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第2話 レズふたり旅
#102 奇妙な密室、奇妙な死体④
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いったん母屋に戻った麗奈が引き返してきたのは、5分と経たないうちだった。
「この土蔵、古いから、合鍵はないんだって。だから、代わりにこれ借りてきた」
と、麗奈が清に渡したのは、ドライバーとカナヅチである。
「テレビドラマみたいに、扉をみんなで『せーの!』って肩で押し破るなんてのは、ナンセンスでしょ? あんなの無理に決まってるじゃない、そう思ってさ、これで蝶番のねじ、はずしたほうが確実よ」
「さすが麗奈ちゃん、あったまいい!」
さっそく、鉄扉を壁に留めた蝶番のほうをはずしにかかる清。
ねじがさびていてかなり苦労したようだが、10分もすると、金具が取れて扉が大きく斜めに傾いた。
「うは、鍵だけじゃなく、内側からカンヌキもかかってる。これじゃ、まるで」
清の声に、
「密室?」
みいがすかさず反応した。
「あの明かり採りの窓は、小さすぎて、とても人間は入れないです。ここより他に出入口はなさそうですから、これ、やっぱり、密室殺人ですよ!」
「まだ、殺人と決まったわけじゃないでしょ? 源太は中で酔っぱらって寝てるだけなのかもしれないし」
先走るみいを、麗奈がたしなめた。
「いや、それはない。首にひもが巻きついてる。源太のやつ、誰かに絞殺されたんだ。しかし、それにしても」
「それにしても、なあに?」
「ちょっと待ってて。中に入って、内側から鍵、開けるから」
清が傾いた扉の間に身体をねじ込ませ、ひいひい言いながら、中に入っていく。
やがて、鍵の外れる音がして、今度こそ、本格的に扉が倒れてきた。
それを全員総がかりで支え、そっと地面に横たえる。
「見てごらん。源太、なんでこんな格好してるんだと思う?」
清の声に振り向くと、朝陽に照らし出された土蔵の中が、杏里の視界にも入ってきた。
パソコンが何台も置かれたテーブル。
その前の床に、源太が横向きに倒れている。
なるほど、首にはきつく細い紐が巻きついていて、顔が赤紫色にうっ血してしまっていた。
が、杏里の目を釘付けにしたのは、その奇妙な服装だ。
上半身は黒いTシャツを着ているのだが、下半身は真っ裸なのである。
上体が横を向いているのに、腰から下だけねじれて仰向けになっているので、股間が丸出しだった。
真っ黒な剛毛の中に、縮んだコンドームのような陰茎が先をのぞかせている。
毛深いとは思ってたけど、まさか、これほどとは…。
杏里は、妙なところに感心している。
自分もみいもパイパンなので、陰毛というものが珍しくてならないのだ。
「鍵ならここに落ちてますね」
みいが床の片隅を指差して、そう言った。
「なあんだ、ってことは、密室の謎、もう解けちゃったかも」
「あー、でも、それは違うよ」
みいの言いたいことは、すぐわかった。
だから、杏里は先回りして、釘を刺すことにした。
「内側からカンヌキ、かかってたでしょ。だから、鍵は問題じゃないと思うんだ」
「この土蔵、古いから、合鍵はないんだって。だから、代わりにこれ借りてきた」
と、麗奈が清に渡したのは、ドライバーとカナヅチである。
「テレビドラマみたいに、扉をみんなで『せーの!』って肩で押し破るなんてのは、ナンセンスでしょ? あんなの無理に決まってるじゃない、そう思ってさ、これで蝶番のねじ、はずしたほうが確実よ」
「さすが麗奈ちゃん、あったまいい!」
さっそく、鉄扉を壁に留めた蝶番のほうをはずしにかかる清。
ねじがさびていてかなり苦労したようだが、10分もすると、金具が取れて扉が大きく斜めに傾いた。
「うは、鍵だけじゃなく、内側からカンヌキもかかってる。これじゃ、まるで」
清の声に、
「密室?」
みいがすかさず反応した。
「あの明かり採りの窓は、小さすぎて、とても人間は入れないです。ここより他に出入口はなさそうですから、これ、やっぱり、密室殺人ですよ!」
「まだ、殺人と決まったわけじゃないでしょ? 源太は中で酔っぱらって寝てるだけなのかもしれないし」
先走るみいを、麗奈がたしなめた。
「いや、それはない。首にひもが巻きついてる。源太のやつ、誰かに絞殺されたんだ。しかし、それにしても」
「それにしても、なあに?」
「ちょっと待ってて。中に入って、内側から鍵、開けるから」
清が傾いた扉の間に身体をねじ込ませ、ひいひい言いながら、中に入っていく。
やがて、鍵の外れる音がして、今度こそ、本格的に扉が倒れてきた。
それを全員総がかりで支え、そっと地面に横たえる。
「見てごらん。源太、なんでこんな格好してるんだと思う?」
清の声に振り向くと、朝陽に照らし出された土蔵の中が、杏里の視界にも入ってきた。
パソコンが何台も置かれたテーブル。
その前の床に、源太が横向きに倒れている。
なるほど、首にはきつく細い紐が巻きついていて、顔が赤紫色にうっ血してしまっていた。
が、杏里の目を釘付けにしたのは、その奇妙な服装だ。
上半身は黒いTシャツを着ているのだが、下半身は真っ裸なのである。
上体が横を向いているのに、腰から下だけねじれて仰向けになっているので、股間が丸出しだった。
真っ黒な剛毛の中に、縮んだコンドームのような陰茎が先をのぞかせている。
毛深いとは思ってたけど、まさか、これほどとは…。
杏里は、妙なところに感心している。
自分もみいもパイパンなので、陰毛というものが珍しくてならないのだ。
「鍵ならここに落ちてますね」
みいが床の片隅を指差して、そう言った。
「なあんだ、ってことは、密室の謎、もう解けちゃったかも」
「あー、でも、それは違うよ」
みいの言いたいことは、すぐわかった。
だから、杏里は先回りして、釘を刺すことにした。
「内側からカンヌキ、かかってたでしょ。だから、鍵は問題じゃないと思うんだ」
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