で杏里を弄ぶ生徒たちが分泌する、おびただしい量の精液や愛液。
それらがないまぜになって閾値を超え、化学変化を起こしたかのように猛烈に匂い立っている。
その証拠に、第一陣の生徒たちはすでに正気を無くしている。
プールの中でお互いに絡み合い、水着のまま、性行為に及ぶ者。
プールのへりに性器をこすりつけて激しいオナニーに没頭する者。
全員、浄化の一歩手前まで来ていた。
「何してるんだ? おまえら」
業を煮やした第二陣の生徒たちが次々とプールに飛び込んできて、放心状態の仲間たちを外に引きずり出す。
が、彼らも同じだった。
プールを満たしたスープに触れると、1分と経たないうちにその影響が出始めた。
杏里の周囲に淫らな喘ぎ声が満ち、少年と少女、あるいは少年同士、少女同士が互いにまぐわい、痙攣する。
いったん連鎖が始まると、第三陣まで合せたおよそ30人のクラスメイトが陥落するまでに大して時間はかからなかった。
残るはプールサイドに仁王立ちになっている佐伯忠雄、ただひとりだった。
「化け物め!」
佐伯は両手に剣道の竹刀を握っている。
「みんなに何をした? おまえはいったい何者なんだ?」
プールの中央に身を起こした杏里を睨み下ろし、頬をひきつらせて、金切り声で叫んだ。
「わかってるでしょ? 私が美里先生の後継者だってことは」
全身から黄金色のスープをしたたらせ、杏里はプールの中を佐伯に向かって歩いていく。
「でも、違うのは、先生は”出来損ない”だったってこと。出来損ないの治療を受けたせいで、あなたたちの病気はますます重くなってしまった。だからそれを、私が治しに来たの」
「何を言ってる? わけのわからないことを!」
佐伯が竹刀を振り上げ、杏里の頭部に振り下ろそうとした、その時だった。
杏里の口が丸く開き、ピンクの舌が宙を走った。
「わっ!」
足首を取られ、佐伯が転倒する。
転がり落ちてきた少年を、杏里は全体重をかけて、プールの底に押さえ込んだ。
スープを飲んだ証拠に少年の口から泡が吹き上がり、またたくまに身体じゅうから力が抜けていく。
終わった。
プールから上がり、酒池肉林の地獄と化した教室を眺め渡して、杏里は右手の人差し指で額にかかった濡れた髪をかき上げた。
これで生徒は三学年とも浄化した。残るは職員室。それさえ突破すれば、ゴールは近い。
ただ、気がかりなのは、ふみと璃子がいまだに姿を見せないこと。
そして、会場に潜入しているはずのヤチカと謎の男の行方。
が、それは考えても仕方のないことだった。
今は最後まで突き進むしかないのだ。
形のいい乳房をかすかに揺らし、杏里は全裸のまま、次の試練に向けてゆっくりと歩き出す…。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる