激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【激闘編】

戸影絵麻

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第9部 倒錯のイグニス

#243 心の準備①

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「杏里の教科書って、ほんとにきれいだよね。このまま売りに出せるくらい、新品同様だ」
 古びた木製の机の前に座って、杏里が渡した教科書をぺらぺらめくりながら、重人が言った。
 ここは廃部になったとある運動部の元部室。
 重人の臨時の隠れ家の中である。  
「どうせ誉め言葉じゃないんでしょ」
 杏里は重人の横に丸椅子を引き寄せて、これ見よがしに脚を組んでいる。
 ただでさえ短いスカートがずり上がり、尻の一部まで見えている。 
「まあね、普段から君がいかに勉強してないか、丸わかりだよ」
 指に挟んだシャープペンをくるくる回して重人がため息をつく。
「いいよ。学園祭が終わったらどうせテストなんだから。勉強はその時あんたに教えてもらうことにする」
「物分かりの悪い生徒に教えるのって、骨が折れるんだよね。家庭教師料、取っていいかな」
「そんなことより」
 杏里は重人の手を押さえ、ぐいと身を乗り出した。
 豊満な胸乳が机の上にせり出し、開いた教科書を押し返す。
「さっきの話、聞いてた? コンビニのイートインに、ヤチカさんとあの男が居たんだってば」
「凛子とふみも一緒に、ってんだろ? どうせ明日の相談に決まってるよ」
 重人が杏里の乳房の下から教科書を引きずり出して、気のない口調で答えた。
「だからそれ、どういう相談なのよ? 明日のイベントと、ヤチカさんにどんな関係があるっていうの?」
「そこまではわからないよ。相手がよほど親しい者でない限り、そんな遠くの人間の思考は読めないもの」
「そりゃそうだけど、少しはまじめに考えてよ。もう時間ないんだから」
「考えたってしょうがないだろ? 明日になればわかるんだから、もうそれでいいじゃないか」
「てかあんた、こんな大事な時に、よくもまあ、勉強なんかしてられるよね」
 怒った杏里が更に身を乗り出すと、
「わかったよ。わかったから、教科書の上におっぱい乗せるの、やめてくれない?」
 重人がとうとう音を上げた。
「じゃ、訊くけど、明日のイベントって、どんなルールなのさ? 全校生徒が杏里を追いかける鬼ごっことしか、聞いてないんだけど」
「鬼ごっこは建前みたいなもの。要は、1日でストレス過多の600人を一度に浄化しようっていう、校長の計画」
「はあ、それで君は各教室を回って生徒たちを浄化しつつ、ゴールまで逃げまわるわけだ」
「鬼たちはただ私を捕まえるだけで終わりというわけじゃないの。捕まえたら、私のあそこから、リングをはずさなきゃならないの」
「あそこって?」
 眉をひそめる重人に、
「見たいの?」
 杏里は股を開いてスカートの前をめくってみせた。
「私のクリトリスには、今、特製のリングがはまってる。最近、クリちゃんが肥大してて、自分でも取りはずせないんだけどね」
「いいよ。遠慮しとく」
 あわてて目をそらす重人。
 顔が赤いのは、屋上で杏里が披露したオナニーシーンを思い浮かべたからだろう。
「しかし、考えてみると、ひどい計画だね。それってもう、ギャグを通り越して、モロ虐待じゃないか。人権もなにもあったものじゃない」
「今更何言ってるの。もともと私たちに人権なんて気の利いたもの、ないじゃない」
「まあね。それで、杏里に勝算はあるのかい? 1日に600人の浄化なんて、初めての大事業だろ?」
「一応、考えつく限りの準備はしておいたつもり。もっくんのお店で、飲む媚薬と塗る媚薬を両方買っておいたし、セクシーな下着もたくさん用意した」
「下着? そんなもの、どうするの?」
「明日の朝いちばんに学校に来て、色々な所に隠しておくの。だって、どうせすぐ脱がされるから、一着じゃ足りないでしょ」
「だったら最初から裸でいいじゃないか」
「馬鹿ね。全裸より下着姿のほうが、刺激が強いの。裸はすぐに慣れちゃうけど、下着を次から次へと変えていけば、いつまでも新鮮なエロスを保てるでしょう?」
「そういうもんなの?」
「あんただって、私のパンチラ好きじゃない。よくチラチラのぞいてるの、知ってるんだから」
「えー、ち、ちがうって。ぼ、僕はそんな」
「嘘ついてもダメ。重人、あんた、ジェニーの封印、解けてるよね? その証拠に、ほら」
 杏里はだしぬけに重人の股間をつかんだ。
「ここ、もうこんなに硬くしてるんだもの」



 









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