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第9部 倒錯のイグニス
#35 基礎訓練④
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小百合が杏里を導いたのは、理科実験室や家庭科室が並んでいる校舎の2階だった。
突き当りに非常階段へと続く鉄の扉があり、その手前に何の表示もないドアがひとつ。
「ここが私の部屋だ。瞑想して精神を落ち着かせるために使わせてもらっている」
ドアノブに手をかけながら、小百合が言った。
杏里は驚いた。
中学教師に個人の研究室が与えられているなどという話は聞いたことがない。
つまりはそれだけ小百合が学校側から特別待遇を受けているということなのだろう。
「入れ」
背中を押されるようにして中に足を踏み入れた瞬間、杏里は小さく声を上げた。
目の前に異様な光景が広がっている。
10畳ほどの部屋の真ん中に、長方形の青いマットが敷かれている。
正面は窓だが、今は分厚いカーテンが下りている。
異常なのは、左右の壁に大きな鏡がはめ込まれていることだ。
縦1メートル、横2メートルほどの磨き上げられた長方形の鏡である。
「ここで、技の研究をする。鏡は、オリンピック時代からの習慣でね」
部屋の角に簡素なクローゼットがあり、小百合はその前で着換えを始めている。
杏里はおどおどと周囲を見回した。
ふたつの鏡に映っているのは、身体にピタリと貼りついたレオタードに、すべてのラインを露わにした杏里自身の立ち姿である。
あまりに生地が薄いため、胸の部分では乳首はおろか、乳房の形まではっきりわかる。
後ろの鏡に映っている尻は、ふみに笑われた通り、尾てい骨から双丘の間の割れ目までしっかり浮き出てしまっている。
「さあ、準備完了だ」
声のしたほうを振り返ると、下着だけになった小百合が仁王立ちになり、杏里を見下ろしていた。
胸はさらしのような形のスポーツブラの一種で、ただ乳首のあたりを隠すだけ。
下はビキニのような上下の幅の狭いパンティだ。
どちらも柄が入っており、下着というよりは水着に近い。
すごい筋肉…。
ほぼ逆三角形に近い小百合の肉体を目の当たりに見て、杏里はごくりと唾を飲み込んだ。
小百合の全身は、どこもかしこも、よじれた縄のような太い筋肉で覆われている。
だから、胸のふくらみが、乳房なのか胸筋なのかすらもわからない。
「靴を脱いで、マットに上がれ」
命令口調で、小百合が言った。
「は、はい」
言われたようにスニーカーを脱ぐと、杏里はおずおずと足を踏み出した。
裸足の足の裏にマットはひんやりと冷たく、思ったより硬かった。
小百合が上がってくると、その体重でマットが大きく沈み、杏里はバランスを崩して少しよろめいた。
その左腕を小百合がつかみ、ぐいと引き寄せる。
厚い胸に抱かれる格好になり、杏里は頬を赤らめた。
突き当りに非常階段へと続く鉄の扉があり、その手前に何の表示もないドアがひとつ。
「ここが私の部屋だ。瞑想して精神を落ち着かせるために使わせてもらっている」
ドアノブに手をかけながら、小百合が言った。
杏里は驚いた。
中学教師に個人の研究室が与えられているなどという話は聞いたことがない。
つまりはそれだけ小百合が学校側から特別待遇を受けているということなのだろう。
「入れ」
背中を押されるようにして中に足を踏み入れた瞬間、杏里は小さく声を上げた。
目の前に異様な光景が広がっている。
10畳ほどの部屋の真ん中に、長方形の青いマットが敷かれている。
正面は窓だが、今は分厚いカーテンが下りている。
異常なのは、左右の壁に大きな鏡がはめ込まれていることだ。
縦1メートル、横2メートルほどの磨き上げられた長方形の鏡である。
「ここで、技の研究をする。鏡は、オリンピック時代からの習慣でね」
部屋の角に簡素なクローゼットがあり、小百合はその前で着換えを始めている。
杏里はおどおどと周囲を見回した。
ふたつの鏡に映っているのは、身体にピタリと貼りついたレオタードに、すべてのラインを露わにした杏里自身の立ち姿である。
あまりに生地が薄いため、胸の部分では乳首はおろか、乳房の形まではっきりわかる。
後ろの鏡に映っている尻は、ふみに笑われた通り、尾てい骨から双丘の間の割れ目までしっかり浮き出てしまっている。
「さあ、準備完了だ」
声のしたほうを振り返ると、下着だけになった小百合が仁王立ちになり、杏里を見下ろしていた。
胸はさらしのような形のスポーツブラの一種で、ただ乳首のあたりを隠すだけ。
下はビキニのような上下の幅の狭いパンティだ。
どちらも柄が入っており、下着というよりは水着に近い。
すごい筋肉…。
ほぼ逆三角形に近い小百合の肉体を目の当たりに見て、杏里はごくりと唾を飲み込んだ。
小百合の全身は、どこもかしこも、よじれた縄のような太い筋肉で覆われている。
だから、胸のふくらみが、乳房なのか胸筋なのかすらもわからない。
「靴を脱いで、マットに上がれ」
命令口調で、小百合が言った。
「は、はい」
言われたようにスニーカーを脱ぐと、杏里はおずおずと足を踏み出した。
裸足の足の裏にマットはひんやりと冷たく、思ったより硬かった。
小百合が上がってくると、その体重でマットが大きく沈み、杏里はバランスを崩して少しよろめいた。
その左腕を小百合がつかみ、ぐいと引き寄せる。
厚い胸に抱かれる格好になり、杏里は頬を赤らめた。
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