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第2話 レズふたり旅

#70 ゴースト・ホテル⑭

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 気味の悪い通路を戻り、各駅停車のエレベーターに乗って部屋に戻ると、杏里はごろんとベッドに転がった。

 疲れてもう何もしたくなかった。

 起きてテレビをつけるのも億劫だった。

「杏里さま、もう寝ちゃうんですかあ? みい、おなか空いちゃいましたあ」

 杏里の代わりにテレビをつけて、バラエティ番組に見入っていたみいが言う。

「ごめんね。ちょっと、蛸と格闘して疲れちゃったみたい」

 寝転がったまま、杏里は答えた。

 浴衣がはだけ、ほとんど裸同然になっているが、大して気にはならなかった。

「じゃあ、みい、ちょっと厨房に行って、このタコの足、お料理してもらいますね」

 みいは本当にあの大蛸の足を持ってきていて、冷蔵庫にしまっていたのである。

「ついでに飲み物買ってきますけど、何がいいですかあ?」

「じゃあ、カロリーゼロのコーラお願い」

 口の中がねばねばする。

 夢中で蛸の足を吸ったせいである。

 冷静になった今となっては、かなり気色悪い思い出だ。

「気をつけてね。また何か出るかもしれないから」

「杏里さまこそ。ちゃんと鍵しめておきますね」

 ドアが開いて、みいが出て行く気配がした。

 せっかく今夜はみいと楽しい初夜を迎えるはずだったのに、これじゃまたおあずけだな。

 襲い来る睡魔に負けて、杏里は思った。

 そしてどのくらい眠ったのか。

「入りますよ」

 みいの声がして、すべすべした体がシーツの中に潜り込んできた。

 ああ、みい、裸なんだ。

 じゃあ、私も浴衣、脱がなきゃ。

「いいですよ。杏里さまはそのまま寝ててください。みいが裸にして差し上げますから」

 そんなことを、みいがささやいた気がする。

 次に目覚めた時には、みいが杏里の胸にくっついて、赤ん坊みたいにちゅうちゅう乳首を吸っていた。

 うう、これも夢なのかしら。

 それにしても、なんだかすごく、気持ちいい…。

 明け方、もう一度目覚めると、今度はみいの姿がなかった。

 あれ?

 みい、どこ?
 
「ここですよ」

 足元から声がした。

 みいは杏里の開いた足の間に、子猫みたいにうずくまっているのだった。

「今からみい、杏里さまを天国に行かせちゃいます」

 笑いを含んだ口調で言い、いきなり股間に舌を這わせてきた。

 ああ、ちょ、ちょっと、み、みいったらあ…。

 びくんびくん。

 夢の中で痙攣をくり返し、杏里は果てた。

 そして、薄れ行く意識の中で思ったのだった。

 ああ、私ったら、またやられっぱなし…。

 いつになったら、この手でみいをイかせてやれるのかしら…?

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