そんなお口で舐められたら💛

第2話 レズふたり旅

#95 卑劣な罠②

　うーん…。

　水底から浮かび上がるように、意識が戻ってきた。

　薄眼を開けると、そこは相変わらず、部屋の中だった。

　でも、何かがおかしい。

　どこか、変。

　まず、妙に涼しかった。

　身体全体が、あまりにもスースーするのだ。

　あれ？

　杏里はあっけにとられ、首を回して自分の体を見回した。

　浴衣どころか、パンティも身につけていない。

　真っ裸で、ベッドの上に座り、両足を投げ出して壁にもたれているのだ。

　温かいものを感じ、隣を見ると、みいがいた。

　杏里と同じ姿勢で、ベッドの上に座っている。

　なぜかみいも全裸だった。

　まだ眠っているのか、がっくりと首を前に倒し、すうすうと寝息を立てている。

　ちょっと、みい、

　どうなっちゃってるの？

　声をかけようとして、杏里はその声が出せないことに気づいた。

　口の中に何か柔らかい物が詰め込まれている。

　うは、これ、私のパンティじゃない！

　でも。

　新品でよかった。

　と、頭の隅で、そんなどうでもいいことに安心する。

　横目で見ると、みいも同じ目に遭わされていた。

　みいの口からはみ出ている白い布切れ。

　あれはおそらく、さっきまでみいが穿いていたシルクのショーツに違いない。

　身体を動かそうとして、後ろ手に手首を縛られていることに気づいた。

　いったい誰が…。

　誰が、こんなことを…？

　もしかして、さっきのスポーツドリンク？

　睡眠薬が入ってたとか？

　だとしたら、犯人は…？

　そこまで考えた時、ベッドの端からぬうっと黒いものが出現した。

　ニットの黒いマスクをすっぽりと頭からかぶった、見るからに怪しい人物である。

　手が動かせないのなら、せめて足で。

　と思ったら、なんと、その足も動かない。

　身体中の筋肉が弛緩してしまったように、脚に力が入らないのだ。

　しかも、なぜかわからないが、肌という肌が、ひりひりする。

　丸裸で寒いにもかかわらず、全身が妙に火照っているのだ。

　強壮剤を飲んだ直後のように、胸が不自然にどきどきする。

　心拍数が異様に高くなっているのがわかる。

　ただの睡眠薬じゃない…。

　慄然とする思いで、杏里は悟った。

　この感覚。

　キング・オブ・ビッチだけに、中3にしてすでに、たいていのプレイは経験している杏里である。

　これって、媚薬飲んだ時に、そっくり…。

　と、すぐさま閃いたのだ。

　手足がしびれてしまっているところを見ると、かなりの量を飲まされたようだ。

　そう思って改めて観察してみると、熟れた果実のようなまん丸な乳房の頂で、ピンクの乳首が痛いほど勃起してしまっていた。

　杏里はのろのろと、己の胸から正面のマスク男に視線を移した。

　男は両手に、ひどくいかがわしい物を捧げ持っていた。

　先にゴムのはまった、大きなバイブレーターである。

　コードのついたそれを、1本ずつ、手に握っているのだ。

　本来は、肩こりの治療に使うべきものである。

　だが、もちろん杏里は、その小道具の別の使い方も熟知していた。

　そして、敏感な部分にそれを当てられた時、女がどうなるかも…。

　男が2本同時にスイッチを入れた。

　ブーン。

　かすかな音を発して、先端のゴムの部分が震え出す。

　近づいてきた。

　片方は杏里を、片方は、みいを狙っている。

　もちろん、最初の標的は、媚薬でびんびんに尖った乳首に違いない。

　あわわわ…。

　杏里は震え出した。
　
　恐怖を上回る期待に、思わず声が漏れそうになる…。