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第9部 倒錯のイグニス
#172 女王雌豚化計画⑥
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「やっと帰ったか」
長い間、身じろぎもせずモニター画面を眺めていた井沢が、ふっと肩の力を抜くのがわかった。
画面には、門を出て行くふたりの少女の後ろ姿が映っている。
背の低い、肉感的な体つきのほうが杏里、背の高い金髪の少女が、ルナである。
「しかし、あのヤチカって女、ただの性奴隷かと思ったら、大したタマだな」
ついさっきまで別の画面に繰り広げられていた生々しい痴態を思い返し、百足丸はつぶやいた。
「あの女、自分は”浄化”されずに、杏里だけをイかせてしまったようだが…一流のタナトス相手に、そんなことが可能なのか」
「彼女は特別だ」
井沢が電子煙草を口にくわえ、答えた。
「以前、杏里と生活を共にしていただけあって、杏里の弱点、自分の引き際、すべてを心得ているというわけだ。しかも、ここへ来てから、かなり”調教”が進んでいる。だから、百足丸、おまえと彼女が組めば、カウンター杏里対策は万全なものになる」
「俺と、ヤチカが組む? 例のイベントのことを言っているのか?」
「そうだ。おまえはヤチカと一緒に、曙中学に潜入するんだ。600人の生徒たちに追い回されて疲れ切った杏里を、最後に捕獲し、拉致するために」
「あの外人娘はどうする? さっき使ったのも、念動力だよな? あいつがそばにいる限り、おいそれと杏里に近づけないんじゃないか?」
百足丸は、先程目の当たりにした映像を思い出した。
杏里の身体の上に覆いかぶさった人形たちが、誰も手を触れていないのに、突然吹っ飛んだように見えたのだ。
レスリング部の紅白戦の映像でも、同様の現象が起こっていた。
突如としてまっぷたつに折れ、複雑怪奇に折りたたまれた挙句、サイコロ状の物体と化してしまった仮設リング。
後から聞いたところによると、あの立方体の内部に、杏里を襲った変異優生種が閉じ込められていたらしい。
「ああ、その通りだ。ルナのテレキネシスは、ある意味零と同じくらいやっかいだからな。つまり、あらかじめ、彼女の力を封じておく必要があるということだ。もちろん、それも、おまえとヤチカの役割ということになる」
「なんだって?」
百足丸は目を剥いた。
「そんなこと、無理に決まってるだろう? 近くに寄ることすら、できないってのに?」
「そのためにヤチカがいる。おまえは隙を見て、とどめを刺せばいい」
「しかし…」
正直、辞退したかった。
あの零のお守りだけでも、かなりの重荷なのだ。
それに加えて、今度は念力少女の相手かよ…?
と、その時、ノックの音がした。
「お入り」
それまで沈黙を守って井沢と百足丸のやりとりを眺めていた真布が、しわがれた声で言った。
入ってきたのは、ヤチカである。
薄いローブの下に、しなやかな裸体が透けて見えている。
「状況、終了しました」
淡々とした口調で、ヤチカが報告した。
ついさっきまで、杏里と睦み合っていたというのに、息ひとつ乱していない。
「ご苦労」
井沢が手招きした。
ソファの脇にひざまずいたヤチカの顔を上げさせ、ズボンのファスナーを下ろす。
「さあ、ご褒美だ」
つまみ出したのは、しなびた陰茎である。
指でヤチカの口をこじ開けると、それをいきなり含ませた。
肉棒が見えなくなるまで頬張って、ヤチカが頭部をリズミカルに動かし始める。
それを確かめて、満足げにソファに体を沈める井沢。
「好きだねえ、ふたりとも」
真布が呆れたようにつぶやいた。
「ちょっと、零のところに行ってくる」
見ているのも馬鹿らしくなり、百足丸はソファから腰を上げた。
”調教”の時間が迫っていた。
「いい加減、やらせてくれるといいな」
井沢が、百足丸の背中に声をかけてきた。
「おまえも、オナニーだけじゃ、辛いだろう?」
長い間、身じろぎもせずモニター画面を眺めていた井沢が、ふっと肩の力を抜くのがわかった。
画面には、門を出て行くふたりの少女の後ろ姿が映っている。
背の低い、肉感的な体つきのほうが杏里、背の高い金髪の少女が、ルナである。
「しかし、あのヤチカって女、ただの性奴隷かと思ったら、大したタマだな」
ついさっきまで別の画面に繰り広げられていた生々しい痴態を思い返し、百足丸はつぶやいた。
「あの女、自分は”浄化”されずに、杏里だけをイかせてしまったようだが…一流のタナトス相手に、そんなことが可能なのか」
「彼女は特別だ」
井沢が電子煙草を口にくわえ、答えた。
「以前、杏里と生活を共にしていただけあって、杏里の弱点、自分の引き際、すべてを心得ているというわけだ。しかも、ここへ来てから、かなり”調教”が進んでいる。だから、百足丸、おまえと彼女が組めば、カウンター杏里対策は万全なものになる」
「俺と、ヤチカが組む? 例のイベントのことを言っているのか?」
「そうだ。おまえはヤチカと一緒に、曙中学に潜入するんだ。600人の生徒たちに追い回されて疲れ切った杏里を、最後に捕獲し、拉致するために」
「あの外人娘はどうする? さっき使ったのも、念動力だよな? あいつがそばにいる限り、おいそれと杏里に近づけないんじゃないか?」
百足丸は、先程目の当たりにした映像を思い出した。
杏里の身体の上に覆いかぶさった人形たちが、誰も手を触れていないのに、突然吹っ飛んだように見えたのだ。
レスリング部の紅白戦の映像でも、同様の現象が起こっていた。
突如としてまっぷたつに折れ、複雑怪奇に折りたたまれた挙句、サイコロ状の物体と化してしまった仮設リング。
後から聞いたところによると、あの立方体の内部に、杏里を襲った変異優生種が閉じ込められていたらしい。
「ああ、その通りだ。ルナのテレキネシスは、ある意味零と同じくらいやっかいだからな。つまり、あらかじめ、彼女の力を封じておく必要があるということだ。もちろん、それも、おまえとヤチカの役割ということになる」
「なんだって?」
百足丸は目を剥いた。
「そんなこと、無理に決まってるだろう? 近くに寄ることすら、できないってのに?」
「そのためにヤチカがいる。おまえは隙を見て、とどめを刺せばいい」
「しかし…」
正直、辞退したかった。
あの零のお守りだけでも、かなりの重荷なのだ。
それに加えて、今度は念力少女の相手かよ…?
と、その時、ノックの音がした。
「お入り」
それまで沈黙を守って井沢と百足丸のやりとりを眺めていた真布が、しわがれた声で言った。
入ってきたのは、ヤチカである。
薄いローブの下に、しなやかな裸体が透けて見えている。
「状況、終了しました」
淡々とした口調で、ヤチカが報告した。
ついさっきまで、杏里と睦み合っていたというのに、息ひとつ乱していない。
「ご苦労」
井沢が手招きした。
ソファの脇にひざまずいたヤチカの顔を上げさせ、ズボンのファスナーを下ろす。
「さあ、ご褒美だ」
つまみ出したのは、しなびた陰茎である。
指でヤチカの口をこじ開けると、それをいきなり含ませた。
肉棒が見えなくなるまで頬張って、ヤチカが頭部をリズミカルに動かし始める。
それを確かめて、満足げにソファに体を沈める井沢。
「好きだねえ、ふたりとも」
真布が呆れたようにつぶやいた。
「ちょっと、零のところに行ってくる」
見ているのも馬鹿らしくなり、百足丸はソファから腰を上げた。
”調教”の時間が迫っていた。
「いい加減、やらせてくれるといいな」
井沢が、百足丸の背中に声をかけてきた。
「おまえも、オナニーだけじゃ、辛いだろう?」
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