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第9部 倒錯のイグニス
#9 狂眼
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それにしても、なぜ、私は…。
スレンダーな躰を背後から抱きすくめられ、ほとんど後ろにのけぞりながら、ヤチカはまだ考えている。
なぜ、こんなにもたやすく、この男のいいなりになってしまったのだろう…?
立位のまま背後から膣に挿入しての性行為は、人間の男性の場合、そうそう長く続けられるものではない。
ペニスが短すぎて、ピストン運動の途中で外れてしまうことが多いからである。
だが、この男は違った。
まず、外来種のペニスは驚くほど長い。
更に、挿入後、海綿体の逆棘が滑り止めとして膣壁に食い込むため、いくら不自然な体勢をとっても外れることがない。
だから、井沢はバックからヤチカをそのまま引き起こし、直立の体勢に持ち込んですらなお、一度もペニスを抜くことなく腰をリズミカルに動かし続けることができるのだ。
その分、ヤチカの感じる快感は強烈なものだった。
そう、ほとんど強姦同然に犯されながら、情けないことにヤチカは激しく感じてしまっていた。
尻に腰を打ちつけながら、前に回した右腕で井沢はヤチカの陰核を弄り回している。
したたる愛液を指に塗りつけ、包皮から顔をのぞかせた一番敏感な部分に入念に擦り込んでくる。
左手はヤチカの腋の下から胸に回され、両方の乳房を好き勝手に弄んでいる。
肉を揉みしだかれ、勃起した乳首を痛いほどつねられ、そのたびにヤチカは愉悦におののいた。
「あなたの過去、調べさせてもらいましたよ」
ヤチカをつき上げ、嬌声を上げさせながら、井沢が耳元でささやいた。
「アンドロギュノスだったあなたは、一時期、夜になると青年の姿になって、家出少女たちを漁っていたとか。それもまあ、我々優越種の悲しい性と言ってしまえば、それまでなのですが…そのうち、あなたが屋敷に連れ込んだ5人の少女が、いまだに行方知れずだそうですね…」
ヤチカは青ざめた。
思い出したくない黒歴史。
杏里と出会うことで、そして零に男性器を引きちぎられることで、自分では記憶の隅に封印したはずなのに…。
「あなたの屋敷の花壇には、ほかより花の育ちの良い場所が五か所ほどあると聞きました。時間があったら、一度そこを掘り返してみたいものです…」
「何が、何が言いたいの…?」
こみ上げる疼きに歯を食いしばり、やっとのことでヤチカは言葉を絞り出した。
「それで、私を脅迫しているつもりなの?」
「脅迫? そう聞こえましたか。それは失礼いたしました」
井沢はいっこうに悪びれたふうもない。
腰の動きにも両手の指での愛撫にもいささかの遅延もなく、ヤチカをとことん攻めまくりながら、淡々と話しかけてくる。
「要するに、私の言いたいのは、こういうことです。あなたはすでに、人間としては取り返しのつかない罪を犯してしまった。それはもう、この先何が起ころうと元に戻せるものではない。だが、あなたの行為は、我々の種にとっては、何ら罪に問われることではないのです。ならば、いつまでも人間の側に居てやせ我慢してないで、いっそのこと、ここで我々の陣営に鞍替えしたほうが、あなたの人生自体、もっとずっと楽になるのではないですかね」
「それでも、嫌だと言ったら…?」
杏里の面影を脳裏に思い浮かべながら、ヤチカは必死で抗った。
この身がどうなろうと、私は彼女の敵に回るようなことは、したくない。
杏里ちゃん…もう一度、会いたい…。
「しょうがないですね」
ヤチカのそっけない返答に、耳元で大げさに井沢がため息をつく。
「じゃあ、もう一度見てもらいますか。私の眼を。本当言うと、この眼、狂眼と言いまして、あまり何度も見るのはお勧めできないんですけどね」
スレンダーな躰を背後から抱きすくめられ、ほとんど後ろにのけぞりながら、ヤチカはまだ考えている。
なぜ、こんなにもたやすく、この男のいいなりになってしまったのだろう…?
立位のまま背後から膣に挿入しての性行為は、人間の男性の場合、そうそう長く続けられるものではない。
ペニスが短すぎて、ピストン運動の途中で外れてしまうことが多いからである。
だが、この男は違った。
まず、外来種のペニスは驚くほど長い。
更に、挿入後、海綿体の逆棘が滑り止めとして膣壁に食い込むため、いくら不自然な体勢をとっても外れることがない。
だから、井沢はバックからヤチカをそのまま引き起こし、直立の体勢に持ち込んですらなお、一度もペニスを抜くことなく腰をリズミカルに動かし続けることができるのだ。
その分、ヤチカの感じる快感は強烈なものだった。
そう、ほとんど強姦同然に犯されながら、情けないことにヤチカは激しく感じてしまっていた。
尻に腰を打ちつけながら、前に回した右腕で井沢はヤチカの陰核を弄り回している。
したたる愛液を指に塗りつけ、包皮から顔をのぞかせた一番敏感な部分に入念に擦り込んでくる。
左手はヤチカの腋の下から胸に回され、両方の乳房を好き勝手に弄んでいる。
肉を揉みしだかれ、勃起した乳首を痛いほどつねられ、そのたびにヤチカは愉悦におののいた。
「あなたの過去、調べさせてもらいましたよ」
ヤチカをつき上げ、嬌声を上げさせながら、井沢が耳元でささやいた。
「アンドロギュノスだったあなたは、一時期、夜になると青年の姿になって、家出少女たちを漁っていたとか。それもまあ、我々優越種の悲しい性と言ってしまえば、それまでなのですが…そのうち、あなたが屋敷に連れ込んだ5人の少女が、いまだに行方知れずだそうですね…」
ヤチカは青ざめた。
思い出したくない黒歴史。
杏里と出会うことで、そして零に男性器を引きちぎられることで、自分では記憶の隅に封印したはずなのに…。
「あなたの屋敷の花壇には、ほかより花の育ちの良い場所が五か所ほどあると聞きました。時間があったら、一度そこを掘り返してみたいものです…」
「何が、何が言いたいの…?」
こみ上げる疼きに歯を食いしばり、やっとのことでヤチカは言葉を絞り出した。
「それで、私を脅迫しているつもりなの?」
「脅迫? そう聞こえましたか。それは失礼いたしました」
井沢はいっこうに悪びれたふうもない。
腰の動きにも両手の指での愛撫にもいささかの遅延もなく、ヤチカをとことん攻めまくりながら、淡々と話しかけてくる。
「要するに、私の言いたいのは、こういうことです。あなたはすでに、人間としては取り返しのつかない罪を犯してしまった。それはもう、この先何が起ころうと元に戻せるものではない。だが、あなたの行為は、我々の種にとっては、何ら罪に問われることではないのです。ならば、いつまでも人間の側に居てやせ我慢してないで、いっそのこと、ここで我々の陣営に鞍替えしたほうが、あなたの人生自体、もっとずっと楽になるのではないですかね」
「それでも、嫌だと言ったら…?」
杏里の面影を脳裏に思い浮かべながら、ヤチカは必死で抗った。
この身がどうなろうと、私は彼女の敵に回るようなことは、したくない。
杏里ちゃん…もう一度、会いたい…。
「しょうがないですね」
ヤチカのそっけない返答に、耳元で大げさに井沢がため息をつく。
「じゃあ、もう一度見てもらいますか。私の眼を。本当言うと、この眼、狂眼と言いまして、あまり何度も見るのはお勧めできないんですけどね」
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