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第9部 倒錯のイグニス
#265 凌辱美少女争奪戦③
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大山の演説は、生徒たちのモチベーションアップに、それなりの効果をもたらしたようだった。
犯罪に走りかねないほどまでにストレスを蓄積させた彼らは、得体のしれぬ不安に怯えていたに違いない。
いつ自分がその一線を越えてしまうのか、そんな不安に日々苛まれる彼らに、杏里の役割を明確に示すことで、大山はひとつの方向性を与えたのだ。
それはある意味、志望校合格の確約などという世知辛い褒賞より、彼らの心に響いたのかもしれない。
大山がぎりぎりのラインまで真実を語って聞かせたのは、おそらくその効果を狙ってのことなのだ。
「それでは、これからオープニング・セレモニーに招待された幸運な100名を発表する。各自名前を確認したら、校庭のミニシアターに移動するように。そのほかの者は、各自の教室に戻って準備にかかってくれ。なお、セレモニー参加者の選出は完全にランダムであり、成績、素行などは一切関係ない」
大山が派手なジェスチャーでスクリーンを示すと、安っぽいファンファーレが鳴り渡った。
と、スクリーンに、杏里の静止画像をバックにして、生徒たちの氏名が浮かび上がった。
自分の名前を見つけた生徒たちの間から、次々に歓声が沸き起こる。
「なお、セレモニーの様子は各教室にも中継するから、選に漏れた者は教室のモニター画面で楽しんでほしい。ゲーム開始時間は、13時とする。合図は、そのモニター画面を通して行う予定だ。それまでに、準備、食事等、必要なことは、すべて済ませておいてくれ」
大山がスタンドにマイクを戻して引っ込むと、代わりに生徒会長が進み出た。
「それでは皆さん、いったん解散とします。選抜者はシアターへ、その他の生徒はすみやかに教室に戻ってください」
「何をボーっとしてるんだい。さっさと降りな。行くよ」
突然肩を叩かれ、振り向くと、演壇の後ろに凛子が立っていた。
相変わらずの銀髪の下から、鋭い三白眼が覗いている。
「アイドルは裏口から移動って決まってるだろ。ついてきな」
杏里はふと、凛子の髪の色は地なのか、それとも染めているのか、そんな場違いな疑念にとらわれた。
もし染めているのだとしたら、どうして教師たちは何も言わないのだろう?
幸いなことに、近くに相棒のふみの姿はなかった。
それをすばやく確認すると、杏里は歩き出した璃子の背中に早口でたずねた。
「その前に、ちょっと聞きたいんだけど」
「ん?」
足を止め、凛子が振り返る。
「凛子、あなた、ヤチカさんとどういう関係なの? 彼女にプレミアムチケット渡したって、本当なの?」
「まあね」
凛子がわずかに口角を吊り上げた。
「なんでもあの女、おまえのセフレだっていうじゃないか。だったら招待しない手はないと思ってね」
「やめてよ。そんな言い方」
鼻白む杏里に、凛子がにたりと笑う。
「恋人の前で凌辱されるほうが、おまえも燃えるだろう? わかってんだよ。もともとおまえは、そういう女だってこともさ」
犯罪に走りかねないほどまでにストレスを蓄積させた彼らは、得体のしれぬ不安に怯えていたに違いない。
いつ自分がその一線を越えてしまうのか、そんな不安に日々苛まれる彼らに、杏里の役割を明確に示すことで、大山はひとつの方向性を与えたのだ。
それはある意味、志望校合格の確約などという世知辛い褒賞より、彼らの心に響いたのかもしれない。
大山がぎりぎりのラインまで真実を語って聞かせたのは、おそらくその効果を狙ってのことなのだ。
「それでは、これからオープニング・セレモニーに招待された幸運な100名を発表する。各自名前を確認したら、校庭のミニシアターに移動するように。そのほかの者は、各自の教室に戻って準備にかかってくれ。なお、セレモニー参加者の選出は完全にランダムであり、成績、素行などは一切関係ない」
大山が派手なジェスチャーでスクリーンを示すと、安っぽいファンファーレが鳴り渡った。
と、スクリーンに、杏里の静止画像をバックにして、生徒たちの氏名が浮かび上がった。
自分の名前を見つけた生徒たちの間から、次々に歓声が沸き起こる。
「なお、セレモニーの様子は各教室にも中継するから、選に漏れた者は教室のモニター画面で楽しんでほしい。ゲーム開始時間は、13時とする。合図は、そのモニター画面を通して行う予定だ。それまでに、準備、食事等、必要なことは、すべて済ませておいてくれ」
大山がスタンドにマイクを戻して引っ込むと、代わりに生徒会長が進み出た。
「それでは皆さん、いったん解散とします。選抜者はシアターへ、その他の生徒はすみやかに教室に戻ってください」
「何をボーっとしてるんだい。さっさと降りな。行くよ」
突然肩を叩かれ、振り向くと、演壇の後ろに凛子が立っていた。
相変わらずの銀髪の下から、鋭い三白眼が覗いている。
「アイドルは裏口から移動って決まってるだろ。ついてきな」
杏里はふと、凛子の髪の色は地なのか、それとも染めているのか、そんな場違いな疑念にとらわれた。
もし染めているのだとしたら、どうして教師たちは何も言わないのだろう?
幸いなことに、近くに相棒のふみの姿はなかった。
それをすばやく確認すると、杏里は歩き出した璃子の背中に早口でたずねた。
「その前に、ちょっと聞きたいんだけど」
「ん?」
足を止め、凛子が振り返る。
「凛子、あなた、ヤチカさんとどういう関係なの? 彼女にプレミアムチケット渡したって、本当なの?」
「まあね」
凛子がわずかに口角を吊り上げた。
「なんでもあの女、おまえのセフレだっていうじゃないか。だったら招待しない手はないと思ってね」
「やめてよ。そんな言い方」
鼻白む杏里に、凛子がにたりと笑う。
「恋人の前で凌辱されるほうが、おまえも燃えるだろう? わかってんだよ。もともとおまえは、そういう女だってこともさ」
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