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第2話 レズふたり旅

#96 卑劣な罠③

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「あ、杏里さま…これは、いったい?」

 その音で、ようやくみいも目が覚めたようだった。

 が、すぐに迫りくるバイブレーターに気づくと、喉の奥でひっと小さな悲鳴を上げた。

 その時、それまで無言だったマスクの男が、やにわに口を開いた。

「おまえら、こういうの、好きなんだろ? どっちが先にイクかな? 先にイッたほうから、犯してやるからな」

 ひしゃげた蛙のような声である。

 口の中に経口タイプのボイスチェンジャーでも装着しているのか、明らかに声を変えてある。

 だからそれが、誰なのか、いまだに杏里にもわからない。

 ベッドの陰になっていて体つきが見えないから、頭の形だけでは判別のしようがないのだ。

 ペットボトルを渡してきたのは、確かに源太だった。

 だから、普通に考えれば、この卑劣漢は源太本人ということになる。

 でも、と思う。

 いくら源太がけだもののような男だとしても、そんなあからさまなことをするだろうか。

 別の誰かが媚薬と睡眠薬を入れておいたペットボトル。

 それをたまたま源太が渡したのだという可能性も、考えられないことではない。

「ほら、どうだ」

 昂奮の滲む男の声と同時に、バイブレーターが杏里の右の乳房に押し当てられた。

「あうぅっ」

 疼くような快感に、反射的に声が漏れてしまう。

 もとより杏里は乳房への責めに弱い。

 それが、媚薬のせいで、いつもにも増して過敏になってしまっている。

 男が円を描くように、乳首の周りをバイブレーターで愛撫していく。

 ひと回りしたところで、今度は乳首を押し込むようにして、上からバイブを押しつけられた。

「ひ、ひいいっ」

 杏里の尻が、かすかに跳ねた。

 ぬるり。

 下の”唇”のあわいから愛液が滲み出し、股間を濡らすのがわかった。

「こうして周りを刺激されるのと、乳首を重点的に責められるのと、どっちがいい?」

 嬉々とした口調で、男が訊いた。

 もちろん杏里には、答えなければいけない筋合いなど、ない。

 なのに、口が勝手に動いていた。

「ち、乳首の、ほう…」

「そうか。乳首か。なら、こうしてやる」

 男の手が器用にバイブをひねる。

 細かく振動するその先端が、右と左の乳首をこねるように責め回す。

「はぐう、あふ、くうんっ」

 己の意志に関係なく、がくがく上体が揺れた。

 平らな下腹が、上下にひくひくと波打ち始めている。

 杏里はこらえきれず、膝を立てた脚を、自分からゆっくりと左右に開いていた。

「ほう、ものわかりのいいやつだな。で、杏里、おまえ、次はどうしてほしいんだい?」

 男がバイブを太腿の内側に当ててくる。

 それが中心に向かって動いてくるのがわかると、もう理性は遠い彼方に吹っ飛んでしまっていた。

「下も…お願い」

 切なげな声音で、杏里はおねだりした。

 身体をずり下げ、自然に自ら腰を突き出す姿勢をとっている。

 早く虐めてもらいたくてたまらない。

 ほら、こんなにあそこがぴくぴくしてるのに…。

「ほう、さすがビッチだな。もうぐちょぐちょに濡れてるじゃないか」

 杏里の膝と膝の間をのぞき込んで、舌なめずりするような口調で、覆面男が言った。

「だが、俺は不公平は嫌いなんでね」

 男は身を起こすと、今度は杏里を無視してみいに向き直る。

「まずはこっちのロリを同じくらい濡らしてやらないと」

 2本のバイブが、みいに向けられた。

 両の乳房をいちどきに責められ、

「あ、あ、あ、あ、あ」

 みいが断続的に嬌声を上げ始めた。

 嫉妬に駆られ、杏里はみいのほうに首を捻じ曲げた。

 見守るうちにも、振動するバイブに挟まれ、ピンク色をしたみいの乳首が見る間に大きくなっていく。

 杏里のところからでも見て取れるほど、ふたつそろって硬くコチコチに勃起してしまっている。

 気持ちよさそう…。

 よがり、震えるみいを見つめる杏里の瞳が、情欲で濡れ光る。

「おお、出てきた出てきた、とろとろ汁が」

 みいの股間を一瞥し、男が勝ち誇ったようにつぶやいた。

「杏里にも、して…」

 気づくと、杏里は涙目で懇願していた。

 媚薬の効果なのだろうか。

 頭の中は、もうセックスのことしか、考えられなくなっている。

「お願い…杏里を先にイかせて…。そして、早くセックス、してほしい…」


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