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第9部 倒錯のイグニス

#278 東棟攻略③

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 重人を盾にして、杏里は廊下の端に立った。
 パンツの中に入れた右手で勃起したペニスの根元を握り、カッターシャツの間から滑りこませた左手で、アンズの実のような左の乳首をぎゅっとつまんでいる。
「いい? イキそうになったら、すぐに意識を全開にして。でも、まだ駄目だよ。もう少し我慢するの」
「くうう…。ひどいよ、こんなの」
 杏里の手の中で海綿体をひくひく波打たせながら、重人がうめいた。
 指先が濡れてきたのは、重人の尿道口からカウパー腺液がにじみ出してきている証拠だろう。
 杏里がペニスを握って包皮を押し下げているので、先から亀頭が露出し、下着にこすれて充血しているのだ。
 足音を忍ばせながら、1年A組の入口の前に立つ。
 下見の時にテレパシーで重人が探ったところによると、1年生の部屋にはロープだのネズミ捕りだのを使った仕掛けがいくつも施してあるらしい。
 大方、引き戸を開けると上から輪になったロープが落ちてきて首を絞めるとか、あるいは床に罠がしかけてあるとか、そんな子どもだましが関の山だろうと思う。
 しょせん、1年生の考えることなのだ。知能程度は小学生と大差ない。
「開けて」
 目の前の引き戸を顎でしゃくって、杏里は言った。
「罠にかかったと見せかけて、一気に念を放出するの。そうすれば、ひとクラス分の生徒を一網打尽にできる」
「ぼ、僕が先に入るの? それじゃ、まるで生贄じゃないか」
 尻込みする重人。
「言う通りにして」
 パンツの中で人差し指を伸ばし、濡れた亀頭の先をひと撫でする。
「はぐっ」
 感じたらしく、重人が身体をくの字に折って、尻を突き出した。
 ザザッ。
 頭上で音がしたのは、その瞬間だった。
 いきなり何かが落ちてきて、杏里と重人を包みこんだ。
 網?
 気づいた時にはもう遅かった。
 目の粗い頑丈な網に足をすくわれ、背後から重人を抱きしめたまま、杏里は転倒した。
 じわじわと視点が高くなっていく。
 杏里と重人を絡め取った網が、徐々に上昇を開始したのだ。
 と、次々に教室の引き戸が開いた。
 歓声を上げながら、5つの教室すべてから生徒たちが飛び出してくる。
 その思いもかけぬ光景に、杏里は絶句した。
 まさか、そんな…。
 予想外だった。
 こんな手があったとは。
 己のうかつさを呪いたくなった。
 まさか、こんなふうに、1年生全員が一気に襲いかかってくるなんて…。
 

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