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第9部 倒錯のイグニス

#300 西棟攻略⑲

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 媚薬成分をたっぷり含んだ淫汁の効果は、覿面だった。
 少年の手から血まみれのニッパーが落ち、床で鈍い音を立てて転がった。
「そんなに、犯してほしいんか?」
 ズボンのベルトに手をかけながら、上ずった声で言う。
「ようし、リングを獲るのはおまえを犯したあとにする。さあ、もっと足を開かせるんや」
「あなたにできるかしら?」
 杏里は見下すように微笑んだ。
「どうせ、いつも猫でも殺して自分を慰めてるんでしょ? そんなオナニーもできない異常者に、正常なセックスが可能だとはとても思えないんだけど?」
「うるせえ!」
 少年の手が肩をつかんだ。
 ズボンを下ろした下半身から、先細りの黒い肉棒がそそり立っている。
 少年は明らかに包茎だった。
 勃起してもなお、余った包皮がペニスの先を覆い隠しているのだ。
「待ちなさい。それじゃ、ぜんぜん役に立たないから」
 叱咤するように、鋭く杏里は制止した。
「私をイかせたかったら、そのペニスじゃだめ」
「な、なんだとォ?」
 少年の削げた頬が、屈辱で赤くなる。
「あなた、完全包茎じゃない。それでまともなセックスができると思ってるの?」
「か、完全包茎…?」
 杏里の指摘に、少年は狼狽の色を隠せないようだった。
 三白眼の眼が泳ぎ、己の貧弱な分身と杏里の艶めかしい裸体とを、せわしなく交互に見比べている。
「そんなに勃起してるのに、亀頭が見えないのは、包皮が完全に癒着してしまっているから。もしそのままあなたがそれを私に挿入したら、きっと皮が引きつって痛くてセックスどころじゃないはずよ。十分にピストン運動もしないうちに、あなたのペニスは血まみれになる」
 杏里の予測通り、この少年、まともにオナニーをしたこともないのだろう。
 きっとこれまで、小動物や自分より年下の子どもを虐待することなど、歪んだやり方で性欲を昇華させてきたに違いない。
「くそ、じゃ、じゃあ、どうすればいい?」
 杏里の淫汁を目や口から吸収した影響で、少年の性欲は限界まで高まっている。
 しかし、土壇場でそれを吐き出すことを禁じられ、すっかり混乱してしまっているようだった。
「私ができるようにしてあげる」
 諭すような口調で、杏里は言った。
「お口と手で、まずその完全包茎を治してあげる」
「そ、そんなことが、できるのか?」
 暗く沈んでいた少年の目に、希望の光が灯った。
「もちろんよ。私を誰だと思ってるの? 学園祭の紹介動画も、オープニング・セレモニーの動画も、ちゃんと見てくれたんでしょう?」
「あ、ああ」
「なら、話は早いよね」
 杏里は、手首を拘束した手錠を顎で示してみせた。
「今すぐ私を自由にして。この手とこのお口で、あなたに素敵なおフェラをしてあげられるように」
 

 
 
 

 

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