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第3話 ずっとあなたとしたかった
#35 予告レイプ⑧
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水底から水面に浮かび上がるように、徐々に意識が戻ってきた。
ううん…。
頭の芯に、鈍い痛みが残っている。
薄目を開けると、白い壁が視界に入ってきた。
ここ、どこ…?
見たことのない部屋である。
壁紙や柱の位置など、杏里の部屋に似ているが、もっとずっと広い。
1DKの部屋をふたつぶちぬいたくらいの広さがある。
壁際にキングサイズのダブルベッドがあるだけで、ほかに調度類は見当たらない。
不思議なのは窓だった。
杏里の部屋にあるようなサッシ窓ではなく、明かり採りの小窓が天井近くについているだけなのだ。
地下室…?
ふと、そんな連想が脳裏に浮かんだ。
エントランス側からはわからないが、墓地のある裏側に回ると、植え込みに隠れて1段低いところに窓があったことを、杏里はふいに思い出したのだった。
てことは、ここ…。やっぱりメゾン・ド・ハナコの中?
身動きしようとして、杏里は青ざめた。
身体がぴくりとも動かない。
それもそのはずだった。
杏里は大きな椅子に座らされ、ひどく不自然な格好で縛りつけられていた。
両手は背もたれの後ろ側に回され、そこで両手首をひとつに拘束されている。
足は180度近く股を開いた格好のまま椅子の上に引き上げられ、左右とも太腿と脛をくっつけたかたちでぐるぐる巻きにされているのだ。
それはちょうど、和式便所で用を足す時の姿勢に似ていた。
ただ異なるのは、尻が椅子についているため、杏里自身の身体が、用便の時のような前かがみではなく、若干上を向いた角度を取らされている点である。
「こ、これ、なに?」
杏里はうめいた。
「だ、誰が、こんなことを…?」
改めて自分の身体を点検してみる。
杏里が今身に着けているのは、眠る時に着ていたシースルーのネグリジェだ。
胸を張る格好で背もたれに縛りつけられているせいで、乳房も乳首もくっきりと浮き出てしまっている。
もっと問題なのは下半身だった。
ネグリジェはもともと股下ぎりぎりの丈しかない。
それが、両足をめいっぱい開かされているせいで腹の上までたくし上がり、パンティがすっかり露出してしまっているのである。
まさに、犯してくれといわんばかりの淫らなポーズである。
杏里の脳裏に、これまでの一連の不吉な出来事が走馬灯のように浮かんでは消えた。
ドアの落書き。
部屋への侵入の痕跡。
そして、あのメモ。
-今夜、犯すー
あれは冗談や悪戯ではなかったのだ。
相手は本気だったのだ。
でも、いったい、誰が…?
ふと、部屋の隅に、何か肌色のものが見えた。
「え?」
苦労して首を回した杏里は、そこで思わず声をつまらせた。
壁に背をもたせかけて、みいが座っている。
全裸に剥かれ、杏里同様ロープで何重にも縛り上げられている。
充電が終わらないうちに襲われたのだろう。
うなじからは、コンセントのコードが垂れ下がったままだ。
「みい…」
杏里は、目の前が暗くなるのを感じて、絶望のまなざしを天井に向けた。
頼りのみいまで、つかまってしまっただなんて…。
「誰か。誰か、助けて…」
弱々しい声でそうつぶやいた時、視界の外から静かにドアの開く音が聞こえてきた。
ううん…。
頭の芯に、鈍い痛みが残っている。
薄目を開けると、白い壁が視界に入ってきた。
ここ、どこ…?
見たことのない部屋である。
壁紙や柱の位置など、杏里の部屋に似ているが、もっとずっと広い。
1DKの部屋をふたつぶちぬいたくらいの広さがある。
壁際にキングサイズのダブルベッドがあるだけで、ほかに調度類は見当たらない。
不思議なのは窓だった。
杏里の部屋にあるようなサッシ窓ではなく、明かり採りの小窓が天井近くについているだけなのだ。
地下室…?
ふと、そんな連想が脳裏に浮かんだ。
エントランス側からはわからないが、墓地のある裏側に回ると、植え込みに隠れて1段低いところに窓があったことを、杏里はふいに思い出したのだった。
てことは、ここ…。やっぱりメゾン・ド・ハナコの中?
身動きしようとして、杏里は青ざめた。
身体がぴくりとも動かない。
それもそのはずだった。
杏里は大きな椅子に座らされ、ひどく不自然な格好で縛りつけられていた。
両手は背もたれの後ろ側に回され、そこで両手首をひとつに拘束されている。
足は180度近く股を開いた格好のまま椅子の上に引き上げられ、左右とも太腿と脛をくっつけたかたちでぐるぐる巻きにされているのだ。
それはちょうど、和式便所で用を足す時の姿勢に似ていた。
ただ異なるのは、尻が椅子についているため、杏里自身の身体が、用便の時のような前かがみではなく、若干上を向いた角度を取らされている点である。
「こ、これ、なに?」
杏里はうめいた。
「だ、誰が、こんなことを…?」
改めて自分の身体を点検してみる。
杏里が今身に着けているのは、眠る時に着ていたシースルーのネグリジェだ。
胸を張る格好で背もたれに縛りつけられているせいで、乳房も乳首もくっきりと浮き出てしまっている。
もっと問題なのは下半身だった。
ネグリジェはもともと股下ぎりぎりの丈しかない。
それが、両足をめいっぱい開かされているせいで腹の上までたくし上がり、パンティがすっかり露出してしまっているのである。
まさに、犯してくれといわんばかりの淫らなポーズである。
杏里の脳裏に、これまでの一連の不吉な出来事が走馬灯のように浮かんでは消えた。
ドアの落書き。
部屋への侵入の痕跡。
そして、あのメモ。
-今夜、犯すー
あれは冗談や悪戯ではなかったのだ。
相手は本気だったのだ。
でも、いったい、誰が…?
ふと、部屋の隅に、何か肌色のものが見えた。
「え?」
苦労して首を回した杏里は、そこで思わず声をつまらせた。
壁に背をもたせかけて、みいが座っている。
全裸に剥かれ、杏里同様ロープで何重にも縛り上げられている。
充電が終わらないうちに襲われたのだろう。
うなじからは、コンセントのコードが垂れ下がったままだ。
「みい…」
杏里は、目の前が暗くなるのを感じて、絶望のまなざしを天井に向けた。
頼りのみいまで、つかまってしまっただなんて…。
「誰か。誰か、助けて…」
弱々しい声でそうつぶやいた時、視界の外から静かにドアの開く音が聞こえてきた。
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