激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【激闘編】

戸影絵麻

文字の大きさ
上 下
28 / 463
第9部 倒錯のイグニス

#27 人外セックス④

しおりを挟む
 元美術教師だった”それ”は、胴の長い蠍のような外見をしていた。
 その胴体から、人間としての腕が2本、蜘蛛のような逆関節の脚が6本、そしてズボンを穿いた足が2本生えている。
 首はキチン質に覆われた長い管のようで、その先のピンポン玉のような球形の頭部が乗っている。
 怪物は今、わき腹から生えた6本の脚を杏里に突き立て、正面から杏里の身体にしがみついていた。
 ずぶり。
 怪物が動くたびに、杏里の柔らかい脇腹に錐のように鋭い脚がめり込んでいく。
 6つの傷口からはすでに血が流れ出し、杏里の肌を網の目のように赤く彩っていた。
 だが、杏里が感じているのは、まぎれもなく、性的な快感だった。
 6つの傷口が、あたかも新しい膣の役割をはたしているかのように、快感を生み出し続けているのだ。
 それはさながら、6本のペニスを、同時に6つの膣口で受け入れるようなものだった。
「ああ…」
 めくるめく愉悦に、杏里は喘いだ。
 挿入時の快楽が、6倍になって快楽中枢に流れ込む。
 その愉悦が乗り移ったのか、怪物が狂ったように杏里の顔を舐め始めた。
 ざらついたやすりのような舌に、目を鼻孔を耳の穴を舐め尽くされ、杏里は臭い唾液でべとべとになっている。
 が、自らの前戯で昂ぶらせた身体は全身が性感帯と化していて、それすらも気持ちがよくてたまらない。
 怪物が痛みを加えれば加えるほど、杏里の肉体はそれを快感に変え、敏感に反応するのだった。
 現に怪物の脚は肋骨の間を通り、すでに内臓にも届いているはずなのだが、杏里が感じているのは、ペニスが子宮底に当たった時のような鋭い悦びの感覚なのだ。
 はちきれそうに張った乳房を怪物の胸に押し当て、杏里は太腿で相手の片方の足を挟み込んでいる。
 濡れそぼった股間を怪物の右の太腿にすりつけ、盛りのついた雌犬よろしく激しく腰を振った。
 杏里の身体中の毛穴から分泌される体液が、相手の皮膚を覆っていく。
 その中の媚薬成分の効果が現れたのか、怪物が先に鈎針のついた節くれ立った尾を持ち上げた。
 尾のように見えるが、それはどうやら怪物特有の生殖器官であるらしい。
 先の丸い部分が亀頭みたいに粘液でてらてら光り、そのてっぺんから突き出した鈎針からは、明らかに精子と思われる乳白色のしずくが垂れている。
 長い尾が、くねくねうねりながら下がってきた。
 それは背後から怪物の股間をくぐると、怪物と抱き合った杏里の陰部に、狙い違わず突き刺さった。
「うぅっ!」
 杏里は硬直した。
 膣の中でさく裂した激痛が、一瞬にして、とろけるような快感に変わる。
 躰の中心を、太く長いものが移動している。
 その硬い表面に、杏里の肉が意志を持ったかのように、積極的に絡みつき、強い力で締め上げる。
 グググググ…。
 怪物が小刻みに震え始めた。
 その異形の身体を抱きしめた両腕に、杏里はよりいっそう力をこめた。
 グフッ。
 怪物の尾が杏里の中で膨張し、そして、爆ぜた。
 生暖かいものが、奔流のようにあふれ出し、杏里の太腿を伝って床に滴り落ちた。
 だが、杏里はまだ、怪物を放さない、
 役目を終えて萎えていく怪物の尾を、肉襞でしっかりくわえ込んだまま、その精を一滴たりとも残さず搾り取る。
 ぐらり。
 怪物の身体が傾いた。
 6本の脚が、1本ずつ、杏里の脇腹らから抜けていく。
 ホ…ウ。
 小さくつぶやき、くねくねと床に崩れ落ちていった。
 その様子を一瞥して、杏里は驚きに目を見開いた。
 わずかの間に、怪物はひと回り、小さくなってしまったようだった。
 全身の肌にしわが寄り、躰がワンサイズ、縮んでしまったかのようだ。
 まるで、木乃伊…。
 吐息とともに、杏里は思った。
 淫魔にでも、精気を吸い取られてしまったみたい…。
 そうなのだ。
 全身にみなぎる新たな力を感じながら、杏里は悟った。
 その淫魔は、この私。
 これが、外来種をも浄化する、真のタナトスの力なのだろう…。





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

処理中です...