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第3話 ずっとあなたとしたかった

#146 不機嫌な下僕⑨

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 ”まんぐり返し”の姿勢からようやく解放され、足を伸ばしてベッドに仰向けになった杏里の平らな腹。
 
 その真ん中、ちょうどへその下あたりに、みいが取り出した子宮を乗せた。

 杏里はクッションにもたれ、軽く首を起こしてその様子を見ることにした。

 2本の輸卵管で膣の奥とつながったそれは、ハート形をした白っぽい肉の塊だった。

 ところどころ毛細血管が透けて見え、それがレースのように扁平な器官を縁どっている。

 みいは今、その一方の端を口に含み、赤い舌で子猫のようにしきりに舐めているところだった。

 蕩けるような快感が、輸卵管を通して杏里の身体の中心に伝わってくる。

 子宮を唇に含んで舌で転がしながら、上目遣いに杏里を見つめて、みいが両手を伸ばしてきた。

「ああん…」

 その手を己の乳首に導くと、杏里は甘い匂いのする吐息を吐いた。

「杏里さまも、触ってみたらどうですか? ご自分の子宮を」

 子宮から一瞬口を放して、みいが言った。

 熱病にかかったような、熱い眼をしている。

「これ、とっても気持ち、いいんですよ。お口に含んでちゅぱちゅぱするだけで、みい、もういきそうです」

「う、うん…」
 
 言われるままに両手を手を差し伸べ、手のひらでそっと包んでみた。

 軽く揉むと、指の皮膚と子宮の表面の両方から、えも言われぬ愉楽のハーモニーが始まった。

「やん、これ、すごい。すごすぎる…」

「でしょ?」

 杏里の火照った顔を、みいが軽くにらんできた。

「でも、なんだか許せないです。聞くところによると、杏里さまと紗彩さまは、お互いの子宮を出し合って、それを直接くっつけたり、絡み合わせたりして、愛を確認し合ったとか…。さぞかし気持ちよかったんでしょうね。その時、どんな感じだったんですか? みいにも教えてくださいな」

「それが…とても言葉では言い表せないの」

 雪乃と緑子にも訊かれたことだった。

 これだけは、誰にたずねられても答えようがないのだ。

「やっぱり、そうですかあ…。でも、それって、いわば、究極の愛のカタチですよね? 子宮で結ばれたおふたりの間には、もう、みいの居場所なんて、ないですよね」

 気がつくと、みいは泣いていた。

 つぶらな瞳に、小粒のダイヤモンドみたいな涙のしずくがたまっているのだ。

「そ、そんなことないよ」

 杏里はあわてて否定した。

「たとえ子宮がなくっても、みいの愛撫はとっても気持ちいいもの。それはきっと、紗彩さんも同じだよ」

「そうでしょうか。みいには、とてもそうは、思えません」

 杏里の子宮の上にぽろぽろ涙を落とし、さめざめとみいが泣き出した。






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