270 / 475
第3話 ずっとあなたとしたかった
#111 性奴隷杏里⑲
しおりを挟む
沙彩の家は、杏里の家の近くにあった。
マンションのほうではなく、後見人の小田切が住む、いわゆる実家のほうである。
こんもりとした森の向こうに丘が続いているのだが、その高台の上に瀟洒な新築の住宅が建っているのだ。
初めて訪れる沙彩の家は、予想以上に大きかった。
大理石の門柱のインターホンを鳴らすと、すぐにみいの声がして、門扉が自動で内側に開いた。
建物の右手の駐車場に、見るからに高級そうな外車が何台も停まっているのを見て、杏里は妙な胸騒ぎを覚えた。
何かしら?
パーティでもやってるの?
一応、お風呂に入り、服も着替えてきた。
ただ、着替えたといっても、何を着ていけばいいのかわからないので、新しい制服を着てきただけである。
車寄せの道を歩き出すと、ずっと先の玄関の扉が開いて、中からみいが姿を現した。
紺のビロード地に白いフリルのついたメイド服。
足には白い網タイツ、頭には可愛らしいカチューシャをつけている。
「どうしたの? 急に呼び出したりして」
声をひそめてそうたずねると、みいがいたずらっぽい眼で杏里を見上げた。
「沙彩様のお友だちが何人かいらっしゃってるんですけど、皆さん、杏里様に会いたいっておっしゃるんです」
「私に? どういうこと? 私、そんな有名人でもないし」
びっくりして目を見開く杏里に、くすくす笑いながらみいが言う。
「ところがそうでもないのですよ。沙彩さまの周りでは、杏里さまはかなりの有名人なのです」
「変なの」
面と向かって話したことは少ないものの、確かに沙彩はみいを通して杏里に色々な便宜を図ってくれる。
去年の夏休みの旅行の時もそうだったし、今のマンションの件でもお世話になった。
「大丈夫そうですね」
ふと気がつくと、みいがかわいい鼻をひくつかせて、杏里の首筋の匂いを嗅いでいた。
「何してるの?」
「杏里さまがちゃんとお風呂に入ってきたかどうか、確認したのです。だって、またいろいろ大変な目にお遭いになったのでしょう?」
「まあね」
杏里は顔をしかめた。
体育館での集団凌辱に続き、駅長室での強姦。
思い出すだけで、腹が立ってくる。
そんな状況で感じてしまった自分に対してだ。
「その話はまたあとで」
みいに続いて中に入り、更にもうひとつ正面の扉をくぐると、そこは煌々とシャンデリアに照らされた広いホールだった。
豪奢なパーティドレスに身を包んだ婦人たちが、ところどころに置かれたテーブルを囲んで談笑している。
みんな片手にワイングラスを持ち、頬をバラ色に上気させていた。
ドレスはみな胸元が大きく開き、豊かな胸の谷間を強調している。
男性の姿はなく、濃厚な化粧と香水、そして女の匂いが空気の中に満ちていた。
「すごい…まるで映画みたい…」
ぼうっと見とれていると、婦人たちの間を縫うようにして、和服の女性が姿を現した。
「ああら、杏里ちゃん、お久しぶりね」
沙彩である。
日本人形のように美しい顔に、しっとりした色合いの着物がよく似合っている。
「こ、こんばんは」
あわてて杏里は頭を下げた。
胸の鼓動が一気に高まるのがわかった。
大人の女性の色香で息が詰まりそうだ。
「きょうは、また、どうして私なんかに…?」
しどろもどろになる杏里に、沙彩が嫣然と微笑んだ。
「みいから聞いてるわ。最近、色々大変なんですってね。だから、あなたにも少し気晴らしが必要だろうと思って」
気晴らし?
これが?
「わあ、かわいい!」
と、いきなり嬌声が飛んできた。
「その子がうわさの杏里ちゃん?」
婦人たちが杏里の存在に気づいたのだ。
「すてきな子ね」
とりわけ体格のいいひとりが、意味ありげに目配せして、言った。
「ほんとに。さあ、みんなでたっぷり可愛がってあげましょう!」
マンションのほうではなく、後見人の小田切が住む、いわゆる実家のほうである。
こんもりとした森の向こうに丘が続いているのだが、その高台の上に瀟洒な新築の住宅が建っているのだ。
初めて訪れる沙彩の家は、予想以上に大きかった。
大理石の門柱のインターホンを鳴らすと、すぐにみいの声がして、門扉が自動で内側に開いた。
建物の右手の駐車場に、見るからに高級そうな外車が何台も停まっているのを見て、杏里は妙な胸騒ぎを覚えた。
何かしら?
パーティでもやってるの?
一応、お風呂に入り、服も着替えてきた。
ただ、着替えたといっても、何を着ていけばいいのかわからないので、新しい制服を着てきただけである。
車寄せの道を歩き出すと、ずっと先の玄関の扉が開いて、中からみいが姿を現した。
紺のビロード地に白いフリルのついたメイド服。
足には白い網タイツ、頭には可愛らしいカチューシャをつけている。
「どうしたの? 急に呼び出したりして」
声をひそめてそうたずねると、みいがいたずらっぽい眼で杏里を見上げた。
「沙彩様のお友だちが何人かいらっしゃってるんですけど、皆さん、杏里様に会いたいっておっしゃるんです」
「私に? どういうこと? 私、そんな有名人でもないし」
びっくりして目を見開く杏里に、くすくす笑いながらみいが言う。
「ところがそうでもないのですよ。沙彩さまの周りでは、杏里さまはかなりの有名人なのです」
「変なの」
面と向かって話したことは少ないものの、確かに沙彩はみいを通して杏里に色々な便宜を図ってくれる。
去年の夏休みの旅行の時もそうだったし、今のマンションの件でもお世話になった。
「大丈夫そうですね」
ふと気がつくと、みいがかわいい鼻をひくつかせて、杏里の首筋の匂いを嗅いでいた。
「何してるの?」
「杏里さまがちゃんとお風呂に入ってきたかどうか、確認したのです。だって、またいろいろ大変な目にお遭いになったのでしょう?」
「まあね」
杏里は顔をしかめた。
体育館での集団凌辱に続き、駅長室での強姦。
思い出すだけで、腹が立ってくる。
そんな状況で感じてしまった自分に対してだ。
「その話はまたあとで」
みいに続いて中に入り、更にもうひとつ正面の扉をくぐると、そこは煌々とシャンデリアに照らされた広いホールだった。
豪奢なパーティドレスに身を包んだ婦人たちが、ところどころに置かれたテーブルを囲んで談笑している。
みんな片手にワイングラスを持ち、頬をバラ色に上気させていた。
ドレスはみな胸元が大きく開き、豊かな胸の谷間を強調している。
男性の姿はなく、濃厚な化粧と香水、そして女の匂いが空気の中に満ちていた。
「すごい…まるで映画みたい…」
ぼうっと見とれていると、婦人たちの間を縫うようにして、和服の女性が姿を現した。
「ああら、杏里ちゃん、お久しぶりね」
沙彩である。
日本人形のように美しい顔に、しっとりした色合いの着物がよく似合っている。
「こ、こんばんは」
あわてて杏里は頭を下げた。
胸の鼓動が一気に高まるのがわかった。
大人の女性の色香で息が詰まりそうだ。
「きょうは、また、どうして私なんかに…?」
しどろもどろになる杏里に、沙彩が嫣然と微笑んだ。
「みいから聞いてるわ。最近、色々大変なんですってね。だから、あなたにも少し気晴らしが必要だろうと思って」
気晴らし?
これが?
「わあ、かわいい!」
と、いきなり嬌声が飛んできた。
「その子がうわさの杏里ちゃん?」
婦人たちが杏里の存在に気づいたのだ。
「すてきな子ね」
とりわけ体格のいいひとりが、意味ありげに目配せして、言った。
「ほんとに。さあ、みんなでたっぷり可愛がってあげましょう!」
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。



とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる