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第2話 レズふたり旅
#112 ビッチ探偵杏里⑩
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「なんか臭うね」
土蔵に足を踏み入れるなり、杏里は鼻を手で覆った。
魚の腐ったような臭いが、ほんのかすかにだが、空気の中に漂っている。
土蔵の入口は開いていて、死体もビニールシートで覆われているけれど、この夏の暑さである。
かなり腐敗が進行しているのに違いない。
真ん中に横たわる死体を迂回して奥に行くと、長テーブルの上にデスククトップ型とノート型のPCが1台ずつ。
モニターの電源ランプが点灯したままの状態で、置かれてあった。
「こうするのです」
デスクトップのほうを立ち上げると、みいが言って、喉に手をやり、赤い首輪をはずした。
うなじに手を伸ばし、皮膚カバーをずらして、コンセントの差込口をあらわにする。
そこからみいが引っ張り出したのは、先に端子のついた細いケーブルだ。
それをパソコン本体につなげると、やがてモニター画面に画像が現れた。
「これは、今みいの見ている景色です」
なるほど、映っているのは、パソコンの画面である。
合わせ鏡みたいに、パソコンの画面にそのパソコンの画面が、そのまま映し出されているのだ。
「これを、巻き戻します」
みいの言葉と同時に、目まぐるしい速さで映像が変わり始めた。
時間がどんどん逆回転していくようだ。
「このへんでしょうか」
食堂の風景が現れたところでみいが言い、画像が固定した。
右下に小さく時刻が現れている。
7:32AM
ちょうど朝食が始まった頃である。
「うん。イイ感じ」
杏里はうなずいた。
すごい。
さすがAI搭載の頭脳。
「音声はどうしますか?」
「画像だけでいいと思う。私がひっかかってるのは、この目で見た何かだから」
「わかりました」
清、麗奈、篠田が席についている。
次に映ったのは、なぜか杏里の胸元だ。
襟ぐりの深いタンクトップから、真っ白な乳房がこぼれそうになっている。
乳輪が少しはみ出しているところに急速に画面が寄っていき、しばらく止まって動かなくなった。
そして今度は、むっちりした太腿。
杏里のショートパンツは、ビキニのボトム並みに露出度が高い。
太腿のつけ根の際どい隙間から、白い下着がのぞいている。
更に画像がズームアップして、濡れた杏里の唇が大写しになった。
下唇のほうが心持ち厚く、リップクリームも塗っていないのに、いかにも誘うようにつやつやしている。
「ちょっと、みい…。あなた、どこ見てるの?」
いぶかしく思ってたずねると、
「あ。いえ、その、ちょっと、杏里さまのこと、いろいろ、気になって」
耳たぶまで赤くして、みいがオロオロうろたえる。
「さては、私にしてほしいんだね」
杏里はにんまりと笑った。
「気持ちいいこと、色々と」
「ち、違います。み、みいは、そ、そんな、ヘンタイじゃ、ありません。ただ、杏里さまのことが、心配で」
「そうかなあ。どう見ても、これ、ストーカーの視点だと思うけど」
「や、やめてください! も、もう、こんな画像、消しちゃいますよ!」
涙目で抗議するみい。
「わかったわかった。もう言わないから、そのまま続けて」
「くすん…。杏里さまって、時々、本当に意地悪になるんだから」
しばしもめた後、画面にホワイトボードが映ったのは、ひたすら杏里の身体の細部が映し出された後である。
「ストップ! ここだよ!」
杏里は叫んだ。
写真を貼り巡らせた白板を大写しにして、画像が静止する。
意識を集中する。
さっき見た時と、どこが違うのだろう…?
1分ほどして。
あ。
杏里は息を呑んだ。
もしかして、これ。
「ねえ、ちょっと停止を解除してみてくれる?」
「は、はい。こうですか?」
やっぱり。
杏里はうなずいた。
違いはここだ。
この場面には、動きがある。
あるはずのない動き。
それこそが、すべての鍵だったのだ。
「わかったよ」
杏里は顔を上げ、みいを見た。
「密室の謎、解けちゃった」
「え? またですか?」
みいのつぶらな瞳が、点になる。
「うん。ダイイングメッセージの謎、密室の謎、犯人の正体、全部わかったよ」
得意げに胸を張る杏里。
ブラをし忘れているので、巨乳の頂で、ピンク色の乳首が白い生地を通して、すっかり透けてしまっている。
「じゃ、これからどうするんですか?」
おずおずと、みいがたずねた。
「もちろん、罠にかけるんだよ。犯人をね」
にいっと微笑み、杏里は答えた。
土蔵に足を踏み入れるなり、杏里は鼻を手で覆った。
魚の腐ったような臭いが、ほんのかすかにだが、空気の中に漂っている。
土蔵の入口は開いていて、死体もビニールシートで覆われているけれど、この夏の暑さである。
かなり腐敗が進行しているのに違いない。
真ん中に横たわる死体を迂回して奥に行くと、長テーブルの上にデスククトップ型とノート型のPCが1台ずつ。
モニターの電源ランプが点灯したままの状態で、置かれてあった。
「こうするのです」
デスクトップのほうを立ち上げると、みいが言って、喉に手をやり、赤い首輪をはずした。
うなじに手を伸ばし、皮膚カバーをずらして、コンセントの差込口をあらわにする。
そこからみいが引っ張り出したのは、先に端子のついた細いケーブルだ。
それをパソコン本体につなげると、やがてモニター画面に画像が現れた。
「これは、今みいの見ている景色です」
なるほど、映っているのは、パソコンの画面である。
合わせ鏡みたいに、パソコンの画面にそのパソコンの画面が、そのまま映し出されているのだ。
「これを、巻き戻します」
みいの言葉と同時に、目まぐるしい速さで映像が変わり始めた。
時間がどんどん逆回転していくようだ。
「このへんでしょうか」
食堂の風景が現れたところでみいが言い、画像が固定した。
右下に小さく時刻が現れている。
7:32AM
ちょうど朝食が始まった頃である。
「うん。イイ感じ」
杏里はうなずいた。
すごい。
さすがAI搭載の頭脳。
「音声はどうしますか?」
「画像だけでいいと思う。私がひっかかってるのは、この目で見た何かだから」
「わかりました」
清、麗奈、篠田が席についている。
次に映ったのは、なぜか杏里の胸元だ。
襟ぐりの深いタンクトップから、真っ白な乳房がこぼれそうになっている。
乳輪が少しはみ出しているところに急速に画面が寄っていき、しばらく止まって動かなくなった。
そして今度は、むっちりした太腿。
杏里のショートパンツは、ビキニのボトム並みに露出度が高い。
太腿のつけ根の際どい隙間から、白い下着がのぞいている。
更に画像がズームアップして、濡れた杏里の唇が大写しになった。
下唇のほうが心持ち厚く、リップクリームも塗っていないのに、いかにも誘うようにつやつやしている。
「ちょっと、みい…。あなた、どこ見てるの?」
いぶかしく思ってたずねると、
「あ。いえ、その、ちょっと、杏里さまのこと、いろいろ、気になって」
耳たぶまで赤くして、みいがオロオロうろたえる。
「さては、私にしてほしいんだね」
杏里はにんまりと笑った。
「気持ちいいこと、色々と」
「ち、違います。み、みいは、そ、そんな、ヘンタイじゃ、ありません。ただ、杏里さまのことが、心配で」
「そうかなあ。どう見ても、これ、ストーカーの視点だと思うけど」
「や、やめてください! も、もう、こんな画像、消しちゃいますよ!」
涙目で抗議するみい。
「わかったわかった。もう言わないから、そのまま続けて」
「くすん…。杏里さまって、時々、本当に意地悪になるんだから」
しばしもめた後、画面にホワイトボードが映ったのは、ひたすら杏里の身体の細部が映し出された後である。
「ストップ! ここだよ!」
杏里は叫んだ。
写真を貼り巡らせた白板を大写しにして、画像が静止する。
意識を集中する。
さっき見た時と、どこが違うのだろう…?
1分ほどして。
あ。
杏里は息を呑んだ。
もしかして、これ。
「ねえ、ちょっと停止を解除してみてくれる?」
「は、はい。こうですか?」
やっぱり。
杏里はうなずいた。
違いはここだ。
この場面には、動きがある。
あるはずのない動き。
それこそが、すべての鍵だったのだ。
「わかったよ」
杏里は顔を上げ、みいを見た。
「密室の謎、解けちゃった」
「え? またですか?」
みいのつぶらな瞳が、点になる。
「うん。ダイイングメッセージの謎、密室の謎、犯人の正体、全部わかったよ」
得意げに胸を張る杏里。
ブラをし忘れているので、巨乳の頂で、ピンク色の乳首が白い生地を通して、すっかり透けてしまっている。
「じゃ、これからどうするんですか?」
おずおずと、みいがたずねた。
「もちろん、罠にかけるんだよ。犯人をね」
にいっと微笑み、杏里は答えた。
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