上 下
433 / 475
第4話 転生! 凌辱学園

#95 傷心のエロ女教師⑳

しおりを挟む
 怒鳴り声の主は、鬼龍院那智だった。
 那智が、人垣を割ってマットの上に上がってきたのだ。
「恥を知りなさい! 恥を! あなたたちのせいで、笹原先生が失職したらどうするんです!」
 那智に恫喝され、ゆずが杏里を解放した。
 乳房を両腕で隠し、うずくまった杏里を、そばに寄った那智が抱き上げる。
「ちっ」
 忌々しげに舌打ちをしたのは、もちろん、市子である。
「鬼龍院先生、誤解ですって。これは事故ですよ。うちらはただ先生相手に練習してただけで」
「黙りなさい」
 那智は怒りに身を震わせている。
 身長こそ市子より低いが、筋肉質なだけにすごい迫力だ。
 オレンジ色のジャージの下で、鍛え抜かれた肉体が怒りで膨れ上がったかのようだった。
「私の杏里をおもちゃにすることは、許しません。しかも、こんな衆人環視の場で」
「私の杏里?」
 市子が那智の言葉尻を捉えて、いぶかしげに目を細めた。
「どういうことですか? それ」
「な、なんでもないわ」
 己の失言に気づいたらしく、那智の頬がさっと朱に染まった。
「さては鬼龍院先生も、この女に…?」
 市子の口角が意地悪く吊り上がる。
「ば、馬鹿なこと、言うんじゃない! とにかく、笹原先生は私が保健室に連れて行きます。さあ、みんな、散って! 元の場所に戻って!」
 那智の剣幕に、生徒たちが散り始めた。
「あ、ありがとうございます」
 那智に抱えられ、入口へと歩きながら、杏里は礼を言った。
 那智は無言である。
 こめかみに、太い血管が浮き出ている。
 どうやら、杏里に対しても怒っているらしい。
 なんとなく理由は想像できるが、杏里には言い訳のしようがない。
 獲物を狙う野獣のような鋭く熱い視線を感じたのは、体育館を出ようとしたその時だった。
 誰?
 杏里はとっさに視線のほうを振り返った。
 なにこの視線?
 まるで今にも襲いかかってきそうな、この痛さは…?
 渡り廊下の向こうの植え込みで何かが動いた。
 一瞬、黒い影が見えたかと思うと、葉擦れの音を残してすぐに消えたのだ。
「どうしたの?」
 那智が杏里の顔を覗き込む。
「いいえ、なんでもありません」
 今の、なんだろう?
 新手のストーカー?
 確かにこのユニフォームなら、ストーカーに狙われてもしかたないけど…。
「私を油断させて、逃げようたってだめ」
 不機嫌そうな口調で、那智が言った。
「なんなの? さっきのあのざまは?」
「あの…ざまって…?」
「あなた、また感じてたでしょ? 私というセフレがありながら。だからあれほど警告したのに」
「そんな…」
 来た。
 杏里は首をすくめた。
 やはり那智が不機嫌なのは、そのせいだったのだ。
「このつぐない、してもらうからね。今からそう、誰もいない保健室で」
 団栗まなこでおびえた杏里の顔を睨みつけながら、舌なめずりするような口調で、那智が宣告した。



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

裸を見られた少女たち

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:191pt お気に入り:2

大好きな幼馴染と結婚した夜

恋愛 / 完結 24h.ポイント:355pt お気に入り:34

誰かを気持ちよくさせるお仕事です

恋愛 / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:163

【R-18あり】先輩は私のお姉ちゃんだけどそれを先輩は知らない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:76

幼馴染と結婚したけれど幸せじゃありません。逃げてもいいですか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:1,457

勇者様、姫が処女を捧げに参りました!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:24

チャラ男に囚われた忌み子の僕は

BL / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:127

日本ボカシ話

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

処理中です...