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第9部 倒錯のイグニス
#175 イベント準備②
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「オープニング・イベント? なんですか、それは?」
大山の背後から歩み出た上半身裸の男に目を見張り、杏里は訊いた。
そんな話は初耳だ。
このエロ校長、いったい何を考えているのだろう?
「君も見ただろう。グラウンドの”ミュージアム”を。今度のシークレット・イベントのスタート地点は、あの仮設会場だ。全校生徒の中から、抽選で100名を選ぶ。その100名を、あの会場に招待して、その選ばれし者たちだけに、君のショーを見せるのだ。あの建物の中は、特殊な音響装置と3D画面を完備したいわば映画館のようなものなのだ。だから、そこで繰り広げられるショーが過激であればあるほど、君はいちどきに100人を浄化できるというわけだ。開幕早々、6分の1の人数を減らすことができれば、笹原君、君も後がずいぶん楽になるはずだろう」
校長の言葉に、杏里は先ほど廊下の窓から垣間見た光景を思い出した。
あのサッカーボールみたいな外見の建物。
おそらくあれが、大山のいうミュージアムに違いない。
「今から行うリハーサルは、そのショーの効果をより高めるための撮影も兼ねている。広告代理店の方々に協力を仰いだのは、そのためだ。生のショーの合間に、さまざまな角度から生徒たちに君の凌辱動画を見せてやるのだ。ひとりでも多く、その場で浄化されるようにね」
聞いてみると、大山の提案にも一理あることがわかってきた。
600人が500人に減るというのは、味方のいない杏里にとってはかなり大きなプラス要因になる。
「その後は…その後は、どうするんです?」
考えてみれば、杏里はまだイベントの細部について、何も聞かされていない。
ついでに聞いておこうと、大山に目を向けた。
「後は単純だよ。君は1年から順に、各教室を回っていくだけだ。もちろん、それぞれのクラスが君を捕獲すべく、さまざまな罠を仕掛けているだろうから、注意は必要だがね。そして最後は、体育館に舞台を移してのフリーバトルだ。各クラスから選出された者、各部活の代表者、教職員の中の希望者が集合して、君と集団鬼ごっこを演じてもらう。会場はプールもありかな、と思っているのだが、まだ思案中だ。どうだ? 単純かつ効率的で、なかなかいいアイデアだろう?」
一度に相手する人数が、クラス単位というのは気に入った。
500人を一斉にとなると不可能に近いが、30~40人単位で1クラスずつ浄化するのであれば、十分勝算はある。
「わかりました」
杏里はため息をついた。
大山は、無茶に見えるが、曲がりなりにも委員会の意志を引き継いでいるようだ。
ことイベントの進め方においては、一応杏里の味方なのである。
「ここで、私は何をすればいいんですか?」
「それは、彼に任せてある」
大山が上半身裸の男を紹介した。
「AV界で活躍中のアキラ君だ。これまで5000本近い動画に出てるというプロ中のプロだよ。彼ならきっと、君の魅力を最大限引き出してくれると思う」
「よろしく」
アキラと呼ばれた男が歩み出て、握手を求めてきた。
スキンヘッドで、眉もひげもない。
全身剃刀で剃ったようにつるつるだ。
「可愛いね、君。しかも、びっくりするほど、セクシーだ」
目を細めて杏里の制服姿をじっくり観察しながら、意外に冷静な口調でアキラが言った。
杏里はおずおずと右手を差し出した。
男の手は、じっとりと湿り、爬虫類の皮膚のように冷たかった。
大山の背後から歩み出た上半身裸の男に目を見張り、杏里は訊いた。
そんな話は初耳だ。
このエロ校長、いったい何を考えているのだろう?
「君も見ただろう。グラウンドの”ミュージアム”を。今度のシークレット・イベントのスタート地点は、あの仮設会場だ。全校生徒の中から、抽選で100名を選ぶ。その100名を、あの会場に招待して、その選ばれし者たちだけに、君のショーを見せるのだ。あの建物の中は、特殊な音響装置と3D画面を完備したいわば映画館のようなものなのだ。だから、そこで繰り広げられるショーが過激であればあるほど、君はいちどきに100人を浄化できるというわけだ。開幕早々、6分の1の人数を減らすことができれば、笹原君、君も後がずいぶん楽になるはずだろう」
校長の言葉に、杏里は先ほど廊下の窓から垣間見た光景を思い出した。
あのサッカーボールみたいな外見の建物。
おそらくあれが、大山のいうミュージアムに違いない。
「今から行うリハーサルは、そのショーの効果をより高めるための撮影も兼ねている。広告代理店の方々に協力を仰いだのは、そのためだ。生のショーの合間に、さまざまな角度から生徒たちに君の凌辱動画を見せてやるのだ。ひとりでも多く、その場で浄化されるようにね」
聞いてみると、大山の提案にも一理あることがわかってきた。
600人が500人に減るというのは、味方のいない杏里にとってはかなり大きなプラス要因になる。
「その後は…その後は、どうするんです?」
考えてみれば、杏里はまだイベントの細部について、何も聞かされていない。
ついでに聞いておこうと、大山に目を向けた。
「後は単純だよ。君は1年から順に、各教室を回っていくだけだ。もちろん、それぞれのクラスが君を捕獲すべく、さまざまな罠を仕掛けているだろうから、注意は必要だがね。そして最後は、体育館に舞台を移してのフリーバトルだ。各クラスから選出された者、各部活の代表者、教職員の中の希望者が集合して、君と集団鬼ごっこを演じてもらう。会場はプールもありかな、と思っているのだが、まだ思案中だ。どうだ? 単純かつ効率的で、なかなかいいアイデアだろう?」
一度に相手する人数が、クラス単位というのは気に入った。
500人を一斉にとなると不可能に近いが、30~40人単位で1クラスずつ浄化するのであれば、十分勝算はある。
「わかりました」
杏里はため息をついた。
大山は、無茶に見えるが、曲がりなりにも委員会の意志を引き継いでいるようだ。
ことイベントの進め方においては、一応杏里の味方なのである。
「ここで、私は何をすればいいんですか?」
「それは、彼に任せてある」
大山が上半身裸の男を紹介した。
「AV界で活躍中のアキラ君だ。これまで5000本近い動画に出てるというプロ中のプロだよ。彼ならきっと、君の魅力を最大限引き出してくれると思う」
「よろしく」
アキラと呼ばれた男が歩み出て、握手を求めてきた。
スキンヘッドで、眉もひげもない。
全身剃刀で剃ったようにつるつるだ。
「可愛いね、君。しかも、びっくりするほど、セクシーだ」
目を細めて杏里の制服姿をじっくり観察しながら、意外に冷静な口調でアキラが言った。
杏里はおずおずと右手を差し出した。
男の手は、じっとりと湿り、爬虫類の皮膚のように冷たかった。
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