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第3話 ずっとあなたとしたかった

#130 熟女の檻⑭

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 終わったと思った。
 紗彩と杏里が同時に絶頂を迎え、杏里のしたたる愛液と紗彩の噴き上げる愛液がひとつに混じり合い、シャワーのようにシーツの上に音を立てて降り注いだ時、杏里は確かに、これですべてが終わったのだと思ったのである。
 ところが、そうではなかった。
 オルガスムスに達し、十分満足したはずなのに、なぜか紗彩の表情は今ひとつ冴えないのだ。
 雪乃と緑子に背後から抱きかかえられ、杏里と紗彩は向かい合ってベッドの上に座っている。
 ふたりとも無造作に両足を投げ出し、股間を露でべとべとに濡らしたままだ。
「どうしたの? 紗彩? よかったんじゃ、なかったの?」
 浮かない顔つきの紗彩に気づき、雪乃が声をかけた。
「ええ…とっても、よかったわ…でも」
 雪乃に裸の肩を抱かれたまま、紗彩が物憂げに目を伏せる。
 スレンダーボディに似合わぬ豊乳の頂では、きれいなピンクの乳首がまた勃起しているようである。
「でも…どうしたの? 紗彩さん、なにか不満でも?」
 杏里を抱いた緑子が、杏里の肩越しに首を伸ばして、その紗彩の顔を下からのぞきこんだ。
「それが…」
 ようやく紗彩が顔を上げた。
 すまなさそうに杏里を一瞥すると、すぐに目をそらして、つぶやくように言った。
「届かなかったんです。杏里ちゃんの子宮が、私の子宮に…」
 なるほどね、と杏里は思った。
 紗彩のあそこは愛液でいっぱいになっていて、浮力で子宮が底まで沈まなかったのだ。
 沈み切る前に、紗彩の膣壁が杏里の子宮を絞めつけ、収縮し始めたのである。
「つまり、こういうことね」
 雪乃がしかつめらしく眉を寄せた。
「あなたの望んでいた、子宮と子宮の触れ合いセックス、その夢がかなう前に、果ててしまったと…」
「うーん、難しい問題ね」
 緑子が腕組みをして考え込んだ。
「子宮同士を確実に触れ合わせる方法かあ…」
 杏里は、半ば呆れてしまっている。
 まさに、
 はあ?
 という感じである。
 セレブというのは、どこまで暇な生き物なのだろう?
 子宮と子宮を触れ合わせる?
 まだそんなことを真剣に考えてるだなんて…。
「あの」
 やがて、意を決したように紗彩が口を切った。
「私、もう、こうするしかないと思うんです」
「え?」
「なにか思いついたの?」
 雪乃と緑子が、そろって紗彩のつきつめた顔を見返した。
 ふたりの顔を等分に眺め、最後に杏里に目を据えると、強い口調で紗彩が言った。
「私の子宮を、摘出してください。今の杏里ちゃんみたいに。そうすれば、好きなだけ、子宮と子宮で愛し合うことが可能になります。ね、そうでしょう? 皆さんも、そう思いませんか?」
 杏里は唖然とした。
 子宮を取り出して、その子宮と子宮を絡ませて愛し合う…?
 すでにここまでくると、狂気の沙汰だ。
「すごい発想だね」
 太いため息をついて、雪乃が言った。
「まるで、江戸川乱歩の世界じゃない」
「子宮と子宮で愛し合う…か」
 緑子が感心したようにつぶやいた。
「いいフレーズだわ。『愛は地球を救う』より、ずっとリアルで新しい」
「フェミニズム、ここに極めりってとこかしらね」
「じゃあ、やるしかないか。紗彩さんの子宮摘出」
「だね。どうせ、乗りかかった舟なんだし」
 ふたりがうなずき合うと、紗彩が頬を染めて頭を下げた。
「ありがとう。恩に着るわ」
 それからもう一度杏里を見つめると、あたかも恋人にささやきかけるような熱い口調で懇願した。
「杏里ちゃんも、お願いね。私、どうしても、試してみたいのよ」
 紗彩はいつの間にか、杏里の子宮を右手の上に乗せている。
「あんっ」
 その子宮に頬ずりされて、杏里は思わず小さく声を上げていた。


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