406 / 475
第4話 転生! 凌辱学園
#68 悲しき再会①
しおりを挟む
杏里の実家は、農家を改造した平屋建ての一軒家である。
主の小田切勇次は20代後半の苦み走ったイケメンだが、偏屈で性機能不全という特性を備えている。
内閣府の外郭機関に勤めるいわゆる”みなし公務員”で、仕事の内容は謎に包まれている。
元の世界では、中学2年生の春から杏里は小田切と暮らしている。
とある事情から、杏里には家族と呼べるものがないからだった。
だから杏里と小田切の関係は養父と養女ということになるのだが、それにしても年齢が近かった。
こっちの私が大人ということは、勇次は何歳になっているのだろう?
単純計算すると30代半ばの中年男性ということになるのだが、問題は杏里のことを知っているかどうかだった。
ひなびたあばら家に帰るのは、ずいぶん久しぶりな気がした。
雑草の伸びた前庭を横切って、玄関に立つ。
がたついた引き戸を開けて、
「勇次、いる?」
こわごわそう声をかけてみた。
小田切の勤務時間は昼近くから、という場合が多い。
だから、この時間帯は在宅している可能性が高いのだ。
「なんだ? その声は杏里じゃないか?」
意外に早く返事が返ってきて、薄暗い家の中からぼさぼさ頭の男が現れた。
よれよれのパジャマにフチなし眼鏡のイケメン顔は、まぎれもなく杏里の知っている小田切勇次である。
ただ、全体的に肌に張りがなく、加齢の印象は拭えない。
「どうした? 月曜日から仕事じゃなかったのか? それとも、もう音を上げて戻ってきたのか?」
よかった!
胸に温かいものがこみ上げてきた。
勇次は私を知っている。その口ぶりからすると、こっちの世界でも私は彼と暮らしていたのだ。
「そうじゃなくて。きょうはちょっと、着替えを取りに寄っただけ」
勇次が相手だと、杏里はとたんに強気になる。
いわゆる内弁慶というやつだ。
理由は勇次が性的不能者だからにほかならない。
杏里の身体に欲情しない数少ない人間、それがこの小田切勇次なのである。
「着替えだと? おまえ、引っ越しの時、全部持ってったんじゃなかったのか? まあ、部屋はまだそのままにしてあるから勝手に探せばいいが、それにしても、おまえが家を出てから何年経ってると思ってるんだ」
勇次がいぶかしがるのも不思議はない。
元の世界と同じだとすると、杏里がひとり暮らしを始めたのは、高校に入学した16の時。
今仮に22歳だとすると、6年以上経過していることになる。
「なんでもいいの。この際、高校の制服でも、残ってるものなら」
そういい置いて、畳敷きの部屋をいくつも横切り、かつての自分の部屋に直行した。
勇次の言う通り、部屋は元のままだった。
なつかしさがこみ上げてきたが、今はそれどころではない。
この皺くちゃのブラウスとスカートを脱ぎ、なんとかましな服に着替えたい。
が、しばらく探し回って、愕然とした。
クローゼットに入っていたのは、中学生の時のセーラー服が一着だけ。
下着の類いはなく、辛うじて体操着とブルマが1セット、見つかっただけだった。
「ま、いっか。何もないよりはマシって気がするし」
シャワーを浴びて、さっぱりしたところで、いよいよ試着である。
下着代わりに体操服とブルマを身に着け、その上からセーラー服を着る。
「うは、ちっちゃ!」
驚いたのは、体操着もブルマもセーラー服も、みんなワンサイズ小さいことだ。
中学生の頃から杏里は大人びた身体をしていたはずなのだが、やはり今のがずっと成熟しているらしい。
体操着は寸足らずでへそが出てしまうし、ブルマときたらまるでビキニパンティだった。
セーラー服はやけにスカートが短く、歩くと尻が見えてしまうほどだ。
その格好で台所兼居間に顔を出すと、煙草をくゆらせながら新聞を読んでいた小田切が、
「なんだ、その格好は? おまえ、気でも狂ったか?」
杏里をひと目見るなり、仰天して眼鏡をずり下げた。
「しょうがないでしょ。これしかなかったんだから」
ぷっと頬を膨らませ、小田切の目の前の皿からトーストを取って勝手にかじる。
「まさか、いい年して、それで外を歩くつもりじゃないだろうな」
「別にいいでしょ。勇次に迷惑かけるわけじゃなし。今日中にどうしても会いたい人がいるの」
「会うって、誰に?」
「広田美衣ちゃん。知ってる? 隣の広田紗彩さんの姪っ子なんだって」
「広田って、丘の上のあの豪邸の? なんでおまえがあんな富裕層の住人と顔見知りなんだ?」
「色々あんのよ。私にだって」
「別に止めはしないが、しかしその変態じみた格好は…」
「コスプレよ、コスプレ。けっこうセクシーで似合ってると思わない?」
「風俗の店のハロウィンパーティなら受けるだろうが…まあ、せいぜい目立たないように隅を歩くんだな」
「相変わらず女を見る目がないね、勇次は。こんなナイスな美女を目の前にして」
「いいから行くならとっとと行け。俺ももうすぐ出るからな」
「はいはい」
勇次のおかげで少し気分が軽くなったようだ。
少なくとも、帰る家はある。
そうわかっただけでも、精神的な負担はずいぶん違う。
よし、後はみいを探し出すだけだ。がんばるぞ。
部屋に戻って鏡を見ながら、杏里は手っ取り早く化粧を直し始めた。
主の小田切勇次は20代後半の苦み走ったイケメンだが、偏屈で性機能不全という特性を備えている。
内閣府の外郭機関に勤めるいわゆる”みなし公務員”で、仕事の内容は謎に包まれている。
元の世界では、中学2年生の春から杏里は小田切と暮らしている。
とある事情から、杏里には家族と呼べるものがないからだった。
だから杏里と小田切の関係は養父と養女ということになるのだが、それにしても年齢が近かった。
こっちの私が大人ということは、勇次は何歳になっているのだろう?
単純計算すると30代半ばの中年男性ということになるのだが、問題は杏里のことを知っているかどうかだった。
ひなびたあばら家に帰るのは、ずいぶん久しぶりな気がした。
雑草の伸びた前庭を横切って、玄関に立つ。
がたついた引き戸を開けて、
「勇次、いる?」
こわごわそう声をかけてみた。
小田切の勤務時間は昼近くから、という場合が多い。
だから、この時間帯は在宅している可能性が高いのだ。
「なんだ? その声は杏里じゃないか?」
意外に早く返事が返ってきて、薄暗い家の中からぼさぼさ頭の男が現れた。
よれよれのパジャマにフチなし眼鏡のイケメン顔は、まぎれもなく杏里の知っている小田切勇次である。
ただ、全体的に肌に張りがなく、加齢の印象は拭えない。
「どうした? 月曜日から仕事じゃなかったのか? それとも、もう音を上げて戻ってきたのか?」
よかった!
胸に温かいものがこみ上げてきた。
勇次は私を知っている。その口ぶりからすると、こっちの世界でも私は彼と暮らしていたのだ。
「そうじゃなくて。きょうはちょっと、着替えを取りに寄っただけ」
勇次が相手だと、杏里はとたんに強気になる。
いわゆる内弁慶というやつだ。
理由は勇次が性的不能者だからにほかならない。
杏里の身体に欲情しない数少ない人間、それがこの小田切勇次なのである。
「着替えだと? おまえ、引っ越しの時、全部持ってったんじゃなかったのか? まあ、部屋はまだそのままにしてあるから勝手に探せばいいが、それにしても、おまえが家を出てから何年経ってると思ってるんだ」
勇次がいぶかしがるのも不思議はない。
元の世界と同じだとすると、杏里がひとり暮らしを始めたのは、高校に入学した16の時。
今仮に22歳だとすると、6年以上経過していることになる。
「なんでもいいの。この際、高校の制服でも、残ってるものなら」
そういい置いて、畳敷きの部屋をいくつも横切り、かつての自分の部屋に直行した。
勇次の言う通り、部屋は元のままだった。
なつかしさがこみ上げてきたが、今はそれどころではない。
この皺くちゃのブラウスとスカートを脱ぎ、なんとかましな服に着替えたい。
が、しばらく探し回って、愕然とした。
クローゼットに入っていたのは、中学生の時のセーラー服が一着だけ。
下着の類いはなく、辛うじて体操着とブルマが1セット、見つかっただけだった。
「ま、いっか。何もないよりはマシって気がするし」
シャワーを浴びて、さっぱりしたところで、いよいよ試着である。
下着代わりに体操服とブルマを身に着け、その上からセーラー服を着る。
「うは、ちっちゃ!」
驚いたのは、体操着もブルマもセーラー服も、みんなワンサイズ小さいことだ。
中学生の頃から杏里は大人びた身体をしていたはずなのだが、やはり今のがずっと成熟しているらしい。
体操着は寸足らずでへそが出てしまうし、ブルマときたらまるでビキニパンティだった。
セーラー服はやけにスカートが短く、歩くと尻が見えてしまうほどだ。
その格好で台所兼居間に顔を出すと、煙草をくゆらせながら新聞を読んでいた小田切が、
「なんだ、その格好は? おまえ、気でも狂ったか?」
杏里をひと目見るなり、仰天して眼鏡をずり下げた。
「しょうがないでしょ。これしかなかったんだから」
ぷっと頬を膨らませ、小田切の目の前の皿からトーストを取って勝手にかじる。
「まさか、いい年して、それで外を歩くつもりじゃないだろうな」
「別にいいでしょ。勇次に迷惑かけるわけじゃなし。今日中にどうしても会いたい人がいるの」
「会うって、誰に?」
「広田美衣ちゃん。知ってる? 隣の広田紗彩さんの姪っ子なんだって」
「広田って、丘の上のあの豪邸の? なんでおまえがあんな富裕層の住人と顔見知りなんだ?」
「色々あんのよ。私にだって」
「別に止めはしないが、しかしその変態じみた格好は…」
「コスプレよ、コスプレ。けっこうセクシーで似合ってると思わない?」
「風俗の店のハロウィンパーティなら受けるだろうが…まあ、せいぜい目立たないように隅を歩くんだな」
「相変わらず女を見る目がないね、勇次は。こんなナイスな美女を目の前にして」
「いいから行くならとっとと行け。俺ももうすぐ出るからな」
「はいはい」
勇次のおかげで少し気分が軽くなったようだ。
少なくとも、帰る家はある。
そうわかっただけでも、精神的な負担はずいぶん違う。
よし、後はみいを探し出すだけだ。がんばるぞ。
部屋に戻って鏡を見ながら、杏里は手っ取り早く化粧を直し始めた。
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】【R18百合】会社のゆるふわ後輩女子に抱かれました
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
レズビアンの月岡美波が起きると、会社の後輩女子の桜庭ハルナと共にベッドで寝ていた。
一体何があったのか? 桜庭ハルナはどういうつもりなのか? 月岡美波はどんな選択をするのか?
おすすめシチュエーション
・後輩に振り回される先輩
・先輩が大好きな後輩
続きは「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」にて掲載しています。
だいぶ毛色が変わるのでシーズン2として別作品で登録することにしました。
読んでやってくれると幸いです。
「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/759377035/615873195
※タイトル画像はAI生成です
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
声劇・シチュボ台本たち
ぐーすか
大衆娯楽
フリー台本たちです。
声劇、ボイスドラマ、シチュエーションボイス、朗読などにご使用ください。
使用許可不要です。(配信、商用、収益化などの際は 作者表記:ぐーすか を添えてください。できれば一報いただけると助かります)
自作発言・過度な改変は許可していません。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
風月学園女子寮。
私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…!
R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。
おすすめする人
・百合/GL/ガールズラブが好きな人
・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人
・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人
※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。
※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる