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第4話 転生! 凌辱学園
#71 悲しき再会④
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その後の展開は、惨憺たるものだった。
マスターとみいの取り巻きの大柄な少女に引きずられるようにして、杏里は店から放り出された。
「悪いが、もう来ないでくれ」
心底困ったような顔で、マスターが言った。
「変なうわさが立ったら、商売上がったりだからね」
「そうだよ。よりによって、美衣の恋人だなんて嘘ついて。それじゃまるで、美衣がレズみたいじゃない!」
ショートボブの気の強そうな少女が、吐き捨てるように言う。
嘘じゃない。
みいと私は…何度も何度も愛し合ったんだから!
私は子宮でさえ、彼女に捧げたことがあるんだから!
そう叫び出したかった。
が、スカートを投げつけられ、目の前で樫の木の扉が無慈悲に閉まると、さすがの杏里も退散せざるを得なかった。
自分でも、ちょっと性急すぎたと反省した。
みいに顔だけでなく身体も見せて、思い出してほしかった。
それでつい、衝動的にあんなことをしてしまったのだが、目論見は外れ、見事に玉砕してしまったのである。
紗彩さんの時と、おんなじだ…。
帰宅途中の女生徒たちの好奇の目にさらされ、とぼとぼ歩きながら杏里はあふれる涙をぬぐった。
みいも、私のことを覚えていない。
そもそも、この世界と元の世界とのつながりがわからない。
ここが、単純に時間的に未来の世界だというわけではないらしい。
それくらいのことは、SF音痴の杏里にもわかる。
杏里と小田切はそれ相応に歳をとっているが、那智や美和、紗彩やみいの年恰好は、元の世界とまったく変わっていないのだ。
残された可能性としては、ここは元の世界にそっくりなパラレルワールドということになるのだろうけど…そうすると、ますます何が似ていて何が違うのか、そこのところがよくわからないのだ。
往来に出る手前に小さな児童公園があった。
幼い子と若い母親がブランコで遊んでいるだけで、他に人の気配はない。
公園は周囲を丈高いアカシアの樹に囲まれていて、通学路から遮断されている。
ここなら落ち着ける。
そう思って、ベンチに座った。
ショックが大きすぎて、考えがまとまらない。
みいが赤の他人であるとしたら、私はこれからどうすればいいのだろう?
彼女のことを忘れて、那智先生の腕に抱かれる道を選ぶ…?
あの逞しい野性的な腕に毎晩抱かれて、身も世もなく獣みたいに喘ぐのもいいかもしれない。
でも、と思う。
たとえ私のことを知らなくても、みいはこの世界にも存在するのだ。
なのに、そう簡単に諦めることができるのだろうか…?
ついさっき目にした、輝くようなみいの笑顔が脳裏に浮かぶ。
できない。
はっきりと、悟った。
この世界にもみいがいると知ってしまった以上、忘れるなんてことが、できるはずがない…。
そうして、どれほどの間、ぼうっと頬杖をついていたのだろう。
気がつくと、親子はいなくなり、西の空が赤く染まって冷たい風が吹き始めていた。
くしゅん。
すっかり身体が冷えてしまったようだ。
仕方ない。
きょうは帰って、また出直すとしよう。
深いため息をつき、鼻水を手の甲で拭った時である。
「あのう…いつまでも、そんなとこにいたら、お風邪引いちゃいますよ」
思いがけないほど近くから、思ってもみなかった声が降ってきた。
マスターとみいの取り巻きの大柄な少女に引きずられるようにして、杏里は店から放り出された。
「悪いが、もう来ないでくれ」
心底困ったような顔で、マスターが言った。
「変なうわさが立ったら、商売上がったりだからね」
「そうだよ。よりによって、美衣の恋人だなんて嘘ついて。それじゃまるで、美衣がレズみたいじゃない!」
ショートボブの気の強そうな少女が、吐き捨てるように言う。
嘘じゃない。
みいと私は…何度も何度も愛し合ったんだから!
私は子宮でさえ、彼女に捧げたことがあるんだから!
そう叫び出したかった。
が、スカートを投げつけられ、目の前で樫の木の扉が無慈悲に閉まると、さすがの杏里も退散せざるを得なかった。
自分でも、ちょっと性急すぎたと反省した。
みいに顔だけでなく身体も見せて、思い出してほしかった。
それでつい、衝動的にあんなことをしてしまったのだが、目論見は外れ、見事に玉砕してしまったのである。
紗彩さんの時と、おんなじだ…。
帰宅途中の女生徒たちの好奇の目にさらされ、とぼとぼ歩きながら杏里はあふれる涙をぬぐった。
みいも、私のことを覚えていない。
そもそも、この世界と元の世界とのつながりがわからない。
ここが、単純に時間的に未来の世界だというわけではないらしい。
それくらいのことは、SF音痴の杏里にもわかる。
杏里と小田切はそれ相応に歳をとっているが、那智や美和、紗彩やみいの年恰好は、元の世界とまったく変わっていないのだ。
残された可能性としては、ここは元の世界にそっくりなパラレルワールドということになるのだろうけど…そうすると、ますます何が似ていて何が違うのか、そこのところがよくわからないのだ。
往来に出る手前に小さな児童公園があった。
幼い子と若い母親がブランコで遊んでいるだけで、他に人の気配はない。
公園は周囲を丈高いアカシアの樹に囲まれていて、通学路から遮断されている。
ここなら落ち着ける。
そう思って、ベンチに座った。
ショックが大きすぎて、考えがまとまらない。
みいが赤の他人であるとしたら、私はこれからどうすればいいのだろう?
彼女のことを忘れて、那智先生の腕に抱かれる道を選ぶ…?
あの逞しい野性的な腕に毎晩抱かれて、身も世もなく獣みたいに喘ぐのもいいかもしれない。
でも、と思う。
たとえ私のことを知らなくても、みいはこの世界にも存在するのだ。
なのに、そう簡単に諦めることができるのだろうか…?
ついさっき目にした、輝くようなみいの笑顔が脳裏に浮かぶ。
できない。
はっきりと、悟った。
この世界にもみいがいると知ってしまった以上、忘れるなんてことが、できるはずがない…。
そうして、どれほどの間、ぼうっと頬杖をついていたのだろう。
気がつくと、親子はいなくなり、西の空が赤く染まって冷たい風が吹き始めていた。
くしゅん。
すっかり身体が冷えてしまったようだ。
仕方ない。
きょうは帰って、また出直すとしよう。
深いため息をつき、鼻水を手の甲で拭った時である。
「あのう…いつまでも、そんなとこにいたら、お風邪引いちゃいますよ」
思いがけないほど近くから、思ってもみなかった声が降ってきた。
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