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第9部 倒錯のイグニス
#305 タナトスの矜持④
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A組攻略に思ったより時間を取られてしまった杏里だったが、そこで習得した手法が次の2クラスで役立った。
学年が同じで、顔見知りの生徒が何人かいたことと、B組とC組にはクラスをまとめるリーダー的存在が不在だったことも、杏里にとってはラッキーだった。
自分をイカせた者にリングを渡す。
その条件で、2クラス70人をひとりずつ浄化していったのだ。
だが、A、B、Cの3クラス分の生徒たちをフェラチオとクンニで片づけ終えた頃には、さすがの杏里もへとへとに疲れてしまっていた。
目がかすみ、顎がだるい。
舌先がしびれたようになり、うまくしゃべれない。
あまりにも滑稽な、まるで下手なギャグ漫画のような展開に、思わず自分でも笑い出したくなるほどだ。
だが、それが一番安全で地道な方法であることも、また確かだったのだ。
杏里は今、全裸で廊下を歩いている。
コスチュームも下着もはぎ取られ、豊満なGカップの乳房を弾ませて、無毛の下腹部もあらわに歩いていく。
目の前には、次のD組の入口が見えている。
あと2クラス。
先が見えてきた、と思う。
それにしても、つらい。
この脱力感は、半端ない。
引きちぎれかけたクリトリスは、持ち前の治癒能力で、すでに完全に元通りになっている。
いや、それどころか、修復の過程でクリトリスリングを中に取り込み、もはや容易には外せない状態だ。
だから肉体に傷は一切負っていないのだが、体力が底を尽きかけているのだった。
補充の媚薬は、後は職員室のある中央棟と、体育館の下駄箱に隠してある分だけである。
せめてそれを服用して、一時的にでも性的エネルギーを取り戻したいと切に思う。
が、そのためには、この西棟の最後の2クラスを陥落させなければならないのだ。
廊下の壁につかまりながら、D組の入口の前に立つ。
深呼吸をして、一気に戸を引き開けた。
何も起こらなかった。
人の気配もまるでない。
首だけ伸ばして内部の様子をうかがった杏里は、予想外の光景に出くわして、呆然と口を開けた。
「何、これ…?」
D組の教室内には生徒の姿はなく、ただ机と椅子が雑然と詰め込まれているだけだった。
しかも、数が馬鹿に多い。
数えてみるまでもなく、優にふたクラス分はありそうである。
「どういうこと?」
閉めた引き戸に背をもたせかけ、杏里は吐息をついた。
D組の生徒たちは、どこにいってしまったというのだろう?
これまでの杏里の奮闘ぶりをどこからか監視していて、おそれをなして逃げ出してしまったのだろうか。
でも、それではあの机と椅子の山の説明がつかない。
生徒が姿を消し、机と椅子が増える。
奇妙なミステリーだった。
杏里は廊下の先に目をやった。
突き当りの手前に、最後のクラス、E組がある。
杏里自身が所属するクラスである。
E組の教室は、不気味なほど静まり返っている。
何かあるとしたら、あそこだ。
そう思わずにはいられない。
E組には璃子とふみがいるのだ。
あのふたりが、クラスの一員として、他のクラスメイトたちと共同作業をするとは考えにくいが、璃子が彼らに何かよからぬ知恵を授けている可能性は十分にある。
息を整え、足を引きずるようにして、また歩き出す。
とにかく今確かに言えるのは、あのE組さえ攻略すれば、この棟は終了ということだけだ。
やるしかなかった。
杏里は下唇を噛みしめた。
なぜって私は、最強のタナトスなのだから。
学年が同じで、顔見知りの生徒が何人かいたことと、B組とC組にはクラスをまとめるリーダー的存在が不在だったことも、杏里にとってはラッキーだった。
自分をイカせた者にリングを渡す。
その条件で、2クラス70人をひとりずつ浄化していったのだ。
だが、A、B、Cの3クラス分の生徒たちをフェラチオとクンニで片づけ終えた頃には、さすがの杏里もへとへとに疲れてしまっていた。
目がかすみ、顎がだるい。
舌先がしびれたようになり、うまくしゃべれない。
あまりにも滑稽な、まるで下手なギャグ漫画のような展開に、思わず自分でも笑い出したくなるほどだ。
だが、それが一番安全で地道な方法であることも、また確かだったのだ。
杏里は今、全裸で廊下を歩いている。
コスチュームも下着もはぎ取られ、豊満なGカップの乳房を弾ませて、無毛の下腹部もあらわに歩いていく。
目の前には、次のD組の入口が見えている。
あと2クラス。
先が見えてきた、と思う。
それにしても、つらい。
この脱力感は、半端ない。
引きちぎれかけたクリトリスは、持ち前の治癒能力で、すでに完全に元通りになっている。
いや、それどころか、修復の過程でクリトリスリングを中に取り込み、もはや容易には外せない状態だ。
だから肉体に傷は一切負っていないのだが、体力が底を尽きかけているのだった。
補充の媚薬は、後は職員室のある中央棟と、体育館の下駄箱に隠してある分だけである。
せめてそれを服用して、一時的にでも性的エネルギーを取り戻したいと切に思う。
が、そのためには、この西棟の最後の2クラスを陥落させなければならないのだ。
廊下の壁につかまりながら、D組の入口の前に立つ。
深呼吸をして、一気に戸を引き開けた。
何も起こらなかった。
人の気配もまるでない。
首だけ伸ばして内部の様子をうかがった杏里は、予想外の光景に出くわして、呆然と口を開けた。
「何、これ…?」
D組の教室内には生徒の姿はなく、ただ机と椅子が雑然と詰め込まれているだけだった。
しかも、数が馬鹿に多い。
数えてみるまでもなく、優にふたクラス分はありそうである。
「どういうこと?」
閉めた引き戸に背をもたせかけ、杏里は吐息をついた。
D組の生徒たちは、どこにいってしまったというのだろう?
これまでの杏里の奮闘ぶりをどこからか監視していて、おそれをなして逃げ出してしまったのだろうか。
でも、それではあの机と椅子の山の説明がつかない。
生徒が姿を消し、机と椅子が増える。
奇妙なミステリーだった。
杏里は廊下の先に目をやった。
突き当りの手前に、最後のクラス、E組がある。
杏里自身が所属するクラスである。
E組の教室は、不気味なほど静まり返っている。
何かあるとしたら、あそこだ。
そう思わずにはいられない。
E組には璃子とふみがいるのだ。
あのふたりが、クラスの一員として、他のクラスメイトたちと共同作業をするとは考えにくいが、璃子が彼らに何かよからぬ知恵を授けている可能性は十分にある。
息を整え、足を引きずるようにして、また歩き出す。
とにかく今確かに言えるのは、あのE組さえ攻略すれば、この棟は終了ということだけだ。
やるしかなかった。
杏里は下唇を噛みしめた。
なぜって私は、最強のタナトスなのだから。
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