激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【激闘編】

戸影絵麻

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第9部 倒錯のイグニス

#294 西棟攻略⑬

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 重人の声に冷静さを取り戻すと、杏里は改めてじっくりと目の前の大人びた少女を観察した。
 美咲は表情までをも凍りつかせ、時間が止まってしまったかのように動かない。
 これも重人の能力のうちのひとつだった。
 重人は”ヒュプノス”である。
 もとはといえば、戦いで疲弊しきった杏里たちタナトスや由羅やルナのようなパトスの精神を、持ち前の催眠能力で安定させるのがメインの”仕事”なのだ。
 だから、その延長線上で、マインドコントロールをも行うことができるというわけだった。
 ただし、重人のマインドコントロールは、手を触れている相手にしか効かなかったはずである。
 なのに、今、数メートル離れた美咲の心を”つかんだ”ということは、媚薬のせいで能力が一時的に強化されているのに違いない。
 胸が詰まった。
 由羅だけでなく、重人までが土壇場でこの私を…。
 報いなければ。
 みんなの思いに。
 この私が。
「ありがとう、重人。待って。この人をすぐ片づけて、あなたの傷を癒やしてあげるから」
「う、うん…早めに頼むよ。頭がふらふらして、僕、あんまり、長持ちしそうにない…」
 血まみれの股間に頭をうずめるようにして、重人が言った。
 サイコジェニーは、アクティブなタナトスは邪道だと言ったけど、ここは私から動くしかない。
 美咲はカッターナイフをかまえた姿勢のまま固まって、目だけで杏里の動きを追っている。
 心を決めると、杏里は美咲の前に立ち、そのはだけたブラウスに両手をかけた。 
 相手が動けないことを確かめて、思いきりボタンを引きちぎる。
 レースの縁取りのある大人びたブラジャーと、それに包まれた杏里のものに負けず劣らず豊かな乳房があらわになる。 
 更にブラをはぎ取ると、美咲の瞳に怯えの色が浮かんだ。
「こんなもの、必要ない」
 カッターナイフを奪い取り、遠くに放った。
「さあ、しゃんとしなさい」
 美咲の腰を抱き、ぐっと身体を引き寄せる。
 乳首同士がぴったりぶつかるように、飛び出た己の乳房をやにわに美咲の乳房に押しつけた。
「な、なに…?」
 美咲の眼が、驚きでいっぱいに見開かれる。
「あなたの性感帯、乳首でしょ」
 ぶつかりあった乳房の間から、オレンジ色の微光が漏れている。
 美咲の乳首が発する、性感帯の輝きだった。
「私と同じね。ちょうどいい」
 うっすら微笑むと、杏里は美咲を誘うように、おもむろに上体を上下に動かし始めた。

 
 

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