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第9部 倒錯のイグニス
#272 恥辱まみれのセレモニー⑥
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私自身が、いく…?
改めて指摘されてみると、璃子の言う通りだった。
ざっと見た限り、浄化されていない者はあと30人以上残っているようだ。
興味津々といった風情で壁面の画像や周囲で乱れ狂う同胞たちを眺めてはいるが、その本人にはさして影響が表れていない。
ある程度性経験を積んだ者たちなのだろう、と杏里は思う。
監視役の教師たちのほとんどが残っているのが、その証拠といっていい。
少なくとも、既婚者であると思われる年配の教師たちにはまだ深刻な症状は現れていないのだ。
実際に肌を触れ合うことなく浄化させるには、やはり限界がある。
映像と音だけでは、性経験のない思春期の少年少女を気絶させるのが関の山というわけだ。
どうせ見せるなら、”本物”でなくてはならない。
そういうことなのだ。
「わかった」
杏里はだらりと脇に両手を垂らし、反抗の意図のないことを示した。
「いい子だ」
にいっと璃子が笑う。
そして、舞台の奥のほうを振り向くと、ハスキーな声を張り上げて呼びかけた。
「おい、ふみ、出番だ」
ふみ…?
杏里の顔色が変わった。
瞬間、逃げ出したい思いに駆られた。
肉達磨のようなふみ。
史上最強の醜女であるふみ相手に、杏里は何度も苦汁を舐めさせられている。
1度2度の浄化では済まないほど、ふみの闇は深いのだ。
真剣に相手をしたら、おそらく丸一日かけても勝負がつかないに違いない。
「大丈夫だ。ここでのふみの出番はない」
杏里の狼狽に気づいたのか、安心させるように璃子が言った。
「ただ力仕事をさせるために呼んだだけさ。うちは箸より重いものを持ったことがないんでね」
いつも竹刀を携帯しているくせに、適当なことをしゃあしゃあと口にする。
「呼んだあ?」
ビロードの緞帳をかきわけて、のっそりとふみの巨体が現れた。
2メートルに届かんばかりの上背。
腹回りも同じくらいはありそうだ。
一応ほかの部員と同様にビキニタイプのユニフォームを着てはいるが、達磨落としのように何段にもぜい肉が積み重なったその身体は、はみ出た部分がユニフォームを覆い隠すほど醜く垂れ下がっている。
「こいつらを積み重ねて台にしろ。できたらそのてっぺんに杏里を乗せるんだ」
倒れた部員たちのほうを顎でしゃくって、璃子が命令した。
「あいあい、お安いご用だよお」
ふみはなぜだかひどく上機嫌だった。
最下層が、一番身体の大きい小百合。
その上に、元相撲部の咲良。
次に、上背のある純。
そして、そのあとも、身体の大きい順に、麻衣、アニス、トモと互い違いに積み上げていく。
その人間ピラミッドが完成すると、次は杏里の番だった。
どすどすと足音も荒くふみが近づいてくる。
「そんなに怖がらないでよお」
尻込みする杏里を見つめて、豚のような眼が嬉しそうに細くなる。
「今は何もしないから。ふみの出番は、もっと、ずっと後」
言いながら、杏里のうなじと股間に手をかけると、飛行機投げのような体勢で、軽々頭上に持ち上げた。
やわらかいトモの身体の上にどさりと投げ落とされ、
「ううっ」
と杏里がうめいた時、耳元に口を寄せてきて、臭い息とともにふみがささやいた。
「最後までちゃんと逃げて来てねえ。約束だよォ。ふみ、首を長くして、杏里が来るの、待ってるからあ」
改めて指摘されてみると、璃子の言う通りだった。
ざっと見た限り、浄化されていない者はあと30人以上残っているようだ。
興味津々といった風情で壁面の画像や周囲で乱れ狂う同胞たちを眺めてはいるが、その本人にはさして影響が表れていない。
ある程度性経験を積んだ者たちなのだろう、と杏里は思う。
監視役の教師たちのほとんどが残っているのが、その証拠といっていい。
少なくとも、既婚者であると思われる年配の教師たちにはまだ深刻な症状は現れていないのだ。
実際に肌を触れ合うことなく浄化させるには、やはり限界がある。
映像と音だけでは、性経験のない思春期の少年少女を気絶させるのが関の山というわけだ。
どうせ見せるなら、”本物”でなくてはならない。
そういうことなのだ。
「わかった」
杏里はだらりと脇に両手を垂らし、反抗の意図のないことを示した。
「いい子だ」
にいっと璃子が笑う。
そして、舞台の奥のほうを振り向くと、ハスキーな声を張り上げて呼びかけた。
「おい、ふみ、出番だ」
ふみ…?
杏里の顔色が変わった。
瞬間、逃げ出したい思いに駆られた。
肉達磨のようなふみ。
史上最強の醜女であるふみ相手に、杏里は何度も苦汁を舐めさせられている。
1度2度の浄化では済まないほど、ふみの闇は深いのだ。
真剣に相手をしたら、おそらく丸一日かけても勝負がつかないに違いない。
「大丈夫だ。ここでのふみの出番はない」
杏里の狼狽に気づいたのか、安心させるように璃子が言った。
「ただ力仕事をさせるために呼んだだけさ。うちは箸より重いものを持ったことがないんでね」
いつも竹刀を携帯しているくせに、適当なことをしゃあしゃあと口にする。
「呼んだあ?」
ビロードの緞帳をかきわけて、のっそりとふみの巨体が現れた。
2メートルに届かんばかりの上背。
腹回りも同じくらいはありそうだ。
一応ほかの部員と同様にビキニタイプのユニフォームを着てはいるが、達磨落としのように何段にもぜい肉が積み重なったその身体は、はみ出た部分がユニフォームを覆い隠すほど醜く垂れ下がっている。
「こいつらを積み重ねて台にしろ。できたらそのてっぺんに杏里を乗せるんだ」
倒れた部員たちのほうを顎でしゃくって、璃子が命令した。
「あいあい、お安いご用だよお」
ふみはなぜだかひどく上機嫌だった。
最下層が、一番身体の大きい小百合。
その上に、元相撲部の咲良。
次に、上背のある純。
そして、そのあとも、身体の大きい順に、麻衣、アニス、トモと互い違いに積み上げていく。
その人間ピラミッドが完成すると、次は杏里の番だった。
どすどすと足音も荒くふみが近づいてくる。
「そんなに怖がらないでよお」
尻込みする杏里を見つめて、豚のような眼が嬉しそうに細くなる。
「今は何もしないから。ふみの出番は、もっと、ずっと後」
言いながら、杏里のうなじと股間に手をかけると、飛行機投げのような体勢で、軽々頭上に持ち上げた。
やわらかいトモの身体の上にどさりと投げ落とされ、
「ううっ」
と杏里がうめいた時、耳元に口を寄せてきて、臭い息とともにふみがささやいた。
「最後までちゃんと逃げて来てねえ。約束だよォ。ふみ、首を長くして、杏里が来るの、待ってるからあ」
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