200 / 463
第9部 倒錯のイグニス
#200 美里の影④
しおりを挟む
食い下がって小田切から現金をせしめ、家を出た。
駅前に向かう市バスはすいていて、客は杏里のほかには、営業マンらしい中年の男がひとり乗っているだけだった。
最後列のシートに座るとすぐに、男が席を移動してきた。
何かスポーツでもやっているのか、たくましい体つきをしている。
よく日に焼けて脂ぎった顔はそれなりに見栄えがよく、ナルシストの匂いをぷんぷんさせていた。
杏里をターゲットにする時、男たちはまず無言である。
ただひたすら、攻撃をしかけてくる。
この男もそうだった。
いきなり杏里の肩に腕を回すと、ノーブラの胸を触ってきた。
空いたほうの手はすでにスカートの中だ。
杏里のスカートは座るには短すぎ、シートに尻をうずめるだけで下着がのぞいてしまう。
男がそれを見逃すはずなかった。
男の手の動きは自信に満ちている。
俺ほどの男に女が逆らうはずがない。
まるでそう思い込んでいるかのようだ。
見知らぬ手に身体をいじられ、杏里の中でまたぞろ性欲の火が燃え上がり始めた。
といっても、別に男の魅力に屈服したわけではない。
杏里の脳裏に浮かぶイメージ。
テニスルックで痴漢に弄ばれる、肉感的な美少女。
その自身のイメージに興奮したに過ぎなかった。
男が杏里の右手首をつかみ、膨れた股間に押しつける。
ペニスの形に盛り上がったその強張りをためらいもなく握ると、杏里は男の胸にそっと頬をくっつけた。
左手でカッターシャツのボタンを、外していく。
男はシャツの下には何もつけていない。
胸毛の密生した厚い胸と、黒ずんだアンズのような乳首が現れると、杏里は舌を出してそれを舐めた。
「ううっ」
男がうめき、杏里の胸をまさぐる指に力をこめた。
男の乳首が固くなり、女のそれのように尖ってきている。
見境をなくしたらしく、男が無造作にズボンのファスナーを下ろし、硬直した肉棒を引っ張り出した。
ポーチをさぐり、杏里が取り出したのは、円形にひしゃげたコンドームだ。
それを男のイチモツにかぶせると、親指を亀頭の裏側に当て、力を込めて2、3度しごいた。
それで十分だった。
「くふう」
男が放った。
薄いゴムの中にどくどくと熱い液体がたまっていく。
杏里は腰を上げると、男をシートに寝かせた。
男のペニスはゴムの中でまだ脈打っている。
杏里の手にかかったが最後、男はみな精液をすべて排出するまで、射精が止まらないのだ。
そのまま素知らぬ顔をして、一番前の席まで移動する。
前の席は床よりかなり高くなっていて、座ると運転席のバックミラーに杏里のスカートの中が映った。
股間に風を入れるように、むっちりした太腿を開いたり閉じたりすると、心なしかバスの運転が荒くなったようだった。
バックミラー越しに、食い入るように運転手が杏里の股間を凝視しているのだ。
何度か停留所を素通りしかけ、そのたびに急ブレーキの音が響いた。
文句を言いながら乗ってきた老人たちが、コンドームをはめたペニスをさらけ出したままの後部座席の男に気づき、大騒ぎを始めた。
終点についたところで、杏里は真っ先にバスを降りた。
目的地はロータリーの向かい側にあるショッピングモールだった。
確かこのへんにあったはず。
携帯電話の店、旅行会社の代理店と並んで、サイクルショップが見えてきた。
開店したばかりらしく、店内に人気はない。
中をひと通り回って、気に入った自転車を見つけた。
シンプルな外見のサイクリング車である。
何でできているのか、車体がびっくりするほど軽い点が気に入った。
これなら疲れず、街中を自由に走り回ることができるだろう。
そうすれば、いちいちバスに乗って、痴漢の相手をする機会も減るに違いない。
「すみません、これください」
いらっしゃいませ、とにこやかに笑いながら出てきた店主に、杏里はお気に入りの自転車を指し示す。
「今すぐ乗っていきたいんですけど、できますか?」
「もちろんです。でも…」
店主の眼が丸くなる。
「お嬢さん、まさか、その格好でこれに乗るっていうんじゃないでしょうね?」
小田切とまったく同じ反応だ。
「私の服装に何か問題でも?」
壁にもたれ、むき出しの足をわずかに開き、杏里は膨らんだ胸を前に押し出すように腕組みをした。
マイクロミニのスカートがずり上がり、その下からパンティの三角ゾーンが見えている。
「い、いや、何でもありません」
店主が顔をそむけた。
そむけながらも、目だけは杏里の局部に釘付けになったままだ。
そのズボンの前が見る間に膨らんでいくのを、杏里は無感動な表情で眺めていた。
駅前に向かう市バスはすいていて、客は杏里のほかには、営業マンらしい中年の男がひとり乗っているだけだった。
最後列のシートに座るとすぐに、男が席を移動してきた。
何かスポーツでもやっているのか、たくましい体つきをしている。
よく日に焼けて脂ぎった顔はそれなりに見栄えがよく、ナルシストの匂いをぷんぷんさせていた。
杏里をターゲットにする時、男たちはまず無言である。
ただひたすら、攻撃をしかけてくる。
この男もそうだった。
いきなり杏里の肩に腕を回すと、ノーブラの胸を触ってきた。
空いたほうの手はすでにスカートの中だ。
杏里のスカートは座るには短すぎ、シートに尻をうずめるだけで下着がのぞいてしまう。
男がそれを見逃すはずなかった。
男の手の動きは自信に満ちている。
俺ほどの男に女が逆らうはずがない。
まるでそう思い込んでいるかのようだ。
見知らぬ手に身体をいじられ、杏里の中でまたぞろ性欲の火が燃え上がり始めた。
といっても、別に男の魅力に屈服したわけではない。
杏里の脳裏に浮かぶイメージ。
テニスルックで痴漢に弄ばれる、肉感的な美少女。
その自身のイメージに興奮したに過ぎなかった。
男が杏里の右手首をつかみ、膨れた股間に押しつける。
ペニスの形に盛り上がったその強張りをためらいもなく握ると、杏里は男の胸にそっと頬をくっつけた。
左手でカッターシャツのボタンを、外していく。
男はシャツの下には何もつけていない。
胸毛の密生した厚い胸と、黒ずんだアンズのような乳首が現れると、杏里は舌を出してそれを舐めた。
「ううっ」
男がうめき、杏里の胸をまさぐる指に力をこめた。
男の乳首が固くなり、女のそれのように尖ってきている。
見境をなくしたらしく、男が無造作にズボンのファスナーを下ろし、硬直した肉棒を引っ張り出した。
ポーチをさぐり、杏里が取り出したのは、円形にひしゃげたコンドームだ。
それを男のイチモツにかぶせると、親指を亀頭の裏側に当て、力を込めて2、3度しごいた。
それで十分だった。
「くふう」
男が放った。
薄いゴムの中にどくどくと熱い液体がたまっていく。
杏里は腰を上げると、男をシートに寝かせた。
男のペニスはゴムの中でまだ脈打っている。
杏里の手にかかったが最後、男はみな精液をすべて排出するまで、射精が止まらないのだ。
そのまま素知らぬ顔をして、一番前の席まで移動する。
前の席は床よりかなり高くなっていて、座ると運転席のバックミラーに杏里のスカートの中が映った。
股間に風を入れるように、むっちりした太腿を開いたり閉じたりすると、心なしかバスの運転が荒くなったようだった。
バックミラー越しに、食い入るように運転手が杏里の股間を凝視しているのだ。
何度か停留所を素通りしかけ、そのたびに急ブレーキの音が響いた。
文句を言いながら乗ってきた老人たちが、コンドームをはめたペニスをさらけ出したままの後部座席の男に気づき、大騒ぎを始めた。
終点についたところで、杏里は真っ先にバスを降りた。
目的地はロータリーの向かい側にあるショッピングモールだった。
確かこのへんにあったはず。
携帯電話の店、旅行会社の代理店と並んで、サイクルショップが見えてきた。
開店したばかりらしく、店内に人気はない。
中をひと通り回って、気に入った自転車を見つけた。
シンプルな外見のサイクリング車である。
何でできているのか、車体がびっくりするほど軽い点が気に入った。
これなら疲れず、街中を自由に走り回ることができるだろう。
そうすれば、いちいちバスに乗って、痴漢の相手をする機会も減るに違いない。
「すみません、これください」
いらっしゃいませ、とにこやかに笑いながら出てきた店主に、杏里はお気に入りの自転車を指し示す。
「今すぐ乗っていきたいんですけど、できますか?」
「もちろんです。でも…」
店主の眼が丸くなる。
「お嬢さん、まさか、その格好でこれに乗るっていうんじゃないでしょうね?」
小田切とまったく同じ反応だ。
「私の服装に何か問題でも?」
壁にもたれ、むき出しの足をわずかに開き、杏里は膨らんだ胸を前に押し出すように腕組みをした。
マイクロミニのスカートがずり上がり、その下からパンティの三角ゾーンが見えている。
「い、いや、何でもありません」
店主が顔をそむけた。
そむけながらも、目だけは杏里の局部に釘付けになったままだ。
そのズボンの前が見る間に膨らんでいくのを、杏里は無感動な表情で眺めていた。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる