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第9部 倒錯のイグニス
#25 人外セックス②
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窓枠に両手をついて、こちらに向けて臀部を突き出したいずな。
その背中に覆いかぶさっているのは、カッターシャツに紺のズボンを身につけた、一見、人間の形をした”何か”だった。
だが、それがあまりに異質であることは、目を凝らして確認するまでもなかった。
シャツもズボンも、肉体の膨張に耐えかねて破れ、あちこちから赤黒い地肌が覗いている。
そして何よりも奇怪なのは、手と足のほかに、それには更に6本、昆虫の脚のようなものが生えている点だった。
右側に3本、左側に3本、湾曲した脚が脇腹を突き破って両側に飛び出している。
その6本の脚が途中からカギの字に曲がり、裸のいずなの脇腹に深々と突き刺さっているのだ。
疵口から鮮血を滴らせ、いずなは弱々しくうめいている。
更におぞましいのは、ズボンの尻を突き破って伸び出した先に針のついた尾が、とどめを刺そうとでも言わんばかりに、そのいずなを狙っていることだ。
それが床を這うように下向きに湾曲し、今にもいずなの股間を真下から突き破りそうだった。
それを目の当たりにして、杏里はようやくルナの言葉の意味を理解した。
横尾守は、あまりにもいずなに密着しすぎている。
文字通り、躰と身体が融合しかけているようにすら見えるのだ。
もしここでルナが念動力であの化け物を殺せば、いずなの身体もばらばらになってしまうだろう。
もちろん、いずなも杏里と同じタナトスである。
だから、ある程度の治癒力は備えている。
だが、それは杏里ほど万能ではない。
杏里自身、最初の頃は、深い傷を負うたびに、完全に治癒するまでに何日もかかったのを覚えている。
いずなはまだそのレベルなのだ。
瞬時にして傷が塞がってしまう今の杏里のようにはいかないだろう。
問題は、どうやって”あれ”をいずなから引き離すか、だった、
ジェニーはああ言ったが、嫌悪感は拭いようがない。
百戦錬磨の杏里にしても、ここまで人間からかけ離れた外来種に遭遇するのは、初めてだ。
あれではもはや、人の姿を留めていない。
似たものを挙げるとすれば、等身大の蠍である。
そんな怪物と、私はセックスしなければならないのだ…。
無意識のうちに、杏里は乳首を指先で弄り始めていた。
快感がさざ波のように広がると、身体中の毛穴から、透明な体液が滲み出してきた。
嫌悪を抱くのは、私が”あれ”を恐れているから。
恐れを消し去る方法があるとすれば、それはただひとつ。
”あれ”が自分に快感を与えてくれる存在だということを、この身に思い知らせてやればいい…。
そのために必要なのは、痛み=快感の境目の閾値を下げること。
ほんの少しさわられただけでイキそうになるぐらいまで、己を昂ぶらせておけばいい。
それがこの短い時間に、杏里が到達した結論だった。
そうして最初の一線を越えてしまいさえすれば、私は化け物やふみが相手でも、ついにはオルガスムスにまで到達できるのではないか…。
ジェニーは言った。
私になら、できると。
その意味が、今になってやっとわかった気がする。
私の中には、もうひとりの杏里が棲みついている。
私が最も愛する、私自身の分身が。
そしてそれは、妄想などではない。
だって。
サイコジェニーがつくり出したあの不思議な空間で、私は確かに肉体を持つもうひとりの私と交わり、愛を交わして、そして最後には、彼女をこの身に取り込んだのだ…。
だから、あとは、こう思うだけでいい。
今、乳首を愛撫してくれているのは、私ではない、もうひとりの私。
この気持ちのいい指は、私の指ではなく、ちゃんと別の人格を備えた、第二の私の指。
もうひとりの杏里は、愛撫がうまい。
だって私の感じるところを、隅から隅まで知り尽くしているから。
私がどうされれば喜ぶか、全部知っているのだから…。
気がつくと、杏里は怪物の真横に立っていた。
自分でも、息が荒くなっているのがわかる。
乳首への愛撫だけで、身体中が恐ろしいほど敏感になってしまっているのだ。
かすかに空気が動くだけで、肌が疼いた。
杏里の体液に含まれている媚薬成分が、その濃度を一気に増したかのようだった。
化け物の背中では、人間の肉を押しのけて、キチン質の甲殻がせり出している。
両の乳房を両手で下からしぼり出すようにつかみ、杏里は勃起し切った乳首を、その冷たい表面に押しつけた。
そして強く躰を摺り寄せると、ねだるような口調でささやいた。
「ねえ…その子を、放して。代わりに、私としてくれない?」
その背中に覆いかぶさっているのは、カッターシャツに紺のズボンを身につけた、一見、人間の形をした”何か”だった。
だが、それがあまりに異質であることは、目を凝らして確認するまでもなかった。
シャツもズボンも、肉体の膨張に耐えかねて破れ、あちこちから赤黒い地肌が覗いている。
そして何よりも奇怪なのは、手と足のほかに、それには更に6本、昆虫の脚のようなものが生えている点だった。
右側に3本、左側に3本、湾曲した脚が脇腹を突き破って両側に飛び出している。
その6本の脚が途中からカギの字に曲がり、裸のいずなの脇腹に深々と突き刺さっているのだ。
疵口から鮮血を滴らせ、いずなは弱々しくうめいている。
更におぞましいのは、ズボンの尻を突き破って伸び出した先に針のついた尾が、とどめを刺そうとでも言わんばかりに、そのいずなを狙っていることだ。
それが床を這うように下向きに湾曲し、今にもいずなの股間を真下から突き破りそうだった。
それを目の当たりにして、杏里はようやくルナの言葉の意味を理解した。
横尾守は、あまりにもいずなに密着しすぎている。
文字通り、躰と身体が融合しかけているようにすら見えるのだ。
もしここでルナが念動力であの化け物を殺せば、いずなの身体もばらばらになってしまうだろう。
もちろん、いずなも杏里と同じタナトスである。
だから、ある程度の治癒力は備えている。
だが、それは杏里ほど万能ではない。
杏里自身、最初の頃は、深い傷を負うたびに、完全に治癒するまでに何日もかかったのを覚えている。
いずなはまだそのレベルなのだ。
瞬時にして傷が塞がってしまう今の杏里のようにはいかないだろう。
問題は、どうやって”あれ”をいずなから引き離すか、だった、
ジェニーはああ言ったが、嫌悪感は拭いようがない。
百戦錬磨の杏里にしても、ここまで人間からかけ離れた外来種に遭遇するのは、初めてだ。
あれではもはや、人の姿を留めていない。
似たものを挙げるとすれば、等身大の蠍である。
そんな怪物と、私はセックスしなければならないのだ…。
無意識のうちに、杏里は乳首を指先で弄り始めていた。
快感がさざ波のように広がると、身体中の毛穴から、透明な体液が滲み出してきた。
嫌悪を抱くのは、私が”あれ”を恐れているから。
恐れを消し去る方法があるとすれば、それはただひとつ。
”あれ”が自分に快感を与えてくれる存在だということを、この身に思い知らせてやればいい…。
そのために必要なのは、痛み=快感の境目の閾値を下げること。
ほんの少しさわられただけでイキそうになるぐらいまで、己を昂ぶらせておけばいい。
それがこの短い時間に、杏里が到達した結論だった。
そうして最初の一線を越えてしまいさえすれば、私は化け物やふみが相手でも、ついにはオルガスムスにまで到達できるのではないか…。
ジェニーは言った。
私になら、できると。
その意味が、今になってやっとわかった気がする。
私の中には、もうひとりの杏里が棲みついている。
私が最も愛する、私自身の分身が。
そしてそれは、妄想などではない。
だって。
サイコジェニーがつくり出したあの不思議な空間で、私は確かに肉体を持つもうひとりの私と交わり、愛を交わして、そして最後には、彼女をこの身に取り込んだのだ…。
だから、あとは、こう思うだけでいい。
今、乳首を愛撫してくれているのは、私ではない、もうひとりの私。
この気持ちのいい指は、私の指ではなく、ちゃんと別の人格を備えた、第二の私の指。
もうひとりの杏里は、愛撫がうまい。
だって私の感じるところを、隅から隅まで知り尽くしているから。
私がどうされれば喜ぶか、全部知っているのだから…。
気がつくと、杏里は怪物の真横に立っていた。
自分でも、息が荒くなっているのがわかる。
乳首への愛撫だけで、身体中が恐ろしいほど敏感になってしまっているのだ。
かすかに空気が動くだけで、肌が疼いた。
杏里の体液に含まれている媚薬成分が、その濃度を一気に増したかのようだった。
化け物の背中では、人間の肉を押しのけて、キチン質の甲殻がせり出している。
両の乳房を両手で下からしぼり出すようにつかみ、杏里は勃起し切った乳首を、その冷たい表面に押しつけた。
そして強く躰を摺り寄せると、ねだるような口調でささやいた。
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