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第9部 倒錯のイグニス
#258 シークレット・イベント当日⑥
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「ひっ! で、出る!」
初老の運転手が、奇声を発した。
杏里の口の中で、怒張したペニスが急に太さを増した。
とっさに口を離し、右手でペニスを斜め上にねじった。
亀頭がぐわっと膨らんで、白濁した液体がフロントガラスに飛び散った。
歳の割に量が多い。
射精と同時に運転手がブレーキを踏んだため、つんのめるようにしてバスが急停車する。
運転席から身を起こし、気絶した運転手の身体をまたぎ越えて、杏里はタラップに立った。
ドアが開くのももどかしく、飛び降りるようにバスを出た。
時間が早いせいか、正門へと続く舗道に生徒たちの姿はない。
門の前に来ると、担任の木更津が、閂を開けて中から出てきたところだった。
「おはようございます」
殊勝な口調を装って声をかけると、びくっと振り向いて幽霊でも見たような顔をした。
「な、なんだ。笹原じゃないか。早いな、きょうは」
杏里の極端に露出度の高い服を目の当たりにして、その腺病質の顔がみるみるうちに赤くなる。
「色々準備がありますので。通っていいですか」
正面から木更津の顔を見据えて、杏里は言った。
「も、もちろんだ」
木更津が思い出したように鉄扉を開けにかかる。
「なんせ、きょうの主役はおまえだからな」
「先生こそ、お早いんですね。まだ7時前じゃないですか」
木更津に触れんばかりに近くを通りながら、杏里はたずねた。
「部外者を入れないように、終日監視しなきゃなんないんでね。おかげでイベントには残念ながら参加できそうにない」
残念ながら?
杏里は少なからず呆れ、驚いた。
この人、担任のくせに、この脱出ゲームに参加するつもりだったんだ。
生徒だけでなく、希望する教職員も参加自由。
大山校長はそう言っていた。
教師のなかにもストレスを溜め込んでいる者は多いだろうから、そのルールに異存はない。
しかし、担任の木更津までその気だったとなると、教職員の参加者は杏里の予想より多そうだった。
木更津を門に残して、校内に足を踏み入れた。
杏里の目的は、持参した下着の替えを学校中に隠すことだ。
場所は各棟の靴箱と決めてある。
普段使われていない来客用のボックスなら、どこもたぶん空いているはずだ。
正面玄関、西棟、東棟、体育館とひと通り回った。
念のために2か所ずつ、計8か所に新品の下着と、性露丸マグナムの予備を隠した。
みな同じ番号にしたから、急いでいても間違えることはない。
後は何かの拍子に見つからないことを祈るばかりだ。
風俗嬢用のセクシー下着セットと媚薬の取り合わせである。
下手に見つかって騒がれるのも面倒だ。
設置を終えると、校舎裏に回った。
登校してきた生徒たちの声が、風に乗って聞こえてくる。
どんよりとした空を背景に、外の一般道と校舎の境のコンクリート塀が左右に伸びている。
その手前に連なる長屋のような平屋建ての建造物は、運動部の部室である。
一番端の部屋の前に立つと、
「重人、起きてる?」
ドアを薄く開けて、杏里はささやいた。
初老の運転手が、奇声を発した。
杏里の口の中で、怒張したペニスが急に太さを増した。
とっさに口を離し、右手でペニスを斜め上にねじった。
亀頭がぐわっと膨らんで、白濁した液体がフロントガラスに飛び散った。
歳の割に量が多い。
射精と同時に運転手がブレーキを踏んだため、つんのめるようにしてバスが急停車する。
運転席から身を起こし、気絶した運転手の身体をまたぎ越えて、杏里はタラップに立った。
ドアが開くのももどかしく、飛び降りるようにバスを出た。
時間が早いせいか、正門へと続く舗道に生徒たちの姿はない。
門の前に来ると、担任の木更津が、閂を開けて中から出てきたところだった。
「おはようございます」
殊勝な口調を装って声をかけると、びくっと振り向いて幽霊でも見たような顔をした。
「な、なんだ。笹原じゃないか。早いな、きょうは」
杏里の極端に露出度の高い服を目の当たりにして、その腺病質の顔がみるみるうちに赤くなる。
「色々準備がありますので。通っていいですか」
正面から木更津の顔を見据えて、杏里は言った。
「も、もちろんだ」
木更津が思い出したように鉄扉を開けにかかる。
「なんせ、きょうの主役はおまえだからな」
「先生こそ、お早いんですね。まだ7時前じゃないですか」
木更津に触れんばかりに近くを通りながら、杏里はたずねた。
「部外者を入れないように、終日監視しなきゃなんないんでね。おかげでイベントには残念ながら参加できそうにない」
残念ながら?
杏里は少なからず呆れ、驚いた。
この人、担任のくせに、この脱出ゲームに参加するつもりだったんだ。
生徒だけでなく、希望する教職員も参加自由。
大山校長はそう言っていた。
教師のなかにもストレスを溜め込んでいる者は多いだろうから、そのルールに異存はない。
しかし、担任の木更津までその気だったとなると、教職員の参加者は杏里の予想より多そうだった。
木更津を門に残して、校内に足を踏み入れた。
杏里の目的は、持参した下着の替えを学校中に隠すことだ。
場所は各棟の靴箱と決めてある。
普段使われていない来客用のボックスなら、どこもたぶん空いているはずだ。
正面玄関、西棟、東棟、体育館とひと通り回った。
念のために2か所ずつ、計8か所に新品の下着と、性露丸マグナムの予備を隠した。
みな同じ番号にしたから、急いでいても間違えることはない。
後は何かの拍子に見つからないことを祈るばかりだ。
風俗嬢用のセクシー下着セットと媚薬の取り合わせである。
下手に見つかって騒がれるのも面倒だ。
設置を終えると、校舎裏に回った。
登校してきた生徒たちの声が、風に乗って聞こえてくる。
どんよりとした空を背景に、外の一般道と校舎の境のコンクリート塀が左右に伸びている。
その手前に連なる長屋のような平屋建ての建造物は、運動部の部室である。
一番端の部屋の前に立つと、
「重人、起きてる?」
ドアを薄く開けて、杏里はささやいた。
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