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第3話 ずっとあなたとしたかった

#68 光あるところ闇⑥

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「咥えて」
 杏里の顔の真ん前に、ペニスを突き出して、美和が言った。
 身もだえするような、切なげな声だった。
「ネットの動画で見たわ。恋人同士ってこんなこともするんでしょ? お願い。そのお口で、咥えて、勃たせて」
「フェラチオのこと?」
 杏里はしげしげと鼻先に突きつけられたペニスを見た。
 白魚のようなそれは、先端まですっぽりと皮に包まれ、余った皮が先っちょで金魚の口みたいに開いている。
 典型的な包茎のペニスで、小柄な美和に似合っていて、無気味というより、むしろ可愛らしい。
 これなら、とふと思った。
 包茎の場合、亀頭部分は普段外に出ていない分、非常にデリケートなはずである。
 強すぎれば痛がって逆効果だろうが、その分逆にやさしく愛撫してやれば、すぐに果ててしまうに違いない。
 いったん射精してしまうと、淡泊になるのが男という生き物である。
 美和が現在男性になっているのなら、たった1回の射精で満足して、杏里を解放してくれるという可能性も、ないことはない。
「そう、オーラルセックスとか、おフェラとか、色々呼び名はあるみたいだけれど…」
 美和は耳たぶまで赤くして、ひどく恥ずかしそうだ。
「いいけど、それには、この戒めを解いてもらわなきゃ」
 椅子を揺すって、杏里は言った。
「本当のフェラチオはね、お口だけではダメなの。ちゃんと両手も使わないと」
「そんなことして…逃げない?」
 疑い深そうに、美和が訊く。
「逃げないよ。約束する」
 杏里はうなずいた。
 もとより、暴力沙汰は苦手である。
 それに美和のことだ。
 この部屋のどこかに、はく製を製作する時に使う刃物くらい隠していることだろう。
 下手にもみ合って怪我をするくらいなら、天下一品のおフェラをお見舞いして、気絶させてしまったほうが話は早い。
「待ってて」
 杏里の後ろにかがみこむと、美和が紐をほどいた。
 その手の紐を見ると、どうやら杏里の手首を縛りつけていたのは、洗濯物用の細いロープだったようだ。
「ありがと。じゃ、行くね」
 杏里は美和の幼い腰に手を当てて、正面に立たせた。
 左手で陰嚢をつかもうとして、ちょっと驚いた。
 小さな陰嚢の後ろに、裂け目がある。
 つまり美和は、男性器だけでなく、女性器をもちゃんと備えているというわけだ。
 これは…。
 杏里は自信が湧いてくるのを抑えきれなかった。
 ふたつも性器があるなんて、なんて攻略しやすい身体なんだろう。
 そう思ったのだ。
 ペニスに右手を添え、ゆっくりしごきながら、舌先で先端を舐めてやる。
 いきなり包皮を剥くと痛いので、先っぽの穴から舌先を突っ込んで、亀頭をつついてやった。
「あん…」
 艶めかしい喘ぎ声とともに、手の中でペニスがむくむくと硬くなる。
 半分空気の抜けた風船に、いきなり空気が注入されたみたいだった。
 しばらくしごいていると、舌先が痺れるような味を伝えてきた。
 早くも我慢汁が分泌され始めたのだ。
 そろそろ、いいかな。
 右手に力を込め、慎重に包皮を押し下げていく。
 つるりと先端の皮が剥け、ピンク色の濡れ光る亀頭が頭を覗かせた。
 包茎のためカリの幅などは明らかに未発達だが、その分表面はすべすべで、成人男性の性器特有の醜さはない。
 舌で亀頭全体を舐め回しつつ、左手を股間の膣裂に這わせた。
 思った通り、美和の女性器は濡れていた。
 隙間に指を突っ込み、愛液をすくい取って中を攪拌する。
 同時に唇を亀頭に押しつけ、固く尖らせた舌先で強く尿道口を刺激した。
「あ、あんっ! で、出ちゃう!」
 腰を引いて、逃れようとする美和。
 だが、杏里は離さなかった。
 舌と指に更に力を込めた。
「あっ、あっ、あっ、あううっ!」
 美和の細い腰が、海老のように跳ねた。
 そして次の瞬間、杏里の口の中いっぱいに、ねっとりとした生温かいものが、じわりと広がった。

 



 
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