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第9部 倒錯のイグニス
#131 紅白戦⑤
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校舎裏に運動部の部室が並んでいる。
その長屋めいた建物の東の端が、レスリング部の部室だった。
部員不足で廃部になった弓道部の後を、つい最近借りたのである。
その古い部室は、杏里たち8人には狭すぎた。
咲良とふみという巨漢がふたりもいるために、着替えるにもひと苦労といったありさまだった。
先に着換えを済ませると、杏里はバスタオルを首にかけ、目立ちすぎる胸のふくらみを隠しながら水飲み場に走った。
手には性露丸の包みを握っている。
包みは3つあるから、赤い丸薬は合計で18錠だ。
これほど多くの薬を一度に飲むのは、正直いって怖かった。
小百合との特訓で服用した時の、あの熱に浮かされたような感覚をちらっと思い出した。
全身が性感帯になったみたいで、少し触られるだけでも感じてしまったものだ。
その時よりも、量が多いのである。
だが、背に腹は代えられない。
咲良は、負ければいいって簡単に言うけれど、私にだってプライドはある。
半ばいやいやながらとはいえ、ここまで頑張ってきたのだ。
1回くらいは、勝ってみたい。
もちろん勝つとそのまま試合を続行することになるから、それを考えると気が重い。
でも、どうせなら、勝ち進めるだけやってみるというのも、ひとつの道ではないか。
下級生のトモにまで笑われたのがよほど腹に据えかねたのか、杏里は半ば意固地になってしまっている。
4つ目の包みは、リュックに入っている。
それは薬が切れた時用に取っておくことにして、3包分を一度に口に含み、蛇口から溢れる水で一気に喉へと流し込んだ。
ふっと息をついて、額の汗を拭った。
どのくらいで効果が現れるのか、わからない。
前に飲んだ時は、けっこうすぐだったような気がする。
何気なく足元に視線を落とした杏里は、妙なものを目に止めて、ふと眉をひそめた。
水飲み場のコンクリートの床に、血だまりのようなものができている。
周囲を見渡すと、校舎の裏口に向かって、地面に点々と茶褐色の痕が続いているのが見えてきた。
なんだろう?
どうして、こんなところに、血が?
誰かが体育の授業で怪我をして、それで…。
ここで傷口を洗ってから、保健室に向かった?
でも、おかしい。
保健室は、そっちじゃない。
それに、ただの怪我にしては、明らかに血の量が多すぎる…。
胸の奥がざわついた。
杏里の場合、良い予感は当たらないが、悪い予感はよく当たる。
やだな…。
こんな時に。
もうすぐ、試合だっていうのに。
ぱたぱたと駆けてくる足音に顔を上げると、1年生の神崎トモだった。
「杏里先輩、まったく何してんですかあ? そんなところで。みんなもう、体育館に集まってますよ!」
「あ、ごめんなさい」
立ち上がったら、バスタオルが落ちた。
きわどいビキニタイプのユニフォームに包まれた、杏里の豊満な肢体が露わになった。
杏里のものだけ極端に布地の面積が狭いので、横乳、下乳、尻の肉など、ありとあらゆる部位がはみ出してしまっている。
「うひゃあ、エロっちい!」
そんな杏里を見て、トモが感心したように叫んだ。
「杏里先輩って、うわさ通りのビッチ体型なんですね! トモも紅組に入って先輩と戦ってみたくなりました!」
と、その言葉が性感帯のスイッチをONにしたかのように、ふいに杏里の両の乳首と陰核の3点に、同時に疼くような痺れが走った。
媚薬が、効き始めたのだ。
その長屋めいた建物の東の端が、レスリング部の部室だった。
部員不足で廃部になった弓道部の後を、つい最近借りたのである。
その古い部室は、杏里たち8人には狭すぎた。
咲良とふみという巨漢がふたりもいるために、着替えるにもひと苦労といったありさまだった。
先に着換えを済ませると、杏里はバスタオルを首にかけ、目立ちすぎる胸のふくらみを隠しながら水飲み場に走った。
手には性露丸の包みを握っている。
包みは3つあるから、赤い丸薬は合計で18錠だ。
これほど多くの薬を一度に飲むのは、正直いって怖かった。
小百合との特訓で服用した時の、あの熱に浮かされたような感覚をちらっと思い出した。
全身が性感帯になったみたいで、少し触られるだけでも感じてしまったものだ。
その時よりも、量が多いのである。
だが、背に腹は代えられない。
咲良は、負ければいいって簡単に言うけれど、私にだってプライドはある。
半ばいやいやながらとはいえ、ここまで頑張ってきたのだ。
1回くらいは、勝ってみたい。
もちろん勝つとそのまま試合を続行することになるから、それを考えると気が重い。
でも、どうせなら、勝ち進めるだけやってみるというのも、ひとつの道ではないか。
下級生のトモにまで笑われたのがよほど腹に据えかねたのか、杏里は半ば意固地になってしまっている。
4つ目の包みは、リュックに入っている。
それは薬が切れた時用に取っておくことにして、3包分を一度に口に含み、蛇口から溢れる水で一気に喉へと流し込んだ。
ふっと息をついて、額の汗を拭った。
どのくらいで効果が現れるのか、わからない。
前に飲んだ時は、けっこうすぐだったような気がする。
何気なく足元に視線を落とした杏里は、妙なものを目に止めて、ふと眉をひそめた。
水飲み場のコンクリートの床に、血だまりのようなものができている。
周囲を見渡すと、校舎の裏口に向かって、地面に点々と茶褐色の痕が続いているのが見えてきた。
なんだろう?
どうして、こんなところに、血が?
誰かが体育の授業で怪我をして、それで…。
ここで傷口を洗ってから、保健室に向かった?
でも、おかしい。
保健室は、そっちじゃない。
それに、ただの怪我にしては、明らかに血の量が多すぎる…。
胸の奥がざわついた。
杏里の場合、良い予感は当たらないが、悪い予感はよく当たる。
やだな…。
こんな時に。
もうすぐ、試合だっていうのに。
ぱたぱたと駆けてくる足音に顔を上げると、1年生の神崎トモだった。
「杏里先輩、まったく何してんですかあ? そんなところで。みんなもう、体育館に集まってますよ!」
「あ、ごめんなさい」
立ち上がったら、バスタオルが落ちた。
きわどいビキニタイプのユニフォームに包まれた、杏里の豊満な肢体が露わになった。
杏里のものだけ極端に布地の面積が狭いので、横乳、下乳、尻の肉など、ありとあらゆる部位がはみ出してしまっている。
「うひゃあ、エロっちい!」
そんな杏里を見て、トモが感心したように叫んだ。
「杏里先輩って、うわさ通りのビッチ体型なんですね! トモも紅組に入って先輩と戦ってみたくなりました!」
と、その言葉が性感帯のスイッチをONにしたかのように、ふいに杏里の両の乳首と陰核の3点に、同時に疼くような痺れが走った。
媚薬が、効き始めたのだ。
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