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第3話 ずっとあなたとしたかった
#63 光あるところ闇①
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アナウンスに続いて、どこか遠くで火災報知器が鳴り出していた。
杏里は半狂乱になって、手足を動かした。
だが、拘束具は鍵がないと開かないタイプなのか、身体をつるしたロープが揺れるだけで、手足の戒めは一寸たりともゆるみはしない。
こんな緊急事態だというのに、両サイドのバイブから加えられる途切れない振動で、杏里の乳首は己の意志とは無関係に、すでに石のように硬く尖ってしまっている。
「ああ、誰か、誰か、助けて…」
その声が半ば震えているのは、恐怖のせいばかりではない。
敏感すぎる乳首を容赦なく責め続けられて、快感を抑えきれなくなってしまっているのだ。
水平に180度開いた足の中央、ちょうど股間のあたりが恥ずかしいほど濡れているのがわかる。
那智に極太バイブを挿入されかけ、途中で抜かれたのが、今になって効いてきていた。
これではまるで蛇の生殺しだ。
何かを入れてもらいたくて、たまらない。
熱く煮えたぎった蜜壺を、みっしりと硬い肉の棒で隙間なく埋め尽くしてもらいたい…。
が、そこまで考えて、杏里はあわてて首を振る。
頭の隅で、もうひとりの冷静な杏里がなじってきた。
杏里、あなたはどこまで馬鹿なの?
今はそんなエッチなこと、考えてる場合じゃないでしょ?
だって…。
気の弱い、流されやすいほうの杏里が、すねたように答えた。
そんなこといったって、しょうがないじゃない。私には、どうすることもできないんだもの。
せめて、死ぬ時くらい、好きなこと、考えさせてよね。
何あきらめてるの? ほら、耳を澄ませてごらんなさい! 聞こえてきたでしょ? 誰かの足音が!
え?
我に返る杏里。
と、次の瞬間、吹っ飛ぶようにドアが内側に開いた。
戸口にふたりの人影が立っている。
ひとりは、作業服を着た若い女性。
そしてもうひとりは、薄茶のブレザーに同色のスカートの、杏里と同じくらいの年頃の少女。
頭にターバンを巻いているように見える。
美和だった。
「杏里、やっぱりここにいた!」
美和が叫び、駆け寄ってきた。
「美和!」
杏里の頬を涙が伝った。
「おかしいと思ったの。杏里が、あの鬼龍院先生の車に乗せられて、学校を出て行くから。すぐにタクシーを拾って、ここまで追いかけてきたんだよ」
「あ、ありがと…。でも、あんまり近くに来ないで。私、今、すごく恥ずかしい恰好、してるもの…」
杏里は真っ赤になって、もぞもぞと裸身を動かした。
「鬼龍院先生にやられたんでしょ?」
美和の眼が光った。
「生徒会の先輩に聞いたわ。あの人、昔からレズビアンで有名らしいの。それで、毎年、新入生の中からお気に入りの女生徒を選んで、自分好みに調教して、1年間性の奴隷として弄ぶんですって。危なかったね、杏里」
「あのう、そろそろ手錠の鍵、外した方がいいかと…」
その時、従業員の女性が、控えめな口調で、口をはさんだ。
「火の手は駐車場で上がっているようです。エレベーターは緊急停止していますから、非常階段で外に出るしかありません」
「すみません。お願いします」
美和が退き、女性のために場所を空けた。
女性はテーブルから鍵を拾うと、それを使って、難なく杏里を自由にしてくれた。
とりあえず、パンティだけ穿いて、上からブレザーを羽織った。
ほかの衣類はリュックと一緒に腕に抱え、従業員の女性の指示通りに部屋を出た。
エレベータと反対側に鉄の扉があり、どうやらその向こうが非常階段のようだ。
「これからどうする? 杏里? また私の家でひと休みする?」
美和が訊いてきた。
「そうだね」
杏里はうなずいた。
「いつも、ありがと。美和さえよければ、私はそれで」
杏里は半狂乱になって、手足を動かした。
だが、拘束具は鍵がないと開かないタイプなのか、身体をつるしたロープが揺れるだけで、手足の戒めは一寸たりともゆるみはしない。
こんな緊急事態だというのに、両サイドのバイブから加えられる途切れない振動で、杏里の乳首は己の意志とは無関係に、すでに石のように硬く尖ってしまっている。
「ああ、誰か、誰か、助けて…」
その声が半ば震えているのは、恐怖のせいばかりではない。
敏感すぎる乳首を容赦なく責め続けられて、快感を抑えきれなくなってしまっているのだ。
水平に180度開いた足の中央、ちょうど股間のあたりが恥ずかしいほど濡れているのがわかる。
那智に極太バイブを挿入されかけ、途中で抜かれたのが、今になって効いてきていた。
これではまるで蛇の生殺しだ。
何かを入れてもらいたくて、たまらない。
熱く煮えたぎった蜜壺を、みっしりと硬い肉の棒で隙間なく埋め尽くしてもらいたい…。
が、そこまで考えて、杏里はあわてて首を振る。
頭の隅で、もうひとりの冷静な杏里がなじってきた。
杏里、あなたはどこまで馬鹿なの?
今はそんなエッチなこと、考えてる場合じゃないでしょ?
だって…。
気の弱い、流されやすいほうの杏里が、すねたように答えた。
そんなこといったって、しょうがないじゃない。私には、どうすることもできないんだもの。
せめて、死ぬ時くらい、好きなこと、考えさせてよね。
何あきらめてるの? ほら、耳を澄ませてごらんなさい! 聞こえてきたでしょ? 誰かの足音が!
え?
我に返る杏里。
と、次の瞬間、吹っ飛ぶようにドアが内側に開いた。
戸口にふたりの人影が立っている。
ひとりは、作業服を着た若い女性。
そしてもうひとりは、薄茶のブレザーに同色のスカートの、杏里と同じくらいの年頃の少女。
頭にターバンを巻いているように見える。
美和だった。
「杏里、やっぱりここにいた!」
美和が叫び、駆け寄ってきた。
「美和!」
杏里の頬を涙が伝った。
「おかしいと思ったの。杏里が、あの鬼龍院先生の車に乗せられて、学校を出て行くから。すぐにタクシーを拾って、ここまで追いかけてきたんだよ」
「あ、ありがと…。でも、あんまり近くに来ないで。私、今、すごく恥ずかしい恰好、してるもの…」
杏里は真っ赤になって、もぞもぞと裸身を動かした。
「鬼龍院先生にやられたんでしょ?」
美和の眼が光った。
「生徒会の先輩に聞いたわ。あの人、昔からレズビアンで有名らしいの。それで、毎年、新入生の中からお気に入りの女生徒を選んで、自分好みに調教して、1年間性の奴隷として弄ぶんですって。危なかったね、杏里」
「あのう、そろそろ手錠の鍵、外した方がいいかと…」
その時、従業員の女性が、控えめな口調で、口をはさんだ。
「火の手は駐車場で上がっているようです。エレベーターは緊急停止していますから、非常階段で外に出るしかありません」
「すみません。お願いします」
美和が退き、女性のために場所を空けた。
女性はテーブルから鍵を拾うと、それを使って、難なく杏里を自由にしてくれた。
とりあえず、パンティだけ穿いて、上からブレザーを羽織った。
ほかの衣類はリュックと一緒に腕に抱え、従業員の女性の指示通りに部屋を出た。
エレベータと反対側に鉄の扉があり、どうやらその向こうが非常階段のようだ。
「これからどうする? 杏里? また私の家でひと休みする?」
美和が訊いてきた。
「そうだね」
杏里はうなずいた。
「いつも、ありがと。美和さえよければ、私はそれで」
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