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第9部 倒錯のイグニス

#293 西棟攻略⑫

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 教室の床に倒れた少女に、異変が生じ始めていた。
 激しく喘ぎながら自分の胸をかきむしり、乳房をさらけ出すと、右手で揉み出した。
 股を拡げ、腰を突き出して、スカートをめくり上げ、パンティの隙間から左手の指を入れている。
 杏里の舌は、少女の鼻孔を通って、脳の松果体を直撃していた。
 性感帯である喉に塗りつけられたエキスと、刺激された松果体が分泌する快楽物質で、少女は一時的にニンフォマニアと化してしまったようだ。
 突然のクラスメイトの痴態に、女生徒たちの動きが止まった。
 全員、その淫らな雰囲気に頭から呑まれてしまったかのように、仲間の乱れっぷりを注視している。
 衣服と下着を乱され、半裸になった杏里の全身からオーラのように噴き上げる濃厚な性フェロモン。
 教卓の上のパソコンの画面がエンドレスで垂れ流す、セレモニーでの杏里の凌辱動画。
 あちこちでうめきながら自慰に没頭する男子生徒たち。
 そして今また始まった仲間の狂乱のオナニーシーンが、明らかに彼女らの精神に影響を与えていた。
 少女たちの手から、カッターナイフやハサミが落ちた。
 おもむろに顔を上げ、杏里を見つめる10対の瞳。
 その瞳に揺らいでいるのは、もはや他者を傷つけたいという破壊衝動ではなかった。
 性への飢えた渇望。
 それが、ほとんど物質と化して、杏里のほうに押し寄せてくるかのようだった。
 誰からともなく、女生徒たちが制服を脱ぎ出した。
 下着も脱ぎ捨て、全裸になると、夢遊病者のようにおぼつかない足取りで杏里に近寄ってきた。
 何本もの腕が伸び、たちまち杏里を床に組み伏せる。
 幾人もの裸の少女にのしかかられ、身体の細部をまさぐられながら、杏里はほとんど動かなかった。
 時折、目の前をオレンジ色の斑点がよぎるのに気づいては、そこに唾液をまぶした指を這わせるくらいだった。
 杏里の口に、乳房に、膣に口をつけた少女が、エキスを喉の奥まで流し込まれ、次々に脱落していった。
 10人全員が虫の息になり、床で緩やかな自慰を始めるまでに、5分とかからなかった。
 うごめくラブドールのような少女たちの裸体を押しのけて、杏里は立ち上がった。
 残るは、美咲ひとりである。
 性経験が豊富で、こうした雰囲気に耐性があるのか、美咲は教室中に蔓延する性的なムードにもさほど影響を受けていないようだった。
 右手に刃を飛び出させたカッターナイフを握り、杏里の出方をじっとうかがっている。
 やっかいな相手だった。
 璃子やふみに通ずるところのある、杏里が最も苦手とするタイプである。
 性衝動より、他己破壊衝動のほうが強いのだ。
 その意味では、美咲はあの黒野零の雛型といってもよかった。
「みんなに何をした? この化け物! サキュバスめ!」
 憎々しげに美咲がうなった。
 目が血走っている。
「おまえなんか、こうしてやる!」
 そう叫んで、飛びかかろうとした時である。
 突然凍りついたように、固まった。
「今だ。杏里」
 声がした。
 床の隅で血まみれになってうずくまっている重人の声だった。
「彼女の心は僕が制御した。早く、今のうちに浄化してしまうんだ」
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