上 下
120 / 475
第2話 レズふたり旅

#84 嵐の山荘⑭

しおりを挟む
 河原の岩に腰かけ、傷心にふける杏里。

 そこに水の中から河童が現れ、いきなり杏里に襲いかかる。

 地面に引き倒されたところでいったんカットになって、次は森の中の場面だった。

 男3人に担ぎ上げられ、今、杏里は頑丈な木の枝に吊るされている。

 パンティ一枚の裸で、両手首をしばられ、宙ぶらりんになっているのだ。

「ちゃんと乳首には、ぼかし入れてくださいね」

 草むらからこっちを注視している清たちに念を押すと、河童の着ぐるみを着た源太が近づいてきた。

「心配いらないよ。痛くはしないから」

 河童の口の間から顔をのぞかせて、源太がささやいた。

「それより、俺も本気で行くから、杏里ちゃんも、感じたら素直に反応してほしいんだ」

 言うなり、いきなり丸出しの乳房にかぶりついてきた。

 といっても、かぶりついてきたのは作り物の河童の口のほうで、中の人、源太はといえば、しっかり杏里の乳首を自分の口に含んでいる。

 舌先で乳頭をつつかれ、唇で根元からちゅうちゅう吸われると、もういけなかった。

「あ、だめ、そんなことしたら、私」

 じたばたし始めた杏里に、源太が下半身を押しつけてくる。

 尻をつかまれ、ぎゅっと引き寄せられると、太腿の間に固いものが当たった。

 勃起した源太のペニスである。

 着ぐるみの上からもそれとわかるほど、熱く固くなっている。

「ひと目見た瞬間から、好きだったんだ」

 うわ言のように、河童、いや、源太が言う。

「杏里ちゃん、君は素晴らしい。君は僕の天使だ」

「天使にこんなことして、いいんですか?」

 言い返すものの、杏里の声は弱々しい。

 源太は今や、下半身を押しつけながら、水かきのある手で杏里の両方の乳房を揉んでいて、それが気持ちよくてならないのだ。

「いいんだよ。美しいものを汚す。これほど興奮することは他にない。だから僕は、君をめちゃくちゃに」

 その時だった。

「ちょっと、そこの河童のお兄さん」

 妙に場違いな声がした。

 顔を上げると、源太の肩越しに、あのメイド姿のみいが立っているのが見えてきた。

「こんなところで、何やってるんですかあ?」
 
 ためらう様子もなく、ぽんぽんと河童の肩を叩く。

「がううっ!」

 河童がみいに向き直った。

 ヒグマみたいに両手を頭上に掲げ、襲いかかった。

「はっ!」

 裂帛の気合とともに、みいの右足が一旋した。

 ピンクのパンティが一瞬見えたかと思うと、

 ドスッ。

 鈍い音を立てて、そのつま先が河童の横腹にめり込んだ。

「や」

「とう」

 ひるんだ河童の腹に、続けざまにワンツー・パンチが炸裂する。

「だはっ」

 口から血の糸を吐いて、源太が吹っ飛んだ。

 どうやら本当に気絶したらしく、地面に横たわったまま、ぴくりとも動かない。

「また会いましたね」

 何事もなかったかのように杏里の前に立つと、みいが言った。

「ほんとにしょうがない人だこと。馬だけじゃなく、今度は河童にまで襲われて」

「助けてくれて、ありがとう」

 言いながら、心の底では、杏里は若干不満である。

 けっこう、そそるシチュエーションだったのに。

 みいったら、出てくるの、早すぎだよ。

「いいえ、どういたしまして。私、世の中の不正は許しておけないたちでして。たとえ相手が、動物や妖怪でも」

「でも、私のこと、嫌いじゃなかったんですか?」

「好き嫌いと、正義の力の行使は別ですから」

「じゃあ、まだ、嫌いなんですね」

 しゃくりあげ始める杏里。

「さあ、どうかしら。あなた、遠野山荘に泊るんだって言ってたわね。いいわ、一緒に行ってあげる。さ、降ろしてあげるから、服を着なさいな」

 みいが言って、両手首の戒めを解き、杏里を抱き留めた。

 離れようとするみいを抱き寄せて、杏里はその耳元にささやいた。

「あの、もう少し、このままでいて。私、あなたのこと、好きになっちゃったみたいなの」

 演技ではなく、みいがぽっと頬を赤らめるのを見て、杏里は嬉しくなった。

 よかったあ。

 ひょっとして、本当に嫌われたんじゃないかって、私、気が気でなかったんだ。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】【R18百合】会社のゆるふわ後輩女子に抱かれました

千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。 レズビアンの月岡美波が起きると、会社の後輩女子の桜庭ハルナと共にベッドで寝ていた。 一体何があったのか? 桜庭ハルナはどういうつもりなのか? 月岡美波はどんな選択をするのか? おすすめシチュエーション ・後輩に振り回される先輩 ・先輩が大好きな後輩 続きは「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」にて掲載しています。 だいぶ毛色が変わるのでシーズン2として別作品で登録することにしました。 読んでやってくれると幸いです。 「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/759377035/615873195 ※タイトル画像はAI生成です

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

声劇・シチュボ台本たち

ぐーすか
大衆娯楽
フリー台本たちです。 声劇、ボイスドラマ、シチュエーションボイス、朗読などにご使用ください。 使用許可不要です。(配信、商用、収益化などの際は 作者表記:ぐーすか を添えてください。できれば一報いただけると助かります) 自作発言・過度な改変は許可していません。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。

千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。 風月学園女子寮。 私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…! R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。 おすすめする人 ・百合/GL/ガールズラブが好きな人 ・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人 ・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人 ※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。 ※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)

処理中です...