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第2話 レズふたり旅
#114 ビッチ探偵杏里⑫
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「杏里さまったら、いったい何考えてるんですか? あんな無茶苦茶なこと言って!」
部屋に戻るなり、血相を変えて、みいが噛みついてきた。
「今夜とことん愛し合うって、何なんですか? どうしてそれが罠を仕掛けたことになるんです?」
「まあまあ、落ちついて」
杏里はみいの肩に手を置くと、優しくベッドの端に座らせ、その横に自分も腰かけた。
「私、考えたんだよ。どうして源太さん、あんな時間に殺されたんだろうって。そしたら閃いたの。源太さんが死んだのって、私たちが暴漢にレイプされたすぐ後だよね? つまり、犯人が源太さんを殺した動機は、そこにあるんじゃないかってこと」
「え? それはどういうことですか? 犯人が、みいたちの代わりに、強姦魔を征伐してくれたとか?」
「うーん、そう思いたいとこなんだけどね。現実はそんなに美しくないと思うんだ。おそらく犯人も、源太さんと同じように、私たちふたりを襲おうと隙を狙ってたんだと思う。ところが、いざ行動を起こそうとした矢先に、源太さんに先を越されてしまった。だから激高して、喧嘩になったんじゃないかと、こう思うわけ」
「で、喧嘩の最中、誤って源太さんを殺害してしまった、そこで自殺に見せかける偽装工作を死体に施した、そう言いたいんですか?」
「うん。よくわかってるじゃない」
「可能性としては、どんなことでも考えられるわけですけど…そんな変態的な動機って、あるんでしょうか?」
みいは、今ひとつ、腑に落ちないといった面持ちである。
「あるよ、きっと。だってさ、性欲って、食欲の次に強いんだよ。人間の行動原理の半分は性欲なんだから」
「それは、杏里さまだけでは…」
「私は違うよ。半分どころか、80パーセント、性欲に支配されてるオンナだから。でもまあ、見てなさいって」
みいの手を取って、にんまり微笑む杏里。
「犯人は、必ず今晩、ここに来る。そしたらふたりで捕まえて、自首するように説得するの」
「そんなにうまくいくかなあ」
「大丈夫、私を信じて。じゃ、さっそくシャワーを浴びて、ふたりとも勝負下着に着替えるよ」
「え? 大浴場、行かないんですか?」
「だめ。大浴場で襲われたら、計画が台なしだもの。温泉は、すべて終わった後で、ゆっくり入ろうよ」
「そうなんですか。残念です。みい、温泉、楽しみにしてたのに」
みいが露骨にがっかりした顔をする。
「そんな悲しそうな顔、しないでよ。ちゃんと明日には入れるんだから。あ、それからこれ、持ってきといたよ」
杏里が取り出したのは、缶チューハイの500㎖缶である。
「わあ、おいしそう」
みいの瞳が輝いた。
「今飲んじゃだめだよ。これは緊急事態用。ここに置いておくから、いざという時に飲んでね」
「変ですねえ。どうしていざという時、缶チューハイなんですかあ?」
「その時になればわかるよ。ていうか、みいには結局わかんないかもしれないけれど」
「はあ?」
これが、杏里の考えた保険である。
だから、大浴場みたいな広い場所ではまずいのだ。
もしもの時、みいの手の届く範囲に、これがなければ、杏里の計画は水泡に帰してしまうからである。
「さ、シャワー浴びるよ」
杏里はみいを立ち上がらせると、そのTシャツに手をかけた。
「まさか、ふたり一緒に?」
杏里に服を脱がされながら、みいが耳まで赤くなる。
「当たり前でしょ? 新婚夫婦はみんなそうなんだから」
みいのショートパンツのファスナーを下ろしながら、さも当然と言った口調で、杏里は答えた。
部屋に戻るなり、血相を変えて、みいが噛みついてきた。
「今夜とことん愛し合うって、何なんですか? どうしてそれが罠を仕掛けたことになるんです?」
「まあまあ、落ちついて」
杏里はみいの肩に手を置くと、優しくベッドの端に座らせ、その横に自分も腰かけた。
「私、考えたんだよ。どうして源太さん、あんな時間に殺されたんだろうって。そしたら閃いたの。源太さんが死んだのって、私たちが暴漢にレイプされたすぐ後だよね? つまり、犯人が源太さんを殺した動機は、そこにあるんじゃないかってこと」
「え? それはどういうことですか? 犯人が、みいたちの代わりに、強姦魔を征伐してくれたとか?」
「うーん、そう思いたいとこなんだけどね。現実はそんなに美しくないと思うんだ。おそらく犯人も、源太さんと同じように、私たちふたりを襲おうと隙を狙ってたんだと思う。ところが、いざ行動を起こそうとした矢先に、源太さんに先を越されてしまった。だから激高して、喧嘩になったんじゃないかと、こう思うわけ」
「で、喧嘩の最中、誤って源太さんを殺害してしまった、そこで自殺に見せかける偽装工作を死体に施した、そう言いたいんですか?」
「うん。よくわかってるじゃない」
「可能性としては、どんなことでも考えられるわけですけど…そんな変態的な動機って、あるんでしょうか?」
みいは、今ひとつ、腑に落ちないといった面持ちである。
「あるよ、きっと。だってさ、性欲って、食欲の次に強いんだよ。人間の行動原理の半分は性欲なんだから」
「それは、杏里さまだけでは…」
「私は違うよ。半分どころか、80パーセント、性欲に支配されてるオンナだから。でもまあ、見てなさいって」
みいの手を取って、にんまり微笑む杏里。
「犯人は、必ず今晩、ここに来る。そしたらふたりで捕まえて、自首するように説得するの」
「そんなにうまくいくかなあ」
「大丈夫、私を信じて。じゃ、さっそくシャワーを浴びて、ふたりとも勝負下着に着替えるよ」
「え? 大浴場、行かないんですか?」
「だめ。大浴場で襲われたら、計画が台なしだもの。温泉は、すべて終わった後で、ゆっくり入ろうよ」
「そうなんですか。残念です。みい、温泉、楽しみにしてたのに」
みいが露骨にがっかりした顔をする。
「そんな悲しそうな顔、しないでよ。ちゃんと明日には入れるんだから。あ、それからこれ、持ってきといたよ」
杏里が取り出したのは、缶チューハイの500㎖缶である。
「わあ、おいしそう」
みいの瞳が輝いた。
「今飲んじゃだめだよ。これは緊急事態用。ここに置いておくから、いざという時に飲んでね」
「変ですねえ。どうしていざという時、缶チューハイなんですかあ?」
「その時になればわかるよ。ていうか、みいには結局わかんないかもしれないけれど」
「はあ?」
これが、杏里の考えた保険である。
だから、大浴場みたいな広い場所ではまずいのだ。
もしもの時、みいの手の届く範囲に、これがなければ、杏里の計画は水泡に帰してしまうからである。
「さ、シャワー浴びるよ」
杏里はみいを立ち上がらせると、そのTシャツに手をかけた。
「まさか、ふたり一緒に?」
杏里に服を脱がされながら、みいが耳まで赤くなる。
「当たり前でしょ? 新婚夫婦はみんなそうなんだから」
みいのショートパンツのファスナーを下ろしながら、さも当然と言った口調で、杏里は答えた。
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