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第9部 倒錯のイグニス
#51 薔薇のエキス
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薄暗い部屋である。
照明といえば、舞台を照らすオレンジ色の光線だけ。
交差する二条の光の中心で、全裸の女が凌辱されている。
しなやかな体つきをした、ショートカットの若い女である。
天井から垂れ下がったロープに両手首を縛られ、女は爪先立ちになっている。
その女のつんと立った小ぶりな乳房を、両側からふたりの男が吸っていた。
逆三角形の体躯をした、たくましい男たちである。
まるで双子のようにそっくりなその男たちの股間からは、赤紫色の異様な器官がそそりたっている。
百足のように節くれだった、棘のあるペニスだった。
女の身体が回転すると、明らかに人間のものではないそれを、ひとりの男が女の膣に、もうひとりの男が背後からアナルに突き立てた。
か細い悲鳴を上げ、女が全身を痙攣させる。
前後から貫かれた女の顔に浮かぶのは苦痛ではない。
恍惚の表情だ。
淫蕩に開いた赤い唇。
焦点の合わない目。
が、その舞台上の男女の営みよりも異様なのは、むしろ”観客席”を埋め尽くす客たちのほうだ。
白髪の老婆たちなのである。
高価な衣服や装飾品で身を飾った老婆たちが、食い入るように舞台上の男女を見つめているのだ。
「あれが、外来種か」
老婆のひとりがつぶやいた。
「そうだよ。まったくもって、見事な一物じゃないか」
答えたのは、三頭身といっていいほど顔の大きな老婆である。
この”劇場”の持ち主、沼人形工房の女主人、沼真布だ。
「よくもまあ、あんなもので突かれて、平気でいられるもんじゃのう。ふつうなら、あそこが裂けて死んでしまうだろうに」
「確かに、人間の女には荷が勝ちすぎる。じゃが、あの女のほうも外来種じゃからな。つまり、わしらは、世にも珍しい外来種同士の性交を目の当たりにしていると、まあ、そういうことさ」
「ほう、新人類同士の性交とな」
「新人類なのか、悪魔なのか、それは知らん。重要なのは、彼らに協力すれば、わしらにも素晴らしい報酬が手に入るということ」
「若返りのエキスか…。本当に、そんなものがあるのだろうな」
「あるよ。わしが身をもって体験したのだから、間違いない。笹原杏里…。あの子を捕らえてしかるべき研究機関に渡す。そうすれば、神のエキス、ネクタルは量産され、わしらは若返るとともに、永遠の命さえ、手に入れることができる…」
「で、首尾はどうなのじゃ?」
「順調だよ。むしろ、順調すぎて、恐いほどだ。杏里の通う中学校の校長には、わしから渡りをつけてある。近々学校であるイベントが開催されるのじゃが、その時が、獲物捕獲の最大のチャンスでね。ああしてヤチカを調教しておるのも、その計画の一環というわけさ」
3人同時に絶頂に達したらしく、舞台のほうから淫らな合唱が沸き起こった。
巨大な鷲鼻をぶるんと撫でると、真布はうっとりとした声でつぶやいた。
「セックスはいつ見ても美しい。わしも杏里のエキスで、早く現役に復帰したいものだよ。な、ばあさんよ、あんたもそう思うだろう?」
照明といえば、舞台を照らすオレンジ色の光線だけ。
交差する二条の光の中心で、全裸の女が凌辱されている。
しなやかな体つきをした、ショートカットの若い女である。
天井から垂れ下がったロープに両手首を縛られ、女は爪先立ちになっている。
その女のつんと立った小ぶりな乳房を、両側からふたりの男が吸っていた。
逆三角形の体躯をした、たくましい男たちである。
まるで双子のようにそっくりなその男たちの股間からは、赤紫色の異様な器官がそそりたっている。
百足のように節くれだった、棘のあるペニスだった。
女の身体が回転すると、明らかに人間のものではないそれを、ひとりの男が女の膣に、もうひとりの男が背後からアナルに突き立てた。
か細い悲鳴を上げ、女が全身を痙攣させる。
前後から貫かれた女の顔に浮かぶのは苦痛ではない。
恍惚の表情だ。
淫蕩に開いた赤い唇。
焦点の合わない目。
が、その舞台上の男女の営みよりも異様なのは、むしろ”観客席”を埋め尽くす客たちのほうだ。
白髪の老婆たちなのである。
高価な衣服や装飾品で身を飾った老婆たちが、食い入るように舞台上の男女を見つめているのだ。
「あれが、外来種か」
老婆のひとりがつぶやいた。
「そうだよ。まったくもって、見事な一物じゃないか」
答えたのは、三頭身といっていいほど顔の大きな老婆である。
この”劇場”の持ち主、沼人形工房の女主人、沼真布だ。
「よくもまあ、あんなもので突かれて、平気でいられるもんじゃのう。ふつうなら、あそこが裂けて死んでしまうだろうに」
「確かに、人間の女には荷が勝ちすぎる。じゃが、あの女のほうも外来種じゃからな。つまり、わしらは、世にも珍しい外来種同士の性交を目の当たりにしていると、まあ、そういうことさ」
「ほう、新人類同士の性交とな」
「新人類なのか、悪魔なのか、それは知らん。重要なのは、彼らに協力すれば、わしらにも素晴らしい報酬が手に入るということ」
「若返りのエキスか…。本当に、そんなものがあるのだろうな」
「あるよ。わしが身をもって体験したのだから、間違いない。笹原杏里…。あの子を捕らえてしかるべき研究機関に渡す。そうすれば、神のエキス、ネクタルは量産され、わしらは若返るとともに、永遠の命さえ、手に入れることができる…」
「で、首尾はどうなのじゃ?」
「順調だよ。むしろ、順調すぎて、恐いほどだ。杏里の通う中学校の校長には、わしから渡りをつけてある。近々学校であるイベントが開催されるのじゃが、その時が、獲物捕獲の最大のチャンスでね。ああしてヤチカを調教しておるのも、その計画の一環というわけさ」
3人同時に絶頂に達したらしく、舞台のほうから淫らな合唱が沸き起こった。
巨大な鷲鼻をぶるんと撫でると、真布はうっとりとした声でつぶやいた。
「セックスはいつ見ても美しい。わしも杏里のエキスで、早く現役に復帰したいものだよ。な、ばあさんよ、あんたもそう思うだろう?」
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