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第4話 転生! 凌辱学園
#75 新たな道へ④
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杏里が現役の教師であるという事実に、美衣はいたく興味をそそられたらしかった。
だから腹ごなしに入ったモスバーガーでも根掘り葉掘り事情を聞きたがったが、杏里はのらりくらりとそれをかわし、帰路についた。
その一番の理由は、美衣の反応を確かめたかったからである。
たとえこの世界では初対面でも、美衣がペットロイドである以上、以前と同様の関係に持ち込むことはた易いはずだ。
ただ、そのためには、それなりのシチュエーションを整えなければならないのだ。
言葉は悪いが、実家に連れ込めさえすれば、後は杏里の思うつぼである。
幸い、美衣は杏里に好意を抱いているらしく、一緒に歩く時にも自分から腕をからめてくるほどだった。
勝算は十分にある。
杏里がそう判断したのも無理はない。
「へえ。ここが杏里さんの実家だったんですか。ええ、この家なら見覚えがあります。森と丘を挟んでですけど、確かにお隣同士ですよね」
バスを降りて、農家風の小田切の家の前に着くと、美衣が物珍しげに周りを見回した。
「沙彩さんちに比べると、相当なぼろ屋だけど、笑わないでね」
玄関口でローファーを脱ぐ美衣に向かって、杏里は言った。
この家、元は農家だから、中が広々としていることだけが取り柄である。
ふすまをすべてはずせば、旅館の宴会場並みにだだっ広い空間になる。
「いえ、そんな…。和風で風通しがよくて、とっても落ち着きます」
農家風のつくりが珍しいのか、紗彩は家の中を観察するのに忙しい。
「私の部屋は、こっちなの」
板敷の廊下を回って、端っこに位置する杏里の部屋に行く。
卓袱台を挟んで向かい合い、お土産代わりのドーナッツと飲み物をふたり分、台の上に置いた。
「やっと話してもらえるんですね」
杏里の前に正座して、美衣が小首をかしげ、にっこり笑う。
「どうして私にあんなことしてみせたのか、それよりそもそも、どうして私のこと、そんなによく知ってるのか」
「信じてもらえないとは思うけど」
杏里はドーナッツをひとつ、手に取った。
「実はね、私…」
正直に、すべて打ち明けることにした。
おとといふと気がつくと、大人の女になっていて、清流院高校の職員室に居たこと。
その前は同じ清流院高校の1年生で、まだ16歳になったばかりだったこと。
前の世界では、みいと恋仲で、肉体関係まであったこと。
トリップした直接の原因は、紗彩とみいと3人でおこなった3Pプレイだったらしいこと…。
長い物語を話し終えると、喉がからからに乾いていた。
紙容器のミルクシェイクで喉を潤すと、杏里は探るように正面の美衣の顔色をうかがった。
正座した美衣は、硬直したように固まってしまっている。
頬が真っ赤に染まり、視線を卓袱台の上に堕としていた。
「今流行の、異世界転生ですか…」
しばしの沈黙の後、ぎこちない口調でそう言った。
「確かに信じられません。高校生の自分の意識が、別の世界の大人の自分の体の中に転生するだなんて…」
「そうだよね」
杏里はため息をついた。
「いちばん信じられないのは、当事者の私自身だもの」
「でも、もっと信じられないのは、元の世界での私たちの関係です。本当にそんなことが…あったのでしょうか」
なるべく抑えて話したつもりだったのだが、美衣には刺激が強すぎたのか、いっこうに顔を上げようとしない。
「私とみいは、最初会った時から、相性が抜群だったの。沙彩さんが、裸のみいを預かってほしいって、私の家に連れてきたあの夏の午後からずっとね…」
「は? どういうことですか? その、裸の私を叔母さんが連れてきたっていうのは?」
驚きが先に立ったのか、ようやく美衣が眼を上げて杏里を見た。
「みいはペットロイドだったの。そう、今のあなたと同じようにね」
そう言うなり、杏里は美衣の首のスカーフに手を伸ばした。
「隠してもだめ。その赤い首輪が証拠でしょ?」
だから腹ごなしに入ったモスバーガーでも根掘り葉掘り事情を聞きたがったが、杏里はのらりくらりとそれをかわし、帰路についた。
その一番の理由は、美衣の反応を確かめたかったからである。
たとえこの世界では初対面でも、美衣がペットロイドである以上、以前と同様の関係に持ち込むことはた易いはずだ。
ただ、そのためには、それなりのシチュエーションを整えなければならないのだ。
言葉は悪いが、実家に連れ込めさえすれば、後は杏里の思うつぼである。
幸い、美衣は杏里に好意を抱いているらしく、一緒に歩く時にも自分から腕をからめてくるほどだった。
勝算は十分にある。
杏里がそう判断したのも無理はない。
「へえ。ここが杏里さんの実家だったんですか。ええ、この家なら見覚えがあります。森と丘を挟んでですけど、確かにお隣同士ですよね」
バスを降りて、農家風の小田切の家の前に着くと、美衣が物珍しげに周りを見回した。
「沙彩さんちに比べると、相当なぼろ屋だけど、笑わないでね」
玄関口でローファーを脱ぐ美衣に向かって、杏里は言った。
この家、元は農家だから、中が広々としていることだけが取り柄である。
ふすまをすべてはずせば、旅館の宴会場並みにだだっ広い空間になる。
「いえ、そんな…。和風で風通しがよくて、とっても落ち着きます」
農家風のつくりが珍しいのか、紗彩は家の中を観察するのに忙しい。
「私の部屋は、こっちなの」
板敷の廊下を回って、端っこに位置する杏里の部屋に行く。
卓袱台を挟んで向かい合い、お土産代わりのドーナッツと飲み物をふたり分、台の上に置いた。
「やっと話してもらえるんですね」
杏里の前に正座して、美衣が小首をかしげ、にっこり笑う。
「どうして私にあんなことしてみせたのか、それよりそもそも、どうして私のこと、そんなによく知ってるのか」
「信じてもらえないとは思うけど」
杏里はドーナッツをひとつ、手に取った。
「実はね、私…」
正直に、すべて打ち明けることにした。
おとといふと気がつくと、大人の女になっていて、清流院高校の職員室に居たこと。
その前は同じ清流院高校の1年生で、まだ16歳になったばかりだったこと。
前の世界では、みいと恋仲で、肉体関係まであったこと。
トリップした直接の原因は、紗彩とみいと3人でおこなった3Pプレイだったらしいこと…。
長い物語を話し終えると、喉がからからに乾いていた。
紙容器のミルクシェイクで喉を潤すと、杏里は探るように正面の美衣の顔色をうかがった。
正座した美衣は、硬直したように固まってしまっている。
頬が真っ赤に染まり、視線を卓袱台の上に堕としていた。
「今流行の、異世界転生ですか…」
しばしの沈黙の後、ぎこちない口調でそう言った。
「確かに信じられません。高校生の自分の意識が、別の世界の大人の自分の体の中に転生するだなんて…」
「そうだよね」
杏里はため息をついた。
「いちばん信じられないのは、当事者の私自身だもの」
「でも、もっと信じられないのは、元の世界での私たちの関係です。本当にそんなことが…あったのでしょうか」
なるべく抑えて話したつもりだったのだが、美衣には刺激が強すぎたのか、いっこうに顔を上げようとしない。
「私とみいは、最初会った時から、相性が抜群だったの。沙彩さんが、裸のみいを預かってほしいって、私の家に連れてきたあの夏の午後からずっとね…」
「は? どういうことですか? その、裸の私を叔母さんが連れてきたっていうのは?」
驚きが先に立ったのか、ようやく美衣が眼を上げて杏里を見た。
「みいはペットロイドだったの。そう、今のあなたと同じようにね」
そう言うなり、杏里は美衣の首のスカーフに手を伸ばした。
「隠してもだめ。その赤い首輪が証拠でしょ?」
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