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第9部 倒錯のイグニス

#277 東棟攻略②

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 生徒は全員教室に戻っているはずなのに、東棟は気味が悪いほど静まり返ってきた。
 音といえば、校庭から勇壮な『ロッキーのテーマ』がかすかに聞こえてくるだけだった。
 下駄箱の列の間に入り込むと、杏里は壁際の来客用コーナーに重人を引っ張りこみ、隅のボックスを開けた。
 中から出てきたのは、下着の替えとビニール袋に入った性露丸マグナムの錠剤だ。
 下着はオーソドックスな白だが、きわめて面積の狭いビキニタイプのショーツである。
 生地は薄く、穿くと恥丘の膨らみとその間のスリットがくっきり浮き上がった。
 スカートを上げ、次に上着を脱ぎ、ブラをする。
 ハーフカップの、かろうじて乳首が隠れるだけの小さなブラだった。
 Gカップの杏里には明らかに小さすぎ、無理に嵌めると乳房が下から押し上げられて深い谷間を形づくった。
「これでよし、と」
 元通り上着を羽織り、へその下でボタンを留めると、杏里は重人を振り返った。
 上は学ラン、下半身はパンツ1枚の重人は、見るからに情けない姿をしている。
 小学生並みに身体が小さく、アニメキャラみたいな童顔をしているだけに、見ていて笑いがこみ上げそうになるほどだ。
「これを飲んで」
 所在なげに柱にもたれ、杏里からわざとらしく目を逸らしている重人の鼻先に、杏里は手のひらを突きつけた。
「な、なに、これ?」
 杏里の手のひらの上の錠剤を一瞥するなり、重人が怯えたように言った。
「性露丸マグナム。とっておきの媚薬だよ」
「び、媚薬? そ、そんなもの、ど、どうして僕が」
 たじたじとなる重人。
 逃げないようにその肘をつかんで、杏里は命令口調でさらに言う。
「逆らわないの。いいから飲んで」
「わ、わかったよ」
 やけになったように黒い粒を口の中に放り込み、ごくんと飲み干す重人。
「まさか毒じゃないだろうね? 麻薬みたいに習慣性があったらどうするの?」
「文句言わない」
 どん。
 杏里の右手が伸び、重人を壁際に押しつける。
 ”壁ドン”の姿勢から、ぐっと顔を近づけていく。
 そうしながら、空いた左手は重人の股間のふくらみの上だ。
「な、なにすんだよ…」
 顔を傾け、斜め下から唇を奪い、重人の抗議を封じてしまう。
 舌で口をこじ開けながら、ゆっくりと左手を動かし、パンツの前を撫でさする。
 ペニスの裏側から睾丸あたりを布越しに数回撫でると、むくむくとパンツの下で硬いものが蠢き始めた。
 早くも媚薬の効果が現れたのか、貧弱な重人のペニスがすごい勢いで勃起し始めたのだ。
「んぐ、あ、杏里、だ、だめ、だめだって」
 カッターシャツの上から右の乳首をつまんでやると、重人の息がとたんに荒くなった。
 コリコリ指で転がしながら、乳首を硬く勃起させてやる。
「まだ出すんじゃない」
 ペニスの根元を右手でぎゅっと握り締め、杏里は言った。
「さあ、準備ができたらこのまま教室に突撃よ。まずは1-Aからだね」




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