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第9部 倒錯のイグニス
#16 入部審査⑥
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「コレデス」
アニスが立ち上がり、小百合のほうに両手を突き出した。
「コノぬるぬる、イッタイ何デスカ?」
真っ白な歯を見せて苦笑するアニスの両手は、ローションを塗りたくったようにてらてら光っている。
「コノ子ノ躰カラ、おいるミタイな汁ガ滲ンデキテ、つるット滑ッテシマイマシタ」
小百合が杏里を見た。
「立つのよ」
吠えるような声で命令する。
その獣人めいた顔が凶暴な感情でいびつに歪んでいるように見え、杏里は恐怖にすくみ上がった。
仕方なく、腰を上げる。
さっき肩ひもを外されたので、杏里は右の乳房をさらけ出したままである。
「こっちに来なさい」
脅すような声に、催眠術にでもかかったように小百合の前に進み出た。
「見せるのよ」
小百合の指が左の肩ひもにかかったかと思うと、抗議する間もなく、一気に引き下ろされた。
かろうじて隠されていたもう一方の乳房がこぼれ出し、天井の照明を反射して艶めかしく光った。
ステージ下の野次馬たちの間から、声にならぬ深い吐息が漏れた。
裸に剥かれた杏里の上半身は、まるで透明なローションを摺り込んだようにしっとりと濡れ光っている。
「これ、汗なの?」
小百合が近づき、指先で杏里の胸の谷間の肌を撫でた。
指を洞窟のような鼻の穴に持っていき、匂いを嗅ぎ始める。
杏里は答えず、そんな小百合の一挙手一投足をじっと観察した。
わかるのは、この女が今、爆発寸前にまで欲情していること。
璃子が止めに入らなかったら、杏里は衆人環視のステージの上で、この巨人にレイプされるところだったのだ。
「汗デハナイデスネ。モットさらさらシテイテ、マルデソノ…」
アニスが言い淀んだ。
恥ずかしげに目を伏せる。
この黒人少女、そんな仕草をすると、意外に睫毛が長く、愛くるしい。
「なるほど」
口に出さなくとも、その意図は小百合にも十分伝わったようだ。
そのことは、小百合が杏里の体液で濡れた指を、愛おしげに口にふくんだことからも、如実にわかった。
実際、杏里の肌が分泌したのは汗ではない。
身の危険を感じると発動する、タナトス固有の防御液である。
その成分は汗というより愛液に近く、杏里の場合は更にそこに媚薬成分をも含んでいる。
「それで、どうするんです?」
紡錘形に突き出し、桜色に上気した杏里の乳房を眺めながら、璃子が言う。
「合格ですか? それとも不合格?」
いつか、旧クラブハウスでふみもろとも杏里に触手でイかされた経験を持つ璃子だが、杏里にとっては依然油断ならない存在だ。
「合格ね」
しわぶきとともに、小百合が答えた。
「この身体の柔軟性、アニスのロメロスペシャルを解いた特異体質、そして何よりも、このビジュアル…。入部させないわけにはいかないでしょう?」
え?
合格?
驚きを隠せないのは、杏里のほうだった。
私が、レスリング部に…?
どうして?
私、それらしいこと、なんにもしていないのに…。
アニスが立ち上がり、小百合のほうに両手を突き出した。
「コノぬるぬる、イッタイ何デスカ?」
真っ白な歯を見せて苦笑するアニスの両手は、ローションを塗りたくったようにてらてら光っている。
「コノ子ノ躰カラ、おいるミタイな汁ガ滲ンデキテ、つるット滑ッテシマイマシタ」
小百合が杏里を見た。
「立つのよ」
吠えるような声で命令する。
その獣人めいた顔が凶暴な感情でいびつに歪んでいるように見え、杏里は恐怖にすくみ上がった。
仕方なく、腰を上げる。
さっき肩ひもを外されたので、杏里は右の乳房をさらけ出したままである。
「こっちに来なさい」
脅すような声に、催眠術にでもかかったように小百合の前に進み出た。
「見せるのよ」
小百合の指が左の肩ひもにかかったかと思うと、抗議する間もなく、一気に引き下ろされた。
かろうじて隠されていたもう一方の乳房がこぼれ出し、天井の照明を反射して艶めかしく光った。
ステージ下の野次馬たちの間から、声にならぬ深い吐息が漏れた。
裸に剥かれた杏里の上半身は、まるで透明なローションを摺り込んだようにしっとりと濡れ光っている。
「これ、汗なの?」
小百合が近づき、指先で杏里の胸の谷間の肌を撫でた。
指を洞窟のような鼻の穴に持っていき、匂いを嗅ぎ始める。
杏里は答えず、そんな小百合の一挙手一投足をじっと観察した。
わかるのは、この女が今、爆発寸前にまで欲情していること。
璃子が止めに入らなかったら、杏里は衆人環視のステージの上で、この巨人にレイプされるところだったのだ。
「汗デハナイデスネ。モットさらさらシテイテ、マルデソノ…」
アニスが言い淀んだ。
恥ずかしげに目を伏せる。
この黒人少女、そんな仕草をすると、意外に睫毛が長く、愛くるしい。
「なるほど」
口に出さなくとも、その意図は小百合にも十分伝わったようだ。
そのことは、小百合が杏里の体液で濡れた指を、愛おしげに口にふくんだことからも、如実にわかった。
実際、杏里の肌が分泌したのは汗ではない。
身の危険を感じると発動する、タナトス固有の防御液である。
その成分は汗というより愛液に近く、杏里の場合は更にそこに媚薬成分をも含んでいる。
「それで、どうするんです?」
紡錘形に突き出し、桜色に上気した杏里の乳房を眺めながら、璃子が言う。
「合格ですか? それとも不合格?」
いつか、旧クラブハウスでふみもろとも杏里に触手でイかされた経験を持つ璃子だが、杏里にとっては依然油断ならない存在だ。
「合格ね」
しわぶきとともに、小百合が答えた。
「この身体の柔軟性、アニスのロメロスペシャルを解いた特異体質、そして何よりも、このビジュアル…。入部させないわけにはいかないでしょう?」
え?
合格?
驚きを隠せないのは、杏里のほうだった。
私が、レスリング部に…?
どうして?
私、それらしいこと、なんにもしていないのに…。
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