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第9部 倒錯のイグニス
#82 悪夢のチーム練習①
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「大丈夫? 杏里? どうしたの? 何があったのさ?」
純の声で、杏里は意識を取り戻した。
「ううん…」
うっすらと目を開けると、メンバーたちが輪になって上からのぞきこんでいた。
チョコレート色の肌とクリクリした目がトレードマークの、黒人少女アニス。
肩幅が広く、腕の長い朝倉麻衣。
雄牛を思わせる巨体の持ち主、飯塚咲良。
中背ですらりとした肢体の、権藤美穂。
そして、一番小柄な神崎トモ。
その後ろで、ふみと璃子が身体を寄せ合ってにやにや笑っている。
「小百合先生も伸びちゃってるしさ。いったい全体、あなたたち、どんな練習してたわけ?」
不審そうな純に、
「デスヨネ、アラアラ、マッタク、ドウシマショウ?」
アニスが片言の日本語で同調した。
体を起こして周囲を見回すと、なるほど、隣に小百合が大の字になってぐうぐういびきをかいている。
杏里はどうやら、璃子に陰核をつままれて引きずり回された挙句、気絶して小百合の横に寝かされていたらしい。
「でも、なんか、この子、匂うね。お花の香りとチーズの匂いが混ざったみたいな、すごく変わった匂いがする」
鼻をくんくんさせながら、不躾な口調で麻衣が言った。
「それにさ、このエロい恰好、なんなの? 乳首飛び出てるなんて、信じられないんだけど。だいたい、どうしてこんな微妙なとこに穴なんか開いてるわけ?」
比較的麻衣と仲のいい咲良が、大きな体を乗り出して、杏里のレオタードをしげしげと見つめてくる。
「汗かいてるのかな? レオタードもべたべたに濡れてるしさ」
「小百合先生が、興奮のあまり噛みついて、つい穴開けちゃったとか」
美穂がおどけてまぜっかえすと、同じ1年生のトモがくすくす笑い出した。
「かもねえ。案外、小百合先生、レズビアンだったりして」
「そういえば、名前に”百合”って入ってるもんね」
メンバーたちにじろじろ見られて、杏里は穴があったら入りたい気分だった。
よりによって、このタイミングでみんな押しかけてこなくても…。
マットも衝立で囲まれた簡易更衣室も、どちらも杏里の垂れ流した淫汁でびしょ濡れなのだ。
愛液の海はまだろくに乾いておらず、その正体が何なのかは女子であるならいずれ気づいてしまうことだろう。
「純と咲良で先生を保健室に運んで。あとのメンバーは、体育館に集合ね。校長から、レスリング部発足のお祝いに、新しいユニフォームが届いてる。みんなそろったら、それを配るよ」
杏里を囲んでざわめいているメンバーたちに、璃子がてきぱきと指示を出した。
新しいユニフォームと聞いて、杏里を除く全員が、やった、と感嘆の声を上げた。
ほかのメンバーたちが出て行くと、いまだ床に腰をつけて座り込んだままの杏里の所に、ふみを従えた璃子が近づいてきた。
マスクを取って、その逆三角形の小顔を外にさらしている。
「いつまでボーッとしてるんだ。次は体育館でチーム練習だよ。ペアをつくって、柔軟体操から組み手、固め技、タックルの練習だ。ちなみに、杏里、おまえの相棒はこいつだよ。本人のたっての希望でね」
含み笑いをしながら璃子が言うと、その肩越しにふみがにたあっと笑ってみせた。
「杏里ちゃん、よかったねえ。これで、やっとふたりきりに、なれるねえ」
杏里はその痴呆のような肉厚の顔を見上げ、げんなりとなった。
璃子の次は、ふみ。
きょうはまさに、最悪の一日だ…。
心の底から、そう思ったのである。
純の声で、杏里は意識を取り戻した。
「ううん…」
うっすらと目を開けると、メンバーたちが輪になって上からのぞきこんでいた。
チョコレート色の肌とクリクリした目がトレードマークの、黒人少女アニス。
肩幅が広く、腕の長い朝倉麻衣。
雄牛を思わせる巨体の持ち主、飯塚咲良。
中背ですらりとした肢体の、権藤美穂。
そして、一番小柄な神崎トモ。
その後ろで、ふみと璃子が身体を寄せ合ってにやにや笑っている。
「小百合先生も伸びちゃってるしさ。いったい全体、あなたたち、どんな練習してたわけ?」
不審そうな純に、
「デスヨネ、アラアラ、マッタク、ドウシマショウ?」
アニスが片言の日本語で同調した。
体を起こして周囲を見回すと、なるほど、隣に小百合が大の字になってぐうぐういびきをかいている。
杏里はどうやら、璃子に陰核をつままれて引きずり回された挙句、気絶して小百合の横に寝かされていたらしい。
「でも、なんか、この子、匂うね。お花の香りとチーズの匂いが混ざったみたいな、すごく変わった匂いがする」
鼻をくんくんさせながら、不躾な口調で麻衣が言った。
「それにさ、このエロい恰好、なんなの? 乳首飛び出てるなんて、信じられないんだけど。だいたい、どうしてこんな微妙なとこに穴なんか開いてるわけ?」
比較的麻衣と仲のいい咲良が、大きな体を乗り出して、杏里のレオタードをしげしげと見つめてくる。
「汗かいてるのかな? レオタードもべたべたに濡れてるしさ」
「小百合先生が、興奮のあまり噛みついて、つい穴開けちゃったとか」
美穂がおどけてまぜっかえすと、同じ1年生のトモがくすくす笑い出した。
「かもねえ。案外、小百合先生、レズビアンだったりして」
「そういえば、名前に”百合”って入ってるもんね」
メンバーたちにじろじろ見られて、杏里は穴があったら入りたい気分だった。
よりによって、このタイミングでみんな押しかけてこなくても…。
マットも衝立で囲まれた簡易更衣室も、どちらも杏里の垂れ流した淫汁でびしょ濡れなのだ。
愛液の海はまだろくに乾いておらず、その正体が何なのかは女子であるならいずれ気づいてしまうことだろう。
「純と咲良で先生を保健室に運んで。あとのメンバーは、体育館に集合ね。校長から、レスリング部発足のお祝いに、新しいユニフォームが届いてる。みんなそろったら、それを配るよ」
杏里を囲んでざわめいているメンバーたちに、璃子がてきぱきと指示を出した。
新しいユニフォームと聞いて、杏里を除く全員が、やった、と感嘆の声を上げた。
ほかのメンバーたちが出て行くと、いまだ床に腰をつけて座り込んだままの杏里の所に、ふみを従えた璃子が近づいてきた。
マスクを取って、その逆三角形の小顔を外にさらしている。
「いつまでボーッとしてるんだ。次は体育館でチーム練習だよ。ペアをつくって、柔軟体操から組み手、固め技、タックルの練習だ。ちなみに、杏里、おまえの相棒はこいつだよ。本人のたっての希望でね」
含み笑いをしながら璃子が言うと、その肩越しにふみがにたあっと笑ってみせた。
「杏里ちゃん、よかったねえ。これで、やっとふたりきりに、なれるねえ」
杏里はその痴呆のような肉厚の顔を見上げ、げんなりとなった。
璃子の次は、ふみ。
きょうはまさに、最悪の一日だ…。
心の底から、そう思ったのである。
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