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第4話 転生! 凌辱学園
#86 傷心のエロ女教師⑪
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「やめて」
杏里は明の胸板を押し返した。
「こんなところで、人聞きの悪いこと、言わないで」
秘密を見抜かれ、耳たぶまで熱く火照っているのがわかる。
「助けてもらっておいて、それはないだろ?」
明は少し不満そうだ。
が、すぐに表情を和らげると、
「いや、ごめん。俺、鼻が利くもんで」
照れたように人差し指で鼻の頭をかいた。
「ううん、こっちこそごめんなさい。それに、ありがとう」
気を取り直し、相手を見る。
明は今どき珍しい、野性味あふれる少年だ。
痩せて猫背で背が高いが、抱きしめられた時の感触は意外に筋肉質なものだった。
無造作に伸ばした長めの髪、削いだような頬、鋭いまなざし。
どれも野生の狼を感じさせるワイルドさだ。
この前の中庭でのひと時を思い出し、杏里の胸はざわついた。
「それより、聞いたぜ。あんた、女子レスリング部の顧問になるんだって?」
明のひと言に、杏里は目を見開いた。
「どうして、知ってるの?」
校長の大山には、今朝方命じられたばかりである。
なのに、那智も美和も、この明まで知ってるなんて…。
「あいつが言いふらしてるからさ」
明が肩越しにちらっと後ろを振り返った。
廊下の角に数人の女子が固まっている。
その中のひと際背の高い少女がミニスカートから突き出た長い脚を組み、じっと杏里のほうを見つめていた。
「3年生のセルジオ市子だよ。女子レスリング部のキャプテンさ」
「セルジオ…市子さん?」
挑戦的なまなざしで杏里を見つめるその少女は、明らかに白人とのハーフのようだった。
綺麗なブロンドの髪に、杏里顔負けの巨乳。
それでいて、身体はカモシカのようにしなやかだ。
ほかの女子生徒にはない、肉食系のオーラをびんびん発散させている。
「おいおい、いつまでもいちゃついてんじゃねーよ!」
杏里を睨み返して、挑発するような口調で市子が言った。
「明も明だ。そんな年増に抱きついてうれしいんかよ」
西洋人形のような外見と真逆に、ずいぶん口の悪い少女である。
「知り合いなの?」
ちらっと妬ける思いが胸にきざし、杏里は声をひそめて明にたずねた。
「そうじゃないけど、ここんとこ、つきまとわれて困ってるんだ」
不快そうに唇を歪めて、明が言う。
「レスリング部の部員は、全員レズって聞いたけど」
言わずもがなのことを思わず口にしてしまった杏里だったが、
「いや、市子は違う。正確に言うと、両刀使い、バイセクシャルってやつらしい」
明は違和感を抱いた様子もなく、真顔で答えてきた。
「バイセクシャル…?」
「男の趣味は年下専門。女のストライクゾーンは広い。仲間とそんな話をしてたのを立ち聞きしたことがある」
「あなた、鼻だけでなく、地獄耳なんだ」
「まあね」
明が苦笑した時、また市子の声が飛んできた。
「ところで先生、うちの部の顧問就任おめでとう。確か、笹原とか言ったよね? 放課後、体育館で待ってるから、逃げないでちゃんとくるんだよ。腕によりをかけて可愛がってあげるからさ。足腰が立たないくらいにね」
取り巻きの連中がどっと笑い、杏里の顔色が今度は赤から青に変わる。
「だからやめといたほうがいいって、忠告しようと思ったんだ。女子レスリング部の顧問なんか。でも、もう手遅れだな。市子に見つかった以上」
明があきらめたようにため息をつく。
「じゃ、俺、行くから。幸運を祈る」
「ま、待ってよ」
杏里は手を伸ばした。
と、その瞬間、放課の終わりを告げるチャイムが鳴り始めた。
杏里は明の胸板を押し返した。
「こんなところで、人聞きの悪いこと、言わないで」
秘密を見抜かれ、耳たぶまで熱く火照っているのがわかる。
「助けてもらっておいて、それはないだろ?」
明は少し不満そうだ。
が、すぐに表情を和らげると、
「いや、ごめん。俺、鼻が利くもんで」
照れたように人差し指で鼻の頭をかいた。
「ううん、こっちこそごめんなさい。それに、ありがとう」
気を取り直し、相手を見る。
明は今どき珍しい、野性味あふれる少年だ。
痩せて猫背で背が高いが、抱きしめられた時の感触は意外に筋肉質なものだった。
無造作に伸ばした長めの髪、削いだような頬、鋭いまなざし。
どれも野生の狼を感じさせるワイルドさだ。
この前の中庭でのひと時を思い出し、杏里の胸はざわついた。
「それより、聞いたぜ。あんた、女子レスリング部の顧問になるんだって?」
明のひと言に、杏里は目を見開いた。
「どうして、知ってるの?」
校長の大山には、今朝方命じられたばかりである。
なのに、那智も美和も、この明まで知ってるなんて…。
「あいつが言いふらしてるからさ」
明が肩越しにちらっと後ろを振り返った。
廊下の角に数人の女子が固まっている。
その中のひと際背の高い少女がミニスカートから突き出た長い脚を組み、じっと杏里のほうを見つめていた。
「3年生のセルジオ市子だよ。女子レスリング部のキャプテンさ」
「セルジオ…市子さん?」
挑戦的なまなざしで杏里を見つめるその少女は、明らかに白人とのハーフのようだった。
綺麗なブロンドの髪に、杏里顔負けの巨乳。
それでいて、身体はカモシカのようにしなやかだ。
ほかの女子生徒にはない、肉食系のオーラをびんびん発散させている。
「おいおい、いつまでもいちゃついてんじゃねーよ!」
杏里を睨み返して、挑発するような口調で市子が言った。
「明も明だ。そんな年増に抱きついてうれしいんかよ」
西洋人形のような外見と真逆に、ずいぶん口の悪い少女である。
「知り合いなの?」
ちらっと妬ける思いが胸にきざし、杏里は声をひそめて明にたずねた。
「そうじゃないけど、ここんとこ、つきまとわれて困ってるんだ」
不快そうに唇を歪めて、明が言う。
「レスリング部の部員は、全員レズって聞いたけど」
言わずもがなのことを思わず口にしてしまった杏里だったが、
「いや、市子は違う。正確に言うと、両刀使い、バイセクシャルってやつらしい」
明は違和感を抱いた様子もなく、真顔で答えてきた。
「バイセクシャル…?」
「男の趣味は年下専門。女のストライクゾーンは広い。仲間とそんな話をしてたのを立ち聞きしたことがある」
「あなた、鼻だけでなく、地獄耳なんだ」
「まあね」
明が苦笑した時、また市子の声が飛んできた。
「ところで先生、うちの部の顧問就任おめでとう。確か、笹原とか言ったよね? 放課後、体育館で待ってるから、逃げないでちゃんとくるんだよ。腕によりをかけて可愛がってあげるからさ。足腰が立たないくらいにね」
取り巻きの連中がどっと笑い、杏里の顔色が今度は赤から青に変わる。
「だからやめといたほうがいいって、忠告しようと思ったんだ。女子レスリング部の顧問なんか。でも、もう手遅れだな。市子に見つかった以上」
明があきらめたようにため息をつく。
「じゃ、俺、行くから。幸運を祈る」
「ま、待ってよ」
杏里は手を伸ばした。
と、その瞬間、放課の終わりを告げるチャイムが鳴り始めた。
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