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第2話 レズふたり旅
#81 嵐の山荘⑪
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遠野ふるさと村。
昔話に出てくるような、ひどく郷愁をそそる風景だ。
一面の田園風景の中。
夕焼け空を背景に、田んぼや水車、そして大きな茅葺き屋根の曲がり家が、村のあちこちに点在している。
数件ある大きな家は、中にも入れるようだ。
中をのぞくと、囲炉裏のある部屋が中央にあり、土間には大きなかまどが見えた。
家の中に、馬のいる建物まである。
「ここがいいかな」
麗奈が選んだのは、なぜかその、三和木に馬をつないだ家のひとつだった。
「じゃ、杏里ちゃん、まず、このお馬さんに乗って」
「は?」
いきなり麗奈に命令され、杏里はぽかんと口を開けた。
「これは出会いのシーンなの。重要な場面だから、よく聞いてね。まず、杏里ちゃんが、馬に乗って外を歩く。そのうち、欲情した馬が、杏里ちゃんを振り落とし、犯そうと襲いかかる。裸に剥かれ、馬におっぱいを舐められて悶え狂う杏里ちゃん。あわや貞操の危機、ってところに通りすがりの美少女、みいちゃんが現れ、馬にドロップキック! 助けられた杏里ちゃんは、みいちゃんにひとめぼれ。自分が裸なのをいいことに、白昼路上で彼女を誘惑しようとする。でも、みいちゃんはとっても潔癖症だから、初めはそんな杏里ちゃんを相手にしない。振られてさめざめと泣く杏里ちゃん。そこに現れた謎の男。傷心の杏里ちゃんの隙につけ入り、いきなり路上レイプ! なぜなら彼こそが、何を隠そう、この遠野を騒がすゾンビエロ河童だったから…って具合なんだけど、どうかな」
「すごい! さっすが麗奈ちゃん! なんてサスペンスフルなストーリー展開なんだ!」
手を打って喜ぶアフロ清。
源太は相変わらずニタニタ笑い、むっつりスケベの篠田は、いつものように無言でウンウンうなずいている。
「でしょ? この後はまだ考えてないんだけど、ふたりのキャラにぴったりじゃない?」
「どこがですか?」
頬を膨らませ、異議を唱えたのは、もちろん、杏里である。
「どうして私が、突然馬に犯されそうになったり、エロガッパに路上レイプされなきゃなんないんですか?」
「だって、杏里ちゃん、君って見るからにそういうキャラでしょ? 鏡で見てごらん、その身体。まさに人に裸を見せるために生まれてきたような、超ド級のナイスバディじゃないか」
「い、いえ、それほどじゃ…」
清の熱弁に、杏里は照れた。
鏡なら毎日のように見ている。
第一、杏里の部屋には全身を映す三面鏡が常備されていて、そこに裸を映してオナるのが寝る前の習慣なのだ。
「確かに私、裸には自信、ないこともないんですけど…でも、いきなり相手が馬ってのは…」
「美女と野獣だよ。君のヌードは、獣に蹂躙されることで、更に輝きを増すんだ。そしてもっと醜いゾンビエロ河童に凌辱され、ズタボロになったところを、最後に天使のようなみいちゃんとのセックスで救われる…これだよ、これ!」
「うん、清、その流れ、いいかもね」
わが意を得たりとばかりにうなずく麗奈。
「え? みいとの、ベッドシーンも、あるんですか?」
杏里の瞳が輝いた。
「もちろんだよ! それこそがこの映画のクライマックス、一番の見せ場だからね!」
「じゃ、じゃあ、やっちゃおうかな…」
くくっとひとり笑いして、杏里は言った。
「あ、杏里さまったら!」
今度はみいが憮然とする番だった。
「杏里さまったら、またエッチなこと、考えてる!」
昔話に出てくるような、ひどく郷愁をそそる風景だ。
一面の田園風景の中。
夕焼け空を背景に、田んぼや水車、そして大きな茅葺き屋根の曲がり家が、村のあちこちに点在している。
数件ある大きな家は、中にも入れるようだ。
中をのぞくと、囲炉裏のある部屋が中央にあり、土間には大きなかまどが見えた。
家の中に、馬のいる建物まである。
「ここがいいかな」
麗奈が選んだのは、なぜかその、三和木に馬をつないだ家のひとつだった。
「じゃ、杏里ちゃん、まず、このお馬さんに乗って」
「は?」
いきなり麗奈に命令され、杏里はぽかんと口を開けた。
「これは出会いのシーンなの。重要な場面だから、よく聞いてね。まず、杏里ちゃんが、馬に乗って外を歩く。そのうち、欲情した馬が、杏里ちゃんを振り落とし、犯そうと襲いかかる。裸に剥かれ、馬におっぱいを舐められて悶え狂う杏里ちゃん。あわや貞操の危機、ってところに通りすがりの美少女、みいちゃんが現れ、馬にドロップキック! 助けられた杏里ちゃんは、みいちゃんにひとめぼれ。自分が裸なのをいいことに、白昼路上で彼女を誘惑しようとする。でも、みいちゃんはとっても潔癖症だから、初めはそんな杏里ちゃんを相手にしない。振られてさめざめと泣く杏里ちゃん。そこに現れた謎の男。傷心の杏里ちゃんの隙につけ入り、いきなり路上レイプ! なぜなら彼こそが、何を隠そう、この遠野を騒がすゾンビエロ河童だったから…って具合なんだけど、どうかな」
「すごい! さっすが麗奈ちゃん! なんてサスペンスフルなストーリー展開なんだ!」
手を打って喜ぶアフロ清。
源太は相変わらずニタニタ笑い、むっつりスケベの篠田は、いつものように無言でウンウンうなずいている。
「でしょ? この後はまだ考えてないんだけど、ふたりのキャラにぴったりじゃない?」
「どこがですか?」
頬を膨らませ、異議を唱えたのは、もちろん、杏里である。
「どうして私が、突然馬に犯されそうになったり、エロガッパに路上レイプされなきゃなんないんですか?」
「だって、杏里ちゃん、君って見るからにそういうキャラでしょ? 鏡で見てごらん、その身体。まさに人に裸を見せるために生まれてきたような、超ド級のナイスバディじゃないか」
「い、いえ、それほどじゃ…」
清の熱弁に、杏里は照れた。
鏡なら毎日のように見ている。
第一、杏里の部屋には全身を映す三面鏡が常備されていて、そこに裸を映してオナるのが寝る前の習慣なのだ。
「確かに私、裸には自信、ないこともないんですけど…でも、いきなり相手が馬ってのは…」
「美女と野獣だよ。君のヌードは、獣に蹂躙されることで、更に輝きを増すんだ。そしてもっと醜いゾンビエロ河童に凌辱され、ズタボロになったところを、最後に天使のようなみいちゃんとのセックスで救われる…これだよ、これ!」
「うん、清、その流れ、いいかもね」
わが意を得たりとばかりにうなずく麗奈。
「え? みいとの、ベッドシーンも、あるんですか?」
杏里の瞳が輝いた。
「もちろんだよ! それこそがこの映画のクライマックス、一番の見せ場だからね!」
「じゃ、じゃあ、やっちゃおうかな…」
くくっとひとり笑いして、杏里は言った。
「あ、杏里さまったら!」
今度はみいが憮然とする番だった。
「杏里さまったら、またエッチなこと、考えてる!」
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