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第9部 倒錯のイグニス
#64 魔窟②
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床に黄色い液体が広がっていく。
そのアンモニア臭の強い液体に顔を近づけていくと、女が長い舌を出してぴちゃぴちゃ舐め始めた。
「あれまあ、そんなことまで」
老婆が目を見張った。
「井沢さん、あんたの催眠術は、そら恐ろしいのう。これじゃ、まるで廃人だね」
「なんせ、この女は、笹原杏里捕獲の切り札ですからね。人格崩壊すれすれまで追い込んでおかないと」
サングラスに趣味の悪いアロハシャツの中年男が、口元に酷薄な微笑を浮かべてみせる。
そして、平手で女の良く締まった裸の尻をぴしゃりと叩き、その陰部に背後から人差し指を突き入れた。
指をくの字に曲げ、ぐちゅぐちゅと音を立てて女の蜜壺をかき回す。
ああ…。
尿とよだれを唇の端から滴らせ、女が頸をのけぞらせた。
「我々にしても、笹原杏里の捕獲は最重要課題でしてね。お聞き及びかもしれませんが、このところ、仲間たちの間に異変が立て続けに起こっている。医療研究チームからの報告では、どうやら第二の脳から分泌されるホルモンに、異常が認められる事例が頻発しているらしい。そのせいで、突然先祖返りを起こす個体が急増しているのだということです。これは、ひょっとして、種としての危機ではないかと彼らは言うのですが…」
「ああ、見たよ。この前の中学校での立てこもり事件。あの犯人、まさに化け物じゃったの」
「ほう。それはまたどうやって? あの事件は、マスコミにもほとんど露出されなかったはずですが」
「うちのドールズ・ネットワークを舐めちゃ困るね。どこの学校にも、私の”眼”が必ず何体か置いてある。この街で起こった出来事で、私の知らないものはひとつもないんだよ」
胴体と同じ大きさの頭をした老婆が、自慢げに言った。
「はは、そうでしたね。沼人形工房のアンティーク人形ときたら、町中にあふれてますからね」
女の陰部を指で攻め続けながら、男が笑った。
「ついでに教えてやろう。今、杏里のボディガードをしているおなごのことを。あの榊由羅の姿が見えなくなったと思ったら、その後釜として、新しく金髪ハーフの美少女が配置されてきたようなのじゃ。確か、富樫ルナとかいう名前の」
「由羅の後釜というと、パトスですね。我々を目の敵にする乱暴な殺戮兵器たちだ。タナトスはまだ、”浄化”という別の側面を備えているから許せないこともないが、ひたすら対象を殺しまくるパトスは、その存在自体が悪だと思います。いつか根絶やしにしてやらないと」
男の声に、かすかに憎しみの響きがこもったようだった。
「だがのう、今度のルナは強敵だぞ。信じがたいことじゃが、あの娘、念力を使いおる。それも、スプーン曲げ程度のちゃちなものじゃない。とてつもなく強力な、それこそ悪魔の力とでもいうべきものなのじゃ」
「ほう、それは面白い」
男のサングラスの縁が、きらりと光る。
「その娘を捕獲して、このヤチカのように調教できたら最高ですな」
「おまえさんの”狂眼”が勝つか、ルナの念力が勝つか、楽しみがまたひとつ、増えたわい」
「楽しみといえば、まだありますよ」
男が鎖をひっぱり、女を足元に引きずり寄せる。
何も命令されていないのに、女が膝の上に顔を乗せ、男のバミューダパンツのふくらみを口に含んだ。
「なんだい? その3つ目の楽しみというのは?」
やおらペニスを引っ張り出し、黙々とフェラチオを始めた女に、老婆はさすがに度肝を抜かれたようだ。
聞き返す声も、どこか上の空だった。
そんな老婆の反応にもかまわず、楽し気な口調で男が続けた。
「死んだと思われていた、”女王”の生存が確認されました。見つかった時は、かなり手負いの状態でしたが、順調に回復しているとのことです」
「女王…? まさか、あの」
「ええ。残虐行為淫乱症の、あの少女。彼女はまだ、生きていたのですよ」
そのアンモニア臭の強い液体に顔を近づけていくと、女が長い舌を出してぴちゃぴちゃ舐め始めた。
「あれまあ、そんなことまで」
老婆が目を見張った。
「井沢さん、あんたの催眠術は、そら恐ろしいのう。これじゃ、まるで廃人だね」
「なんせ、この女は、笹原杏里捕獲の切り札ですからね。人格崩壊すれすれまで追い込んでおかないと」
サングラスに趣味の悪いアロハシャツの中年男が、口元に酷薄な微笑を浮かべてみせる。
そして、平手で女の良く締まった裸の尻をぴしゃりと叩き、その陰部に背後から人差し指を突き入れた。
指をくの字に曲げ、ぐちゅぐちゅと音を立てて女の蜜壺をかき回す。
ああ…。
尿とよだれを唇の端から滴らせ、女が頸をのけぞらせた。
「我々にしても、笹原杏里の捕獲は最重要課題でしてね。お聞き及びかもしれませんが、このところ、仲間たちの間に異変が立て続けに起こっている。医療研究チームからの報告では、どうやら第二の脳から分泌されるホルモンに、異常が認められる事例が頻発しているらしい。そのせいで、突然先祖返りを起こす個体が急増しているのだということです。これは、ひょっとして、種としての危機ではないかと彼らは言うのですが…」
「ああ、見たよ。この前の中学校での立てこもり事件。あの犯人、まさに化け物じゃったの」
「ほう。それはまたどうやって? あの事件は、マスコミにもほとんど露出されなかったはずですが」
「うちのドールズ・ネットワークを舐めちゃ困るね。どこの学校にも、私の”眼”が必ず何体か置いてある。この街で起こった出来事で、私の知らないものはひとつもないんだよ」
胴体と同じ大きさの頭をした老婆が、自慢げに言った。
「はは、そうでしたね。沼人形工房のアンティーク人形ときたら、町中にあふれてますからね」
女の陰部を指で攻め続けながら、男が笑った。
「ついでに教えてやろう。今、杏里のボディガードをしているおなごのことを。あの榊由羅の姿が見えなくなったと思ったら、その後釜として、新しく金髪ハーフの美少女が配置されてきたようなのじゃ。確か、富樫ルナとかいう名前の」
「由羅の後釜というと、パトスですね。我々を目の敵にする乱暴な殺戮兵器たちだ。タナトスはまだ、”浄化”という別の側面を備えているから許せないこともないが、ひたすら対象を殺しまくるパトスは、その存在自体が悪だと思います。いつか根絶やしにしてやらないと」
男の声に、かすかに憎しみの響きがこもったようだった。
「だがのう、今度のルナは強敵だぞ。信じがたいことじゃが、あの娘、念力を使いおる。それも、スプーン曲げ程度のちゃちなものじゃない。とてつもなく強力な、それこそ悪魔の力とでもいうべきものなのじゃ」
「ほう、それは面白い」
男のサングラスの縁が、きらりと光る。
「その娘を捕獲して、このヤチカのように調教できたら最高ですな」
「おまえさんの”狂眼”が勝つか、ルナの念力が勝つか、楽しみがまたひとつ、増えたわい」
「楽しみといえば、まだありますよ」
男が鎖をひっぱり、女を足元に引きずり寄せる。
何も命令されていないのに、女が膝の上に顔を乗せ、男のバミューダパンツのふくらみを口に含んだ。
「なんだい? その3つ目の楽しみというのは?」
やおらペニスを引っ張り出し、黙々とフェラチオを始めた女に、老婆はさすがに度肝を抜かれたようだ。
聞き返す声も、どこか上の空だった。
そんな老婆の反応にもかまわず、楽し気な口調で男が続けた。
「死んだと思われていた、”女王”の生存が確認されました。見つかった時は、かなり手負いの状態でしたが、順調に回復しているとのことです」
「女王…? まさか、あの」
「ええ。残虐行為淫乱症の、あの少女。彼女はまだ、生きていたのですよ」
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